表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/176

114回目 第二回大攻勢

 前回と同じくらいの規模にまで拡大した機械群。

 それらの前進は確認されると即座に担当する者達に伝えられていった。

 当然ながら最前線も例外ではなく、襲撃に備えて布陣していた部隊が動き出していく。

 とはいって、敵の迎撃に出動するわけではない。

 やってくるまでの待機に入っていく。

 動きは特段存在しない。

 ただ、緊張感だけが高まっていく。

 それが心理的な負担となり、気力や体力を削っていった。

 だが、それでも人類側は以前より余裕があった。



「軍がいるってのはありがたいな」

 そう漏らすタクヤに配下の者達も頷く。

「全くですね」

「俺達が前に出なくていいのはありがたいですよ」

「もっと早く来てくれてたら良かったんだけど」

 その声の通り、今回彼等は最前線の担当にはなってない。

 最前線から更に下がった後方陣地。

 そこに陣取っている。

 そこで後退してきた味方と共に敵を迎え撃つ事になっている。

 前回と違ってかなり余裕がある。

 少なくとも、全線で敵を倒しつつ後退する必要は無い。

「出来ればここまで来る間に全滅してくれればいいけど」

 さすがに無理だろうとは思うが、そんな事も願ってしまう。

 しかし、これは前回戦闘に参加した者達の偽らざる思いであった。



 敵は対処出来る程度には弱い。

 しかし、数を頼んで襲いかかってくるのはやはり脅威だった。

 幾ら撃っても後から後から押し寄せてくる。

 それらを倒し続けてるうちに弾丸が切れてしまう。

 予備の弾薬に交換する間は気が気でない。

 また、連続射撃による銃身への負担なども問題だった。

 それらが冷めるのを待ったり、予備の銃身に代えたりしながらの戦闘は常に危機と隣合わせである。

 出来るなら同じような思いは二度としたくなかった。



 その役目を、今回は軍が担ってくれる。

 素直にありがたいし助かったと思った。

 しかし、

「でも、もうちょっと早く来いよ」

という愚痴も出てしまう。

 色々と事情があるのだろうとは思うが、本来こうした事の矢面に立つのが軍であるのだから。

 即座に動けるからと言って、民間企業の警備を頼るのはどうかという話である。

「おかげでボーナスたくさん出ましたけどね」

「割に合ってるかどうかは分からんです」

「命がけの仕事であれじゃ何とも」

「死亡保険もきかないですし」

 こういった声も偽らざる本音だった。



 なお、企業の戦闘部隊に従事してる者達は死亡保険に入りづらい。

 入れたとしても、ガンなどの病気によるものでないと受け付けてもらえない事がほとんどである。

 業務中の怪我や死亡などはさほど珍しくもないので当然である。

 入れたとしても掛け金が高く、支払いがその割に少ないというのも珍しくない。

 また、現地の風土病などに罹患しても、やはり支払いが厳しくなる事がある。

 これは未開地に踏み込む事が多いから当然ではある。

 労災すら下りにくいという悲惨な現状もある。

 その分、給料は高く、年収も比較的大きい。

 そういう所で平衡をとっていた。

 これらは当事者の意志もある程度反映されている。

『死んでからもらっても使い道が無い。

 それより、生きてるうちに支払ってくれ』

というのが危険な業務に従事する者達の意見の大半を占めている。

 なので、死亡保険や労災については、単なる愚痴であり、待遇の改善を求めるものではない。

 それでもぼやくたくなるのが人情である。

 分かってはいるが、危険を目の前にするともっと稼ぎたかったと思うものだ。



「まあ、軍には頑張ってもらおう。

 俺達の分まで」

 そう言ってタクヤは部下の愚痴をまとめた。

 それもそうっすね、という声が部下から上がってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ