33、ライルとの合同授業
今回も説明が多い回となっております
前から約束していたライルとの合同授業を私の家でジークに教えてもらう日がやってきた。
今回は本がたくさん並んでいる執務室を使う事になった。お父様が使う執務室とは違うところだ。
アンティーク調の大きなテーブルとたくさんの椅子が並んでおり、上にはシャンデリアがある。
本に日が当たらないように本棚が並んでおり、そこから資料を持ってくることも出来る。
部屋は大きく、テーブルと椅子が並んでいる反対側の壁に暖炉があり、その側にソファーとテーブルが置いてあって、そちらで休憩する事も出来る部屋になっていた。
どちらでお茶をしても大丈夫だけれど、執務をこちらのテーブルで行っていたらソファー側でお茶をする事になるだろう。
私達は机の方に二人座り、ジークはライルと初対面という訳ではなかったのだけれど、きちんと話す機会が無かったのでライルに家庭教師としての最初の挨拶をした。
「ライル様、改めて初めまして。家庭教師をこれから勤めさせて頂きますジークと申します。よろしくお願い申し上げます」
「こちらこそ。ライル・マグノリアだ。私もジークの授業には興味があって楽しみにしていたんだ」
ジークはいつもの無表情のまま丁寧な挨拶をライルにしていた。
…なんか私の時とは対応違くない?と思わず白い目をジークに向けてしまった。
「では、早速ですが、今お互いの領地の知っている事を教えていただけませんか?」
とジークが言うとライルが口を開いた。
「では私から。ウィステリア侯爵領は元は芸術を生業としていたけれど、今は隣国のヴェスティーからの布の輸入で反物や服が有名。優秀な針子が多い事でも有名かな。絵師が今でも他の領地に比べれば多くて王都に住んでいるローズ達家族の姿絵が人気で着た服は流行になる…で合ってる?」
「え?姿絵が人気なんて私初めて聞いたのですけれど」
「合っています。お嬢様はマグノリア公爵領についてどうでしょうか?」
スルーされた!そんな写真ばらまく様な事が流行ってるなんて知らなかったんですけど!
アイドルのブロマイド売りか!今度お父様とお母様とシュナイザーを描いたの見せてもらおう。
「マグノリア領については今日からお勉強を始めるという事だったので本当に簡単な事しか知りませんけれど…、洗髪用の液体石鹸とマッサージの時に使うアロマオイルなどが多いでしょうか。大きな研究施設があるという事は伺っていますけれど、正直そのぐらいしか…」
ウィステリア領は「布」、レイスの実家であるスルファム伯爵領は「武器」と代表的に有名なものがあるのだけれどマグノリア領は代表的なもの、というよりは特産品がいろいろ別れているのだ。
ジークは少し探る視線をライルに向けていた。
「お嬢様はライル様からアクセサリーなど受け取った事は無いのですか?」
「え…。唐突ね。髪飾りやネックレスをもらった事は、あるけれど…」
アクセサリーの類も両親がたくさん買ってくれているから、その上ライルからまで貰うのは、なんだかもったいないし申し訳ないのだ。
元日本人の感覚からしたら、婚約者とはいえ子どもから宝石がついたアクセサリーをもらうなんて考えられない。貰ったけれど。
「マグノリア領は油と鉱石が取れる量が多いのです。鉱石から取れる宝石も多いので領内に細工師が多く、凝った物をライル様から頂いているかと思いましたが…」
ジークはそう言ってライルを見た。
「もちろん凝った物をあげているけれど、あまり今はローズはつけないようだから。それにウィステリア侯爵に先回りされてしまう事が多くてね」
と言って肩を竦めた。
「なるほど。お嬢様はマグノリア公爵領で取れた宝石だと知らなかったのですね。細工が他領とは段違いですので、今度しっかり見てみてください」
アクセサリーいっぱいありすぎて全然わかんなかったよ…。
「そんなに貴重な物をいただいていたのですね。ごめんなさいライル、気付かなくて」
「いや、言われなければ普通は気付けないよ。私も一言いえば良かったのかもしれないけれど、なんだか恰好つけていると思われたくなくて言わなかったんだ。ごめんね」
と、ちょっと頬を赤く染めてばつの悪そうな顔で言われてしまった。
男の子のプライドというやつか。
なんだか今更だけれど、もの凄いお金持ちの家に嫁ぐ事になってるんだなぁ…。
そりゃあ貴族だから皆お金持ちだけれど、宝石がたくさん取れる所って凄すぎない?大丈夫?と小市民は震えてしまう…。
と考えているとジークがこの話は終わりとばかりに違う事を教えてくれた。
「油も良質なものが多く取れるので、美容関係に関する諸々を研究所でマグノリア公爵夫人が采配を振るっているとお聞きしています。貴族に回っているのは侯爵夫人の働きかけが大きいですね」
「母はそのために嫁いできたと言っても良いからね。美容に関しては並々ならぬ情熱があるよ」
と、ライルが少し困った笑顔で返答していた。
なんと。あの儚い美人さんが、そんな行動的な方だったとは…。
「研究所でそれ専用の研究員が洗髪用の液体石鹸や、マッサージ用のアロマオイルなどの配合をたくさん試していて良く出来た物を母や女性の使用人たちが使って、貴族間のお茶会などで積極的に広めているんだよ。使ってみてどうだったか、とか、または違う物が欲しいという自分の意見とお茶会での情報を集めて指示を出すのを母がやっているんだ。たまに香りがきつかったりして少し困る時もあるんだけどね…。」
少し遠い目をしてライルが説明してくれた。
大きい研究所ってそのための物だったんだ。金のかけ方が違う…。
「ご説明ありがとうございますライル様。研究員には学園での知り合いの女性もいますので話は少し聞いていましたが、当人から聞くとまた違うものですね。研究所内に香りに使う花やハーブも育てていると伺っています。ただ研究所で作られる物は高価なのでほとんどが貴族専用となっていますね。違うところでも最低限の作り方は出回っていますので香りなどにこだわらなければ平民でも手に入りますが」
とジークが補足してくれたけれど、ジークに女性の、しかも美容関係に詳しい知り合いなんていたんだ。びっくり。
マグノリア領に関しては合同授業というよりもジークとライルから私が教えてもらう授業になっていた。
ライルからは詳しい貴族目線で、ジークからは平民の情報も交えて少し細かい所を。
マグノリア公爵家は何代か前の王子の直系らしい。鉱石が多く取れる土地を与えられるとは、可愛がられていたんだろうなぁなどと私は呑気に考えていた。けれど実際は第一位継承権では無いけれど王位を欲した王子がいて良い土地あげるから野望を持つ王子に王位は諦めてねっていう経緯だったらしい。
今は穏やかな家と土地になっているから安心した。歴史を習っていても結構ドロドロしていたりするんだよね…。
授業としてはひと段落したのでジークは休んでいたけれどライルとまだマグノリア領に関して喋っていた。
長くなったので一旦こちらで切ります。
シャンプーとアロマオイルの作り方については元々あったのでマグノリア領のみが賄っている訳ではありません。高級なものを貴族に薦めて利益を得ています。
架空の世界を作っているのだから考えすぎも良くないと思うのですが頭をこねくりまわしてしまいます。ふわっと受け止めて頂けると幸いです
冒頭の執務室のイメージは某ブリティッシュ村の一室を参考にしています。
英国の魔法使いハ〇ーの小説が好きな方ならオススメです。寮の名前を叫びたくなる食堂があります。
いつも閲覧ありがとうございます。
評価に関してなのですが公開する時は感想欄は閉じようかと思っています。
何かあった訳ではなく、むしろ嬉しい感想が多いです。
すみませんがご理解のほど、よろしくお願い致します。




