18、小さな石を投じてみる
ヴィズ殿下とノーマはジェラート談義で盛り上がっていた。この二人ジェラート好きだな~。
ノーマはヴィズ殿下にフルーツ系のジェラートを薦めて逆にヴィズ殿下はチョコとキャラメルを薦めていた。
ヴィズ殿下もこうして見ると歳相応で可愛いのになぁ…。
将来、学園ではグレちゃってエレオノーラ様に付きまとって生徒にどんどん脅しをかけるなんて思わないよ…。
それだけヴィズ殿下の性格を歪める一因である王族の教育が厳しいって事なのかな…?
「私に何かついているか?ローゼマリー」
「あっ、いえ。二人とも楽しそうだなぁと。失礼ながらヴィズ殿下を王宮でお見かけした時よりも生き生きして見えたので…。」
「そなたはいつも私を少し怯えて見ているな。…私は怖く見えるか?」
「こわ…くなど…。自分が失礼な事を申し上げないかと慎重になってしまうだけです…。」
うわ…失敗した。ゲームの知識を知ってるからって、将来ヴィズ殿下がどんな人間になるかなんて、まだわからないのに、繊細な心を曇らせる一因に私がなってどうするんだ。
しっかりしろ。
「僕も王族の方や家格が上の方としゃべるのはとても緊張しますよ!」
とノーマがハキハキと割って入ってきた。
「それを王族の私の目の前で言うのかそなたは。今まで普通に喋っていたではないか。」
呆れるような視線をノーマに向けていた。
最初からヴィズ殿下を決めつけるような真似は駄目だ。
せめてヴィズ殿下があれほど苦しむ事が無いように私が出来る少しの事くらいはしたって良いだろう。
いちかばちか、信じてみよう。
「ヴィズ殿下。恐れながら申し上げたい事がございます。」
「何だ。」
「この間のエレオノーラ様の婚約パーティーでヴィズ殿下がうまくいかない事に苦しんでると知りました。あまりにも王族としての責務や勉強が辛い時は、エレオノーラ様や王宮の人間ばかりを頼るのではなく、自分の信のおける者を周りにも増やして下さいませ。貴族がしがらみを捨てるのは無理ですが…それでも心を許せる友人をたくさん作って下さいませ。」
「…意味がわからぬ。王族である私に良い顔をしてくる者などたくさんいる。その友人に加えてほしいと言う事か?」
「私の事はどうでも良いのです。…ヴィズ殿下には、もう少しだけ楽に生きてほしいと望みたくなるだけです。ノーマ様とただジェラートの話をしているような殿下の姿も、ある程度、必要だと思います。」
うまくいかない時に支えてくれるのがエレオノーラ様だけじゃなくて、違う人も、もっといたら良い。
王太子と比べて、ヴィズ殿下が根を詰めて嫌になってしまう前に一息つけるような場所があれば良い。
「…私に対して失礼が過ぎるのではないか?そなた、そんな同情めいた事を考えて私を見ていたのか。」
「…………。」
「だが、婚約パーティーでは私も失態を見せてしまったからな。…余計な心配をかけた。」
「出過ぎたような真似をして申し訳ございません。」
「良い。王宮では、あの事を知っている者は私の事を腫物を触るようにしか扱わなかったからな。」
と、自嘲ぎみにヴィズ殿下は笑っていた。
ゲームがどうこうなんて言えないけど、とりあえず私が今言えるのはこれくらいしかない。
「…僕はこういう空気苦手なので、ただジェラートを食べるしかないです…。」
もっもっとノーマはジェラートを食べ続けていた。
いつの間にかベリー系のジェラートを食べていた。
「いちごちゃんがいちごのジェラート食べてる…。」と、つい口から出てしまった。
「いちごちゃんって何ですか、ローゼマリー様!僕は男ですよ!」
と、頬を膨らませてプリプリ怒っていた。
口にいちご突っ込んだら許してくれそうだけど駄目かな?
さっきまでシリアスな空気を漂わせていたのに、ヴィズ殿下まで、”こいつ失礼な事言うのがデフォルトなんだな。”みたいな微妙な顔をして見ていた。心外だ。
私は並んでいたフルーツの苺を持ってきてもらってノーマが食べているジェラートにぶっ込んで許してもらった。やっぱりいちごちゃんじゃないか。とか思ってない。
ジェラートコーナーから離れて、もう一度ライル達がいる席へ戻ろうとした。
そういえば、私女の子に結局、声かけてないな。
って、私がいない間にライルとレイスが女の子に囲まれてる…。
おぉ!なんかライルが年上のお姉さま方でレイスが同年代とか年下の子を集めてる!
ライルの方からは「かわいい」とレイスの方からは「たくましい」という声が聞こえてくる気がする。
女の子を分けてほしいわ!と思いつつ、席に近づいていった。
「皆様、ごきげんよう。ライルとレイス様は人気者ですのね。」
「あら、ローゼマリー様。あちらでヴィズ殿下とノーマ様と話してらっしゃったので、お二人に私達の話相手をしてもらってましたの。」
おっ、嫌味か?
「お恥ずかしいですがノーマ様を女の子かと思ってしまって話しかけてしまいましたわ。」
「わかりますわ!ノーマ様ったら女の子よりも可愛らしいんですもの!一度ドレスを着てみて下さらないかしら…?」
「ヴィズ殿下もジェラートがお好きなようでノーマ様と盛り上がっていましたわ。」
「そうなんですの!?ヴィズ殿下は好みを聞いてもあまり喋らないのでお好きな物のお話は珍しいですわ。」
二人の話題を生贄に女の子たちでキャッキャとしてもらった。
一投げ込めば一人から十は返ってくる女子トークって凄いな~。
私も女の子の友人を作るべく、頑張って女子トークに入っていた。
ライルとレイスの様子を見るとライルは終始、笑顔で対応してたみたいだけど、若干疲れてるな‥。
レイスは、ニコニコしながら、まだ騎士団の人ほどもない剣だこを凄い凄いと触られて鼻の下を伸ばしていた。歳相応の男の子の基準で言ったらレイスを見れば良いんだな~。なんてわかりやすい。
「ローズ、もっと早く戻ってきて欲しかったよ。」
とライルが言った。疲れちゃったもんね。お姉さま方に可愛がられたのかしら。
「ごめんなさいライル。けれど、貴族子女のお姉様方とたくさん、お話されて羨ましいですわ。私もぜひ皆さんと仲良くさせて欲しいです。」
目をキラキラとさせて、片手を頬に当てて、みんな凄いわ~という、ごまをする。
何が起こるからわからない分、味方は多いに越したこと無いからね。
「ま…まぁエレオノーラ様に招待されたのなら、家の事も心配も無いでしょうし、仲良くして差し上げてもよろしくてよ?」
「私はローゼマリー様と前から仲良くしたかったんですの!」
と、わいわいこちらでもお姉さま方と仲良くする事が出来た。
子どもながら、みんな家の力関係をわかっているもんね。
ライルはお姉様方からは逃れられて少しは気が楽になったんじゃないだろうか?
お姉様方から、このお菓子がおいしいのよ、とかお茶との組み合わせでおいしいものはどれかとか今、家庭教師に教えてもらっている方は何の科目を勉強してるかとかでライルも交えて喋って盛り上がってる内にお茶会はお開きになった。
先輩とは偉大だね。知らない事を教えてもらえるのはありがたい。
それぞれ、挨拶を済ませて家の馬車に乗って帰って行った。
今日は少しでもヴィズ殿下と話せて良かったな。
ゲームじゃなくて、現実の人間と向き合わないといけないって事を改めて認識したよ。
ノーマとも顔を合わせる事が出来たし、少しだけどヒロインの事も聞く事が出来た。
少し予想外な事もあったけど、ヒロインが存在してるなら学園で会う事になるだろう。
性格が破綻してるようなヒロインなら残念だけど、ご退場願うわ。
とりあえずは、家に着いたら家庭教師の事、お父様に聞いてみなくちゃ。
全然筆が進まなくてどうしようかと思いました…。シリアス怖い。
ヴィズの立ち位置もなかなか難しいです。
王太子だけほぼ空気でしたが、ヴィズがノーマと喋っている間にエレオノーラとずっと喋っていました。
女の子たちの会話がわかりにくいかもしれません。拙い文章力で申し訳ない。
いつも閲覧、ブクマ、評価ありがとうございます。




