112回目 戦略爆撃 2
照準器に標的が入る。
それを見て、貨物室にいる物が爆弾を投下していく。
固定していた台が外れ、爆弾ごと開け放たれた機体後部から落ちていく。
それがどうなったかは分からない。
目標に当たっている事を願うのみだ。
幸いにして爆弾はほぼ狙い通りに目標に当たっていく。
さすがに全弾命中とはいかないが、目標の施設に確実に命中した。
標的がかなりの大きさだった事も幸いしている。
そこに爆弾が当たり、外装を突き破って内部に突入する。
金属製ではあるが装甲ではない外装は、爆弾の重みと落下による速度によって簡単に突破できた。
そして内部で爆弾が爆発していく。
稼働していた生産施設の機能が、一部とはいえ完全に破壊された。
それにより、そこで生産されていた物の製造が停止していく。
同じような事が数回繰り返されていく。
搭載されていた20発の爆弾は、そのほとんどが標的にした施設を破壊した。
一度に4発ずつ、計5回。
そのうち3回が目標に当たった。
外れたものも全く無駄になるわけではない。
そこかしこに蔓延ってる敵機械を巻き込み、残骸をこさえていく。
生産施設という目標を外しはしたが、完全に無駄になったというわけではない。
攻撃を終えた輸送機は、ただちに帰還する。
長居する理由は無い。
残りの燃料のこともあるので、用が済んだらさっさと帰るに限る。
迎撃されたものもおらず、全機無事。
任務もとりあえず成功と言って良い。
余裕があるならやってこいと言われていた、爆撃地点の撮影もこなしていく。
そういう余裕を見せながら、輸送機は適切な高度に昇って帰還していく。
帰りは荷物が無い分、幾分身軽に動く事が出来た。
帰投した輸送機は、すぐに整備場に入っていく。
整備員が状態を確かめ、問題が無いかを調べていく。
攻撃を受けたわけではないので大きな損傷はない。
それでも、機械は動かしていく事で少しずつどこかが駄目になっていく。
それをいち早く見つける為に、様々な確認がされていく。
問題が無ければ次の攻撃に移るために。
爆撃は可能な限り繰り返し行う事が求められていた。
敵の施設建造速度は早く、一つ二つの施設を壊したところで全体の生産力はさほど変わらない。
また、壊した施設もいずれ修復されるのが目に見えている。
それを少しでも抑える為には、一回でも多くの攻撃を繰り出すしかない。
搭乗員を交代し、再び爆弾を搭載した輸送機が飛び立つ。
4機の輸送機は、再び敵地へと向かっていった。
これから暗くなっていく空をぬって。




