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悪役令嬢、頑張ります。  作者: 影干し
第一章 気づいたら侯爵令嬢
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35、お披露目 ※挿絵付き注意

※今回は私が描いた主人公の挿絵がついています。服につけるアクセサリーは正式名称が無いらしく知らない方には想像しずらいかと思いましたので描いてみました。少女漫画風の落書きイラストです。文字だけで楽しみたい、自分の中でイメージがあるのを崩したくない、素人絵はちょっと…という方は、本文の後に空白をいくらか設けましたのでそのまま戻るか、お手数ですが右上の挿絵表示をオフにして下さい。どんと来いな方はスクロールをそのまま下へどうぞ。


 なんだか大変な事になってしまった。

 ライルの一声がきっかけで、私のアイディアが採用されてウィステリア領の針子とマグノリア領の細工師で共同で服を作る事になった。

 服と言っても、布地の部分はウィステリア領の針子が、服につけるアクセサリーはマグノリア領の細工師が、といった感じだ。

 私の服を作る事になったのだけれど双方にとっては大仕事だ。

 どちらもそれぞれに合わせたデザインを考えなければならない。

 なんでお母様が広告塔としてぴったりと思ったのに私の服を作る事になったんだろう…。


 あれから家族も巻き込んで、ウィステリア家ご用達の針子のお店の方達を呼んで、ネックレスを服につける説明をした。

 既に侍女達でデザインを数枚描いていたらしく針子の方達も同じく意見を出していた。


 お父様もお母様もシュナイザーも新しいアイディアとして、とても褒めてくれたけれど、ライルと協力してデザインを決定しないといけない事とウィステリア領とマグノリア領の協力で作る代表作品という事でお父様とシュナイザーにちょっとごねられた。

 お父様にはライルと私の繋がりが今から見えすぎるのと、それを流行にしてしまえば領民達にも影響が大きい事に苦言を呈された。

 既に領民達が動き始めてしまっているのでそんな事言われても遅いです、とも思ったけれど結局はシュナイザーと同じく”ライルとの共同”という事が気に入らないだけなのだ。

 お母様は逆にライルとの仲を見せつけていく事と新しいデザイン案にとても喜んでいた。

 「合同授業で早速二人の距離が縮まるなんて」と言って頬に片手を当ててニコニコと微笑んでいたけれど、二人がもっとごねるので止めてくださいお母様…。

 私が「むしろお母様がやってくださった方が影響が大きいと思います」と自分の希望を伝えてみたけれど「ではローズの後でユリウス様に見立ててもらおうかしら?ローズ達が作る流行には私が最初に乗りましょう」とお父様に声をかけていた。

 妻に弱いお父様が断れるはずもなくお母様にしっかり約束させられていた。

 「どんな宝石を身につけてもエリーは美しいからとても悩むね」とか夫婦間で甘ったるい雰囲気を出し始めたのでシュナイザーと早々に部屋に引っ込んだ。

 お父様は娘にも甘々だけれど、妻にも甘々なのだ。経験の無い私には目に毒…、いや、子どもには目の毒だ。

 8歳になった今では、さすがに毎日シュナイザーと一緒に寝る事は出来なくなった。

 たまに、いや時々なら許されているんだけど女性としての自覚を早く身に着けないといけないらしい。はぁ…。

 

 マグノリア領も合同、という事でマグノリア公爵と公爵夫人にも話を通しておかなければならなかったのでお父様とお母様にそれも協力してもらった。

 ライルから話は聞いているようだったけれど、領地の産業に関わる事だったので大人の話し合いも必要だったのだ。

 お母様から聞いた所によるとマグノリア公爵はOKを出したぐらいだけれど公爵夫人はとても乗り気らしい。公爵夫人は自分が流行を作る側の人間なので新しい流行の兆しに貪欲だ。ただお母様達二人で私達の事を騒ぎたいだけの気もするけど。


 私はどんどん話が進んでいくのにモヤモヤと懸念を抱えていた。

 お父様も言っていたけれど、領地の結びつきを見せていくと未来で婚約破棄しづらくなるという事だ。

 ライルがヒロインを好きになったら、身動きが取れなくなってしまう可能性もある。

 少しだけライルと話しておく必要があるかもなぁと思いながらその日は眠りについた。



 今回はライルの発案という事でマグノリア公爵家で今回のお披露目会をする事になった。

 流行に敏感な貴族女性と、影響力の強い貴族の子供達を呼んでお茶会だ。

 えぇと、ようはライルのお母様であるオリヴィア様のお得意様兼お友達と私達と繋がりのある女の子達がお客様だ。

 もちろんエレオノーラ様にも招待状を出したのだけれど、王妃教育で忙しいのに来れるのかなぁ?

 いや、来る。絶対来る予感しかしない。まさか王太子様今回もお忍びで来るとか無いよね…。

 

 なんだか思ったよりもすぐにお披露目の日はやってきた。

 さすがに着替えや準備は家でしてからマグノリア公爵家へ向かう事になる。

 その日は私を飾りたてる事に並々ならぬ情熱を燃やす侍女達や針子達やお母様の前で熱気を浴びながら言われるがままにされていた。

 けれど鏡の前でお気に入りの容姿がどんどんと可愛らしくパワーアップされてるのがわかるのは楽しい。

 私のブロンドの髪の毛の上半分を編み込んでハーフアップにして、下ろしている髪の毛は元々緩くウェーブがかかっているところをもっとくるくるとボリュームを出してもらい、主張しすぎないカチューシャのような花の形のデザインをしたダイアモンドのような宝石が入っているティアラを上に乗せていた。このティアラもマグノリア領の細工師による物だ。

 ドレスも襟周りがほとんどレースで首元はカフスピンでとめており、今回の主役である服につけるネックレスのようなルビーとピンクの宝石がチェーンで連なっており、白いレース生地が多い上半身の胸元の真ん中にきているので大きな宝石が目立つようになっている。

 私は今回、細工師さんに頼んで端についている留め具を作ってもらった。付け外しが可能で他のものとの交換が効くように。留め具だけ情報を与えておけば、もしかしてネックレスを飾りにしたい人には端を留め具に変えれば良いだけなのでお互い希望する人も細工師さんもコスパが良いかな、と思って…。

 今回、針子さん達もだけれど家の侍女達もはりきって、宝石がやはり存在感があるのでドレスの方もそれに負けないようにしないといけないと刺繍を頑張ってくれた。

 家で侍女達があれも駄目これも駄目と妥協を許さなかったので良いものになったと思う。

 一応完成体である私を見て目を潤ませてた侍女達もいたので、なんというか情熱に感謝。

 上半身が白と紅い宝石なので下のスカート部分は深い青だ。色が違うので上と下で別れているような形になっている。

 私はその場でくるっと回って「どうかしら?」と聞いてみた。


「とても可愛らしゅうございます。いつにも増して童話から抜け出してきたような姫君のようです」


 感無量という感じで侍女が答えてくれると、近くの部屋でお茶をして待っていたお母様もやってきた。

 お母様もびっくりした様子で口に手をあてて目を瞠っていた。

 お母様は私の目線に合わせてかがんで微笑みながらふわりと私の頬を両手で包んだ。


「本当に可愛らしいわ、私のローズ。ネックレスには、こういう使い方もあるのね…。これは流行りそうだわ。この可愛らしい姿をユリウス様とシュナイザーにも見せにいきましょうか。うふふ、こんなに可愛いと婚約者も惚れ直してしまうわよ」


 何故かご機嫌なお母様と一緒にお父様とシュナイザーの元へも行くと二人ともにもべた褒めされた。

 二人とも拗ねてたのに私の姿を見た途端ふきとんでしまったようだ。

 その後、予定通り家族でマグノリア公爵邸へと馬車で向かった。


 到着するとまずはマグノリア公爵一家と打ち合わせしないといけないので、ライルのお父様であるマグノリア公爵と公爵夫人であるオリヴィア様、ライルが待っている部屋へと通された。

 最後の抵抗とばかりにお父様に後ろに隠されていたけれど、それが余計にマグノリア一家が私を見た時の衝撃を強くしてくれたようだ。

 マグノリア公爵はお父様と話し始め、オリヴィア様はこれは一体どうなっているのかと留め具の部分などをしっかり確認されたので、違うものと交換すればまた他のオシャレが楽しめますと説明しておいた。

 ライルは珍しくいつも褒めてくれるような何の言葉も吐かず目を瞠った後に口を開けたまま私を見つめていた。


「…ライル?大丈夫ですか?」


 ライルの目の前で手を振ってみると、ハッと我に返ったようで言葉を返してくれた。


「…いや、予想以上でかなりびっくりした。とても似合っているよ」


「家の者も、マグノリア領の細工師達も頑張ってくれましたからね。今日はなるべく頑張りましょう」


 ライルにしてはあまりスマートな感じが無く言葉が少なくてちょっと違和感を覚えた。

 そうすると隣にいたシュナイザーがギュッと私の手を握ってきた。その顔は不機嫌だ。

 私はシュナイザーの顔をつんつんと突いた。そんな顔も可愛いと思うのは姉バカだろう。


「では、お茶会のお部屋へ移動しましょうか」


 というマグノリア公爵夫人の一言で、私はライルにエスコートされて部屋へと続く長い廊下を歩いた。


 お茶会の部屋へのドアを使用人がドアを開けて、お披露目する用の大きな部屋へと通された。

 お茶会なので各テーブルと椅子が用意されてお茶の用意もされ、端の方にもお菓子や軽食などが置かれたテーブルが用意されており、そこには使用人たちがついていて各自好きなものを選んだら運んできてくれるシステムだ。

 既に招待されているお客さん達がテーブルについて談笑していた。


「皆様、お待たせ致しました。この度マグノリア領とウィステリア領の共同で作った新しい流行りの兆しをお目にかけられればと思います」


 儚げな容姿とは裏腹に力強い声で公爵夫人であるオリヴィア様が言い放った。

 そうすると皆の視線が私と私をエスコートしてくれているライルに集まって、緊張して肩に力が入った。



























































挿絵(By みてみん)

侍女:お嬢様にフリルは外せません(血涙)


主人公は普段はティアラもつけてませんし、もう少し子供っぽい服装です。

服につけるアクセサリーに関して、本物はこんなに大きくないです。小さい飾りがちょこんとアクセントとしてついてる感じです。

ウィステリア家の使用人たちには申し訳ないのですが刺繍まで描くのは無理でした…。

そして汚くてごめんなさい…。けどとても楽しかったです。


閲覧、ブクマ、評価いつもありがとうございます。


番外編としてお父様とお母様の過去編を書きました。ご興味があればどうぞ。

主人公が産まれてくる前の事ですので読まなくても本編にはあまり支障ないです。恋愛ものです。

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