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悪役令嬢、頑張ります。  作者: 影干し
第一章 気づいたら侯爵令嬢
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7、挨拶行事

前話の更新と時間が近いので読み飛ばしにご注意下さい

 

 婚約披露パーティーの主催である王族がいるところへ両親と向かうと、前の方に王族方とエレオノーラ様が豪華な椅子に座って順番に来る貴族を相手にしていた。

 最初に私はエレオノーラ様が目に入った。

 今日はとても美しい様相だ。それでもあの威厳は失われていない。

 私は嬉しくなってますます、微笑みから笑みが濃くなった。

 エレオノーラ様が合間にこちらに気づいてエレオノーラ様も笑みを返してくれた。嬉しい。

 エレオノーラ様は隣にいる誰かとしゃべりながら、こちらを示している。

 よく見ると、隣に王太子もいた。お忍びで見た時とやはり同一人物だった。

 本当だー!初めて銀髪見たよー!あの時は暗い茶色に染めていたから、染めるだけでもやっぱり印象変わるんだなぁ…。

 私が一人興奮していると、お父様に「あちらが国王陛下と王妃陛下だよ」と小声で教えてくれた。

 エレオノーラ様と王太子の近くに確かに国王夫妻もいた。

 お母様の言った通り国王陛下は背の高い人だった。騎士団のムキムキを見てるので鍛えている、と言ったら言い過ぎだけれど、あれだ。細マッチョだ。

 多分30代ぐらいだと思ったけれど、顔は苦労が出てしまっているのか目の下の皺などがもう少し老けて見えさせる。

 髪は王太子と同じく、銀髪、赤い目だ。王太子よりも目の色が明るい赤。

 別に苦労人という雰囲気を醸し出している訳ではなく、王様としての威厳に満ちている。

 お父様のようにツリ目という訳ではないのに、眼光が鋭い。

 王妃陛下は国王陛下が厳しい雰囲気なので、幾分柔らかく見えるけれど、隙が無い感じだ。

 王妃様は銀髪ではない。はちみつ色の髪の毛だ。そして控え目美人だ。

 私、国王陛下にきちんと挨拶出来るかな…。思わずお父様のズボンをきゅっと掴んでしまう。

 怖いというより、緊張する。


「ローズ、大丈夫。」


 お父様が小声で励ましてくれる。

 国王夫妻に挨拶をする順番が来た。最初はお父様たちがまず挨拶する。


「お久しぶりでございます、国王陛下、王妃陛下。ユリウス・ウィステリアでございます。私ども、ウィステリア侯爵家をお招きいただき恐悦至極に存じます。そしてこの度は王太子殿下とエレオノーラ・スフォルビア公爵令嬢とのご婚約誠におめでとうございます。」


 片膝をついての最敬礼の挨拶だ。お父様が一家の長としてまず挨拶を済ます。


「ユリウスの妻、エリザベート・ウィステリアでございます。この度は王太子殿下とスフォルビア公爵令嬢とのご婚約、誠におめでとうございます。」


 私も片膝をついたまま、お母様の後に続く。


「お初にお目にかかります国王陛下、王妃陛下。ユリウス・ウィステリアの娘、ローゼマリー・ウィステリアでございます。この度は王太子殿下とエレ…スフォルビア公爵令嬢とのご婚約おめでとうございます。」


 ほぼお母様のパクリだけど、エレオノーラ様の名前しくった…!だ…大丈夫だよね…?

 そうすると、国王陛下が口を開いた。


「夫婦二人そろっては久しぶりだなユリウス、エリザベート。相変わらず目立つ夫婦だ。その恩恵を受けた子を見てみたいと皆、心待ちにしておったぞ。」


 うげっ!私の事は放っておいてよ~!


「息子の婚約者が『宝石』だと言いふらしておった。私にも自慢してきて感想を言えとせまってきてな。顔を拝まずに帰れん。」


 エ レ オ ノ ー ラ 様 ????

 あなた一国の王様になんて事言ってるんですか!!!


「恐れ多い事でございます。私にはエレオノーラ様の方が美しく聡明で人としての輝きを持っていると思います。」


 めちゃくちゃ焦っていたが、一生懸命顔に微笑みを張り付けながら陛下に向かって、あの人の方が宝石よという弁明をしていた。


「ふむ。確かにユリウスとエリザベートから良いところをもらっているな。」


 陛下の厳しい双眸でじっと見られる。ひぃいい~。


「どんな輝きを見せてくれるのか、将来に期待しよう。私は中身の無い人間には興味が無い。」


 父様が片膝をつきながら陛下達の見えないところで拳をギュッと強く握っているのが見える。

 止めてよ、お父様!私の頭はスカスカなんだからしょうがないよ!

 顔だけだって言われてても、それも褒め言葉でしょ!


「この国の一助となれるよう、精進致します。」


 お父様にハラハラしながら私は答えた。


「陛下、ユリウスが一人娘を侮辱されたと感じる言い方はお辞め下さいな。あなたは正直に言っているだけでしょうけれど、配慮に欠けますよ」


「む…。そうか?」


「王妃陛下、父、ユリウスは私にとても甘いのでご配慮、誠にありがとうございます。けれど、私は先ほどの言葉を国王陛下からの激励だと承知致しております。」


 国王夫妻は私を見た。いくら陛下が厳しくて怖くてもお父様のためなら私頑張るよ。


「私にとってはこの外見も両親からもらった大切なものです。それをお褒め頂いたのは素直にとても嬉しく存じます。」


 ニコっと笑顔で二人を見た。もう怖さは無い。今日の私は挑戦者だ。

 国王夫妻はフッと微笑んだ。


「ユリウス、ローゼマリーは小さくとも親思いの子どもらしい。お前をかばう姿は確かにいじらしいな。」


「…私たちの自慢の娘です。」


「大事にしすぎてお前たちの宝が目を曇らせる弱みにならないよう気を付けよ。」


 国王陛下は先ほどの厳しい顔から穏やかな顔になっている。

 娘を大切にしすぎて貴族としての振る舞いを忘れるなという釘刺しだけれど、国王陛下はなんというか厳しい先生みたいだ。


「私共の方が子供たちに日々、勉強させてもらっています。浅慮な私の振る舞いをお許しください。」


「良い。」


「許します。あなたの家族思いの噂は聞いていますからね。」


 このあたりで国王夫妻の御前からは失礼させてもらった。


 ふあ~~~っ!!!良かった!!なんとか終わって本当に良かった…!

 さてさて、こんな状況を作ってくれやがったエレオノーラ様に問い詰めがてら王太子様とエレオノーラ様にも挨拶行かなきゃな。

 移動する際に小声でお父様とお母様としゃべっていた。


「本当にヒヤヒヤしましたよユリウス様。守りに来たのに娘にフォローされてどうするのですか、あなたは。」


「…家の娘は中身が無くなんかない。」


「お・と・う・さ・ま?陛下は将来に期待すると仰っていたではないですか。こんな小さい内から目をかけてくれるという事です。それでも十分褒め言葉に匹敵しますよ。お父様にも怒らないで欲しくて口を出してしまったのですから。」


「家の娘は父様と母様想いの勇気のある女の子だ。今すぐ抱き上げてしまいたい。」


「まぁ私もローズには驚きました。あんなに緊張していたのに、あの言葉は…本当にあなたは私たちの自慢の娘です。頑張りましたね、ローズ。」


 お父様は両手がうずうずしているし、お母様は私を労って頭を撫でてくれた。

 なんだか胸がくすぐったい気分になる。

 なんだか圧迫面接を受けた後みたいな気分なので優しさが身に沁みる。


「ローズ!!」


 親子でしんみりしていたところに入ってきた呼び声に、びっくりして声の主を見たら、エレオノーラ様だった。 

 あれ、もう順番まわってきてた?

 周りを見たら、エレオノーラ様が座っていたはずの椅子から真っ直ぐこちらに向かってきたようで視線をこちらに集めてしまっている。

 エレオノーラ様あなた主役でしょーー!!??

 椅子の方を見ると王太子が苦笑いでしょうがないなって顔してこちらを見ている。えっそれでいいの!?


「こちらの方が忙しくて顔を出せなくてすまなかった。久しぶりだな、会いたかったぞ。よく来てくれたな。」


 なんだその久々に会った恋人みたいなセリフは。


「え、エレオノーラ様…。その…私も直接会ってお祝いをと思って来たのですけれど、あちらに座っていなくて良いのですか?王太子殿下も困ってしまいますよ?」


 私も現在進行形で困ってますので戻って!

 私はしどろもどろと周りの視線を気にしながら、なんとか答えた。


「私が早くローズに会いたかったんだ。ちょくちょく席は知り合いに会う度に外してるからまぁ大丈夫だろ。」


 王太子様…早くも苦労しますね…。私は口元に引き攣った笑みを浮かべてしまった。


「あっ、エレオノーラ様、変な噂を流さないで下さいと言ったじゃないですか!陛下にも言われてとても焦ったんですよ!」


「変な噂?」


「その…『宝石』とかいうやつです…。」赤い顔をしながらプクッと頬を膨らませる。

 そうするとエレオノーラ様にプクッとした片頬を突っつかれた。ぷすす。


「ウィステリア侯爵、お久しぶりです。奥方のエリザベート様はお初にお目にかかります。エレオノーラ・スフォルビアと申します。」


「初めまして、エレオノーラ様。お祝いの言葉はお二人が揃っている時の方が良いですね。」


「嵐のようなお転婆なのは相変わらずですね。」


 お父様もお母様も苦笑して返していた。

 そうするとエレオノーラ様が両親にしゃべりかけた。


「お二人の宝でもあるローゼマリー嬢がもう少し小さい頃から、見た目の愛らしさから限定的ではありましたが宝石のようだと言われていたのは知っていますね?」


 え?そうだったの?


「私はその噂をわざと私の口から広げています。スフォルビア家の後ろ盾で守れればと思ったからというのもありますが、個人的にローゼマリー嬢を気に入っているからです。」


「……では、ウィステリア家もエレオノーラ様の側という訳ですね。」


 お父様は呆れて降参のポーズを小さく取った。


「ひとつ間違えないで欲しいのは私はどう転んでも娘のためになる所にしか付きませんよ。」


「十分だ。それにローズが宝石のように輝く美しさなのは本当の事ですから。」


 貴族の力関係に利用されていたという事?やばい、陛下から中身が無いって言われた時よりショックかもしれない。


「…私はエレオノーラ様に利用されていたのですか?」思わず目が潤んでしまう。


「違うと言いたいが、これから私が立場を築く時に力を貸してほしいのは確かだ。ローズ、私は何も変わっていないよ。ローズを傷つけるかもしれない者を退けたい。出来ればずっと可愛がっていたい。私はこれから王妃教育を受ける事になるが、将来私を支えてくれる一人になってほしいと思っているんだ。…泣かないでくれ。」


「泣いていません!私将来の事なんてまだわかりませ…」「エレオノーラ、何をしてるの?」


 王太子殿下もこちらに来てしまった。


「何、君の宝石を泣かせているの?馬鹿だな~。」「馬鹿とはなんだ、殿下。」エレオノーラ様がムッとして答えている。


「あぁ、そうだ。初めまして、私はこの国の第一王子、シュバルツ・イガナスク。王位第一位継承権を持っている王太子として知られています。」


 ハッとして片膝を付いて挨拶の体勢に入る。お父様もお母様もそれに続いてくれた。


「お久しぶりでございます王太子殿下。ユリウス・ウィステリアでございます。この度はエレオノーラ・スフォルビア公爵令嬢とのご婚約、誠におめでとうございます。」


「お初にお目にかかります王太子殿下。ユリウスの妻・エリザベート・ウィステリアでございます。ご婚約誠におめでとうございます。」


「お初にお目にかかります王太子殿下。ユリウス・ウィステリアの娘、ローゼマリー・ウィステリアでございます。この度はご婚約おめでとうございます。…エレオノーラ様もおめでとうございます。」


「ありがとう、エレオノーラと一緒にこの国を一層栄えさせていけるよう努力していくつもりですが、まだ未熟な私たちに力を貸して下さいね。」


 綺麗な銀髪を揺らしてニッコリと答えてくれた。


「ローゼマリー嬢、一応エレオノーラのフォローをしておくと本人はこうなる事は知らなかったから元々、利用するつもりなんて無かったと思うよ。それにこの猪突猛進が結果そうなっただけでローゼマリー嬢を可愛がりたいだけなのは本当だよ。」


「お前は一言多い。」「もう敬称も無くなっちゃったよ。」


 やれやれと王太子殿下は肩を竦めていた。


主人公涙目ですが続きます。

結局長くなったけど、いまいちキリよくいけなかった…。

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