表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/176

111回目 戦略爆撃

 内部に爆弾を搭載した輸送機は、一路敵地へと向かう。

 護衛は全くついてないという無防備状態だが、現時点ではさして問題にはならない。

 敵である機械群には空を飛ぶものは存在しない。

 少なくともこれまでには確認されてない。

 それをもとに、迎撃にあがってくる航空兵力は無いだろうと予想されていた。

 確証はないが、今はそれを信じるしかない。

 輸送機の搭乗員にとっては酷な話ではあるが。

 それでも無理して飛ばす必要があった。



 最前線に作られた飛行場。

 そこに集められた四機の輸送機。

 これらが爆撃を担う事になる。

 もちろん、輸送機は爆撃を行うように作られてはいない。

 それを担えるのは、新地道では戦闘機だけである。

 しかし、航続力のない戦闘機では敵地に向かう事は出来ない。

 やむなく、航続距離と物資の搭載能力のある輸送機が爆撃の任務に選ばれた。



 このために、輸送機には必要な機材などが搭載されていた。

 簡易的ながら照準を付ける為の装置などである。

 ただ、もとよりこういった機器や装置があったわけではない。

 そもそもとして日本には爆撃専門の飛行機が存在しない。

 なので、ありあわせのものを流用して無理矢理作り出していた。

 おかげで精度や信頼性などの保障はない。

 一応作動はしてるが、それが爆撃にどれ程効果があるか分からない。

 もちろん、試験はしてどの程度動くのかは確かめてはいる。

 しかし、それとて実際に試してみるまで効果のほどは不明だ。

 全てがいきあたりばったりである。

 これで敵地を攻撃しなくてはならない。

 実際にやらされる輸送機の面々は不安を抱いていた。

 そして、指示を出した方もどこまで上手くいくかは分かってなかった。

 この時点では、多少なりとも効果があればよい、という程度の期待しか持ってなかった。

 それで片道3000キロを飛ばされるのだから、輸送機の搭乗員はたまったものではなかっただろう。



 それでも目的地までは障害もなく辿り着く事が出来た。

 四機の輸送機は森林や草原の緑が途切れ、金属の放つ銀色の平野を目にしていく。

「これは……」

「すげえ……」

 それを目にした者達は、一様にそうした感慨を抱いた。

 どこまでも拡がる人工物の里。

 自然な状態の対極にある姿。

 それがどこまでも拡がっている。

 善し悪しはともかくとして、それはそれで圧倒されるものがあった。

 だが、そうしてばかりもいられない。

「高度を下げる。

 爆撃の準備をしろ」

「了解」

 機内無線を使って指示が出されていく。

 その指示の通りに輸送機は高度を下げていく。

 それぞれが目にした目標に向けて。



 爆撃のやり方は単純だ。

 急ごしらえのどこまでまともに動くか分からない照準器で狙いを定める。

 目標が照準に入ったら、機体の後部扉を開いて、搭載してきた爆弾を落としていく。

 この辺りは物資の空中投下とやり方は同じだ。

 もっとも、こんなやり方なので命中率は期待出来ない。

 何発か落として、一発でも当たれば良い、という程度だ。

 それでも、専用の爆撃機がない以上、こうやって爆弾を落としていくしかなかった。

 その為に高度を下げていく。

 少しでも命中率を上げるために。



 これまた幸いにも、敵に長距離攻撃手段は無い。

 少なくとも今までそういった攻撃をされた事は無い。

 敵の機械が行う攻撃方法は、火炎放射程度である。

 溶接に使うバーナーを巨大化したようなものでだ。

 もともと施設や設備を作成するための機械なので、こうした機能がついてるのだろう。

 また、溶接のために熱した金属を飛ばす機構もある。

 これも金属を接合するために用いているようだった。

 これらの射程は数メートルから、長くても10メートルか20メートルと考えられている。

 倒した機械を分解して解析・調査した結果、こうした事が分かっていた。

 このため、高度を落としても高射砲などで迎撃される可能性は無いと考えられていた。

 また、ミサイルなどの誘導兵器もおそらくは保有してないだろうと考えられていた。

 いずれも過去において例がないからそう考えられてるだけである。

 なにもかもが『そうであるかもしれない』という予想でしかない。

 それが物騒ではあった。

 だが、それを信じてやっていくしかない。

 もしかしたら襲ってくるかもしれない迎撃行動を危惧しつつ、輸送機は最後の仕掛けに入っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ