2話 勇者?の町歩き+魔物討伐
久しぶりのこの小説投稿です。
遅くなってすみません!
こちらの世界に来て一週間が過ぎた。
俺はあの羊戦が終わったあと負傷した右足を王女様の治癒魔法で直してもらい、一応鍛練に励んでいる。
あの羊以来、脅威と呼ばれる魔物は出没せず勇者である俺は休みを貰って町を歩き回っていた。
「うーん。詩奈は大丈夫なのか?家事は出来るがまだ16歳だしな。さっさと帰ってやりたいが帰り方がわかんねぇし」
「勇者様?どうなされましたか?」
「いや、もとの世界にいる妹が気になって」
「そうですか。···申し訳御座いません。急に呼び出してしまって」
「い、いや。気にしないで。この世界ほど俺のいた世界は危険じゃないから大丈夫だと思う」
「そうですか。勇者様のいた世界はとても良い所なのですね。···そんな世界からこんな危険な場所へ連れてきてしまい本当に申し訳御座いません」
「···王女様が思ってるほど良い世界ではありません」
その言葉に驚いた王女が勇者の顔を見てみると勇者は暗い顔をしていた。
「···。あ、あのお店に寄って行きましょう!」
そう言い王女が指指したのはアクセサリー屋だった。
「え、あ、はい」
「いらっしゃいませ。···て、王女様!?」
「こんにちは店主さん。なにか良いものはありますか?」
「良いものですか。···これなんてどうでしょう?」
店主は指輪を出した。
「これは付けると魔力消費が4/1になる指輪です」
「ん~。勇者様。勇者様はどれが欲しいですか?」
「え?い、いや俺はいいよ。俺にはそんなもの必要ないだろうし」
「いえ!ここはなにか渡したいのです!勇者様には危険な魔物狩りを頼んでいるのに何もお返し出来ないのは嫌です!」
「そんなことはないよ。俺が怪我したとき、いつも回復魔法をかけてくれるし」
「それだけでは駄目なのです!お願いします。何かプレゼントさせて下さい」
「···」
「···。あんちゃん、ここは貰っておけ。王女様からのプレゼントなんて貰えるのなんてどんなに願っても叶わないことだぞ?」
「···。分かった。しかしどれを買ったらいいのか分からないから王女様が決めてくれない?」
「分かりました!勇者様の手助けになるようなものを探します!」
「···。あんちゃんは遠距離、中距離、近距離のなかでどれが一番得意だ?」
「···。近距離ですかね」
「近距離か。それならこれなんてどうです?」
出されたのは様々な色の球が付いている腕輪だった。
「ちょっと値段は高いですが、これにはステータスUPと状態異常耐性がついています」
「!?い、いいのですか!?」
「ええ。王女様にはよくうちの若い奴らもお世話になっていますし」
「それで、いくらなんですか?」
「そうですね。···。金貨10枚でどうでしょう?」
「店主さん!」
王女は急にカウンターを叩いた。
「ど、どうされましたか王女様?」
「店主さんは嘘をついています!これ程までいい装備なんて王宮でも金貨20枚で買い取られています。なのに金貨10枚なんておかしいです!」
王女はカウンターに身を乗り出し店主に抗議している。
「いや。こんなものは金貨10枚で十分です」
「いえ。絶対に金貨20枚以上で買わせていただきます」
「(王女様、とてもいい人だな)」
結局、王女様は金貨25枚で指輪を買った。
ただし魔力消費4/1の指輪も付いてきたのだが。
「勇者様。これを」
「ありがとう」
勇者は早速付けてみることにした。
「えっと。これでいいのか?」
勇者は薬指にその指輪を付けた。
「うーん。なんか変わったのか?」
「そうですね。試すためにもちょっと魔物を狩りましょう」
「そうだね」
「あ!あれはドーピッグです」
「確か防御力が高い代わりに攻撃が突進だけで簡単に避けれる魔物だっけ?」
「はい。あの魔物で試してみましょう」
「ブヒィー」
「勇者様頑張って下さい!」
「任せとけ!(流石にこの豚相手に手こずる訳には行かない。でも攻撃力が相手より上回ってないと倒せないからなこの豚は。今まででは確実に上回ってないけど今はステータスUPがついてるから大丈夫かな?)くらえ!」
ザクッ!
「ブヒィ!?」
「よし!刺さった!でも少ししか入ってねえ」
「ブヒィ!」
「剣を抜いてもう一度斬ろう。···あれ?抜けない」
剣はドーピッグに5cmほど刺さったが肉質が固く剣が抜けなくなってしまったのだ。
「勇者様!大丈夫ですか!」
「あー。えっと。剣がドーピッグから抜けなくなってしまったみたい」
「え!?そ、それは困りました。どうすれば」
「王女様。魔法で倒して貰えませんか?」
「あ!その手がありましたね」
ドーピッグは魔法防御はゴミのため魔法使いが有利なのだ。
「火の精霊よ。あの魔物を燃やせ。ファイヤーボール」
すると王女の手のひらからバスケットボールくらいの火の玉が出てドーピッグは燃えた。
「流石王女様」
「いえいえ。歴代の勇者様達も使えたので勇者様も使えますよ」
「へえ」
「なら一度属性を調べてみますか?」
「お!それはいいですね」
「ではドーピッグを運びましょう」
「俺が持つよ。重いだろうし」
「ではお言葉に甘えさせて頂きます」
勇者はドーピッグの肉を掴んだ。
「熱っ!?」
ドーピッグはかなりの高温だった。
「···」
確か魔法はその属性の精霊を呼び、対象に効果を指定し魔法名を言うんだっけ。
「氷の精霊よ。この豚を冷やせ。アイスボール」
···。
何も出ない。
というか冷やすのに氷の塊は駄目か。
「どうされました勇者様?」
「いや。なんでもないよ」
いま触ったらだいぶ熱くなくなったし。
よっこらせ···あ。
重いので頭に乗せようとしたのか、ドーピッグを持ち上げそのまま背中から地面に激突した。
「痛った!」
「勇者様!大丈夫ですか!?」
「大丈夫。ちょっと勢いをつけすぎただけだから···よっと。なら行こうか」
「大変だったら言ってくださいね?」
「問題ないから!安心して!」
「は、はあ···あ!足元に段差が」
「え?ガフッ!」
勇者は派手に顔面から転倒した。
「あわわわ。ち、治癒の精霊よ!勇者様に癒しの祝福を!ヒール」
「あ、ありがとう」
「もう怪我とかはありませんか!」
「もう大丈夫だよ。すぐ魔法をかけてくれたから痛くないし」
「そうですか。それは良かったです。では二人でもって帰りましょうか」
「え?い、いやこの程度一人で行くよ」
「駄目です!もう勇者様に怪我をさせるわけにはいきません!」
「は、はい」
結果、長い時間をかけて無事?城に帰ることが出来たのだった。