表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/176

1回目 不可解な開拓業務

 このお話において、本格的な戦闘や戦争は72回目からになる。

 それまでは、そこに至る経緯や途中経過などを記したものになっている。

 戦闘や戦争部分が目的の場合は、これらを飛ばして72回目まで進むことをお勧めする。



 また、72回目から何回かは、そこに至るまでの説明や解説、粗筋のようになってるので、読み飛ばしても大丈夫かと。

「なんか、慌ただしいな」

 そう呟く立橋タクヤは、辞令の内容にクビをかしげる。

 無茶と無謀が基本の武装部隊ではある。

 何せモンスターとの戦闘の為に、あっちこっちに引っ張り回されるのだ。

 何らかの無理がかかるのは仕方ない。

 入社してから数年、それは骨身にしみるほど実感している。

 二十歳前にしてある種の達観に到達するほどに。

 すなわち、

『仕事は無茶なもの、指示は無理なもの。

 疑問を抱かず、言われるままに。

 結果は考えるな。

 なるようになる。』

といったものだ。

 諦めと言っても良い。

 そんなタクヤ(を含めた武装部隊の者達)が疑問を抱くほど今回の辞令は不可解なものだった。

「なんだよ、別大陸の開拓って」



 地球に突如出現したいくつかの大穴。

 直径10キロ、長さ約一万キロほどトンネルであるそれをくぐった先にある異世界。

 トンネルごとに別々の世界に通じたそれは、人類に新天地を与えた。

 日本も自国に開いたそのトンネルをくぐりぬけ、その先にある異世界に向かっていった。

 資源がない日本にとって、手つかずの大地は大きな可能性を与えてくれる。

 また、広大な大地は、現状からすれば無限と言える程の居住地を提供してくれる。

 それだけでもにほんにとっては夢の楽園のようなものであった。



 そんな異世界への入植が始まって数十年。

 新地道と名付けられた、日本の新たな領土。

 その起点である、異世界側のトンネル出入り口周辺は、既に都市と言えるほどの発展を遂げている。

 そこは新地道の首都として新開市という名前が付けられている。

 居住地も農場もひろがり、資源の採掘地は発見され次第即座に開発が始まる。

 その資源地帯とトンネルの周辺に拡がる都市を繋ぐ道路などは、今も拡大を続けている。

 なので新規の開拓なんて珍しくもない。



 しかし、今回の開拓は異様であった。

 それを別大陸で行うというのだから。

 異世界の広さは地球の数倍以上。

 大陸の広さや数も地球を上回る。

 日本に繋がるトンネルのある大陸も、ユーラシア大陸よりも広大だ。

 そこだけでも手つかずの場所が有り余っている。

 当然ながら開拓や開発は、中心大陸と呼ばれるこの場所を先にやっていくのが普通であろう。

 まだまだこの大陸も様々な資源が眠っている。

 調査の結果判明しているものだけでも、かなりの埋蔵地があると言われる。

 人手が足りないのでそれらはまだ手つかずのままである。

 つまり、他の大陸に行く必要が全くない。

「なんでわざわざ他の大陸に?」

 タクヤに限らず、辞令を受け取った者達は誰もがそう思った。



 一井物産警備部・武装警備隊所属の立橋タクヤも例外ではない。

 まだ19歳のこの男も、数年の職務を経てある程度世の中が見えてきている。

 そのタクヤのささやかな経験からしても、今回の指示はとにかくおかしなものであると思えた。

 なのだが、

(まあ、いつもの事か)

と達観するほどに職務に馴れてもいた。

 無茶や無謀は当たり前の武装警備隊である。

 訳の分からない場所に放り込まれるのも、いつもの事と言ってしまえる。

 それくらいタクヤ達はあっちこっちに引っ張り回されていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ