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悪役令嬢、頑張ります。  作者: 影干し
第一章 気づいたら侯爵令嬢
9/64

8、攻略対象3人目


 駄目だ。よく考えればエレオノーラ様の事で感情的になりすぎた。

 私がエレオノーラ様と仲良くしていれば家の事が絡んでくるのは必然的なのに、あの気安い関係が普通の友人だと思っていたんだ。


 馬鹿馬鹿しっかりしろ私!今は侯爵令嬢っていう身分として産まれてきてるんだから。

 むしろエレオノーラ様は私が信頼したい人だ。家の応援があったってエレオノーラ様の言う通り、私達は変わらない。

 もしエレオノーラ様が乙女ゲームの世界の悪役だとしたら将来ヒロインに王妃の座を奪われかねないんだから、私は王太子様じゃなくエレオノーラ様についていきたい。

 まぁ今はそうじゃなくて貴族の派閥争い的な問題かな。

 王太子様にも気を遣わせてしまったし…、にしても随分と仲良く見えるなぁ。


「エレオノーラ様、申し訳ありません。利用していたなどと…、家の事が感情的になって見えていませんでした。お祝いの場での無礼をお許し下さい。」


「先に場を乱したのはエレオノーラだから気にしなくて良いよローゼマリー嬢。こんなところで挨拶させて目立つような真似をさせてこちらこそ、すまない」


「家の事を関係無く私を気に入ってくれていたなどと可愛い事を言ってくれる!許さない訳あるか!ほら殿下、見ろ!可愛いだろうローズは!」


 王太子殿下をバシバシ叩いている。


「はいはい良かったね。ていうかそれやめてくれる?スフォルビア公爵令嬢さん。ここは公の場で王太子としての扱いしてくれないと困るよ。君がそうやって気安すぎるからローゼマリー嬢が傷ついちゃったんでしょ。」


 むぐっとエレオノーラ様が口を噤む。気安さで言ったら王太子殿下も相当だと思うけど…。

 二人を見ると改めてシャンと襟を正したようだ。

 こうして見ると先ほどの気安さが嘘のように雲の上の二人だ。

 銀髪に少しだけ長めの髪を後ろで縛って垂らしている赤い瞳の王子様と、いつもの騎士服で豊かな黒髪をひとつに束ねている姿では無く、黒髪を美しく結い上げている深い青い瞳の公爵令嬢。

 今日は二人とも正装しているので、格好良いし美しい。

 王太子様は目立つ髪色と瞳の色をしているけれど、顔立ちは元日本人の私からしたら普通にかっこいい部類だけれど、家の両親のように派手な美形という訳では無い。

 クラスメイトに目立たないけど、よく見ると顔がかっこいい人がいるような、わかりにくいけど、そんな感じだ。


 正直言って、前に乙女ゲームの一部の画面が見えたエレオノーラ様と喧嘩してた人と違う。

 そもそも髪の色と目の色が違う。そしてもっと派手なイケメンだったはずだ。

 もう王太子様との婚約が決まった時点でまた誰かと婚約するって事は無いはずだし、訳わからなくなってきた。

 それにシュバルツ・イガナスクっていう名前を聞いてもそういえば画面が思い浮かばなかったな。


 そうするとエレオノーラ様が私の手を取った。


「ウィステリア侯爵、皆様、婚約披露の場を乱し申し訳ありません。ですが、ここにいるローゼマリー・ウィステリア嬢は私にとって特別です。宝石のように至上の輝きを失わないよう守っていきたいと思っております。」


 良い笑顔でエレオノーラ様が周りの皆に言い放った。

 え゛っ!!!!???

 人が考え事してる時になんて事してくれてるんですか!

 私はエレオノーラ様を凝視して茫然としてしまった。

 私にそんな価値無いんだけど、過保護過ぎませんかエレオノーラ様!そしてあなたはいつも急なんですよ!

 通告しといて!せめて一言こういう事するよって注意しといて!


「では、私も婚約者の意を汲みましょう。」


 そのエレオノーラ様に寄りそう形で王太子殿下が乗ってくる。

 これ以上混乱させないでーっ!!

 遠くにレイスが見えた。呆れた顔をしてこちらを見ている。

 周りに宣言してしまった以上、私も引き攣った笑顔で周りからの視線に応えるしかない。

 なんだか不本意な形で王家とスフォルビア家の後ろ盾を喧伝する形になってしまった。


 あの後二人は席の方に戻っていって、やっと二人から離れられた。

 陛下達の挨拶とはまた違う疲れがどっときたような気がする。


「お父様、絶対にスフォルビア公爵に挨拶に行きましょう。」


「あそこまでやられたらそうだねぇ。スフォルビア公爵もエレオノーラ様には苦労してそうだなぁ。」


 お父様は苦笑していた。


「けど、ローズ。王族への挨拶は済んでいないよ。あちらに第二王子がいらっしゃるから挨拶が済んでからね。」


 言われて気付いた。

 

 両陛下とエレオノーラ様達は異様な存在感を放っていたけれど、もの凄く大人しいから第二王子がいる事に気づかなかった!

 下を向いて、慣れない挨拶を受けている様子だ。若干、様子が暗く見える。

 その内に順番が回ってきて国王夫妻とエレオノーラ様達にした自己紹介と挨拶を同じく家族でした。

 第二王子は王妃様と同じはちみつ色の髪の毛で瞳の色は赤というよりもピンク色に近い。

 顔立ちは国王陛下の厳しい目つきを受け継いでいる感じだ。

 王太子よりもはっきりした顔立ちで美形というよりも6歳の見た目なら可愛いというのだろう。



「私はイガナスク王国の第二王子、ヴィズ・イガナスクだ。」


 途端にフッと画面が見えた。はちみつ色の髪をしたイケメンが怖い顔をしてピンク色のヒロインを髪ごと絡め取って壁ドンしている姿だ。

 同じく、ヴィズ・イガナスクという人物の情報が頭に入ってくる。

 攻略対象、こっちの王子様だった!!

 エレオノーラ様とも喧嘩してたのもこの王子様だ!うわ…うわ…。

 というか…この人…というかこの子…。


 ゲーム上、一番の問題児じゃん!!!!!!

 エレオノーラ様がいなかったらわかんなかったかもしれない!


 前世で地雷王子と名高かった王子様が目の前に座っていらっしゃる!


 私は微笑みながら心の中はめちゃくちゃ動揺しまくっていた。


 前世で何故そんな名前がつけられたかというと、攻略対象のくせに悪役よりも悪役らしいのだ。

 やっぱり全部は思い出せないけれど、あまりの強烈さに第二王子だけ部分的に思い出せた。

 俺様+ツンデレキャラとかなり良くとったら、そう言えるかもしれないけれど、主人公を追いつめたり暴力をふるう事もあるキャラクターなのだ。

 それが主人公を好きだからという理由なら乙女ゲームとしての体を成していたかもしれないけど、そうじゃない。そんなDV男はもっと嫌だけど。


 この子はエレオノーラ様の事が好きになる。

 だけど、エレオノーラ様は将来の王太子のお嫁さんだ。

 初恋は歪んだ執着心になってエレオノーラ様に近づく輩を脅しを使ってでも排除していく。

 その近づく輩の中にヒロインがいる訳だけど、何故こんなの攻略対象にしたァ!と問いただしたいぐらい酷いのだ。

 その地雷王子が目の前に座っている。


 私はエレオノーラ様とこの第二王子は今どうなっているんだろう、と漠然と不安を抱えたまま、ごくりと唾を飲んだ。

攻略対象その3。かなり強烈です。

乙女ゲーの中での悪役もこなす攻略対象。たまにいるやつ。

今回は第二王子で引きたかったので短くなりました(たぶん?)


閲覧、ブクマありがとうございます。

嬉しいけれど、増えていく閲覧数にビクビクしています。ランキングに入った訳でも無いのに何が起こった…?

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