11回目 別大陸におけるモンスター駆除業務 4
バギーといっても色々種類があるが、タクヤの乗ってるのは四輪になったバイクといった形状のものだ。
骨組みだけの軽量四輪車輌というわけではない。
その分、どうしても華奢な印象を受ける。
もちろん、利点はある。
自動車に比べれば小回りがきいて軽快な動きを見せるし、四輪なので安定性もある。
そこそこの積載量もあるので、多少の荷物も積み込める。
野外における偵察では、バイクと並んで活躍を見せる車輌である。
だが、乗員が剥き出しなので、この異世界においては危険ではある。
それでも配備されてるのは、比較的安価で数が揃えやすいのと、個人の機動力を大幅に上げられるからだ。
また、二人乗りや三人乗りもやろうと思えば出来る。
車輌に乗りきれない者達を回収する手段にも使える。
このため、軽便な移動手段として割と重宝していた。
企業の武装部隊の場合、簡易な戦闘車両としても用いられる。
だいたい、ハンドルや計器のある先頭部分に機関銃が設置されるのが通例だ。
バイクと違い、一応片手でも運転が出来るから、走りながらの射撃も出来る。
それがバギーの強みでもあった。
また、二人乗りなどをしてる時は、乗せてるもう一人が攻撃に専念する事も出来る。
この場合、個人携帯が可能なロケットランチャーや擲弾筒、無反動砲などを射撃する事もある。
防御力こそないが、こういった部分が利点とされている。
だからこそ、車輌に随伴するための補助的な戦力として使われてもいた。
可能であれば車輌を揃えた方が良いのだが、それだと金がかかるのだ。
それならば、という考えである。
実際、車輌の死角をバギーやバイクが補う事でそれなりの戦果も上げていた。
バギーからしても、車輌と上手く連携がとれないと危険である。
軽装甲車輌や戦闘用に改造された自動車を盾に動かないと、簡単に蹴散らされてしまうのだから。
なので、上手く車輌を援護するような動きを、そして車輌からの援護が期待出来る位置取りを心がけねばならない。
互いに持ちつ持たれつという連携が必要不可欠だった。
今も外回りにおいて、車輌を先頭に、その後ろにバギーやバイクがついていく形になっている。
これは、前方からモンスターがあらわれた場合に備えてである。
もしバギーやバイクが前に出ていたら、敵を塞ぐ事も出来ずに吹き飛ばされる。
そうなったら、簡単に戦力を失う事になる。
そうならないような配置を考えると、先頭と最後尾を車輌が固め、その間にバギーやバイクが入る形が最善となる。
場合によってはこれを崩す事もあるが、これが今のところ基本的な陣形となっていた。
(あとは、車が装甲車なら文句は無いんだけど)
バギーを走らせながら、現在の不満というか改善したい部分を考える。
タクヤの班には軽装甲車はない。
あれば防御力があがって、安全性も多少は上がるのだが。
だが、タクヤ達の班にまわされてるのは、武装された四輪駆動車だ。
それ自体は優れた車輌だし、文句があるわけではない。
一応、鉄板なども追加され、防御力も多少は上がっている。
車体内部にも、補強用の鉄枠が組み込まれ、衝撃に対しても多少は耐えられるようにはなっている。
しかし、最初から純然たる戦闘を考えて作られてる装甲車に比べれば見劣りする。
(もう少し何とかならないもんかねえ……)
何度も要望は出してるのだが、叶う気配はない。
それも仕方ないとは思うのだが。
(何かが起こる前に、やってきてくれるといんだけど)
そう思わずにはいられなかった。