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悪役令嬢、頑張ります。  作者: 影干し
第一章 気づいたら侯爵令嬢
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16、お茶会始まり


 ライルとのお茶会の後、少ししてからスフォルビア公爵家でのエレオノーラ様主催のお茶会が開催された。

 子ども達のお茶会だ。

 同伴で父母も来ていたりするけれど、今回の主役は子ども達なので、席を違くしてもらっている。

 ライルとは現地集合でスフォルビア家で合流してエスコートしてもらっている。

 なんだろう日本とはやはり世界が違うんだな。

 ライルと私は同い年で6歳だ。6歳の子どもの時分でエスコートとか…私の知ってる6歳と違う…。

 そこらじゅうをかけずりまわってたり、奇声を上げて騒いだり鼻水垂らしたガキんちょがスカートめくりして可愛い子を泣かせて喜んでた記憶しかない。

 前世で、よく早く結婚して子どものいる友人の家に行くとそんな光景に出くわして凄い疲れていたっけ。

 かと言って急にライルが奇声を上げたりスカートめくりしたら頭がおかしくなったのかと心配するけどさ。

 このお茶会に来れるのも、きちんと大人しく出来る子たちだ。

 それも王子達もお茶会に招かれてるからなんだけど、大人たちからよく言い聞かせられてるようだ。

 こんな小さい頃から第二王子と接触が少しでもあるなんて不安だ…。いや、ただヴィズ殿下が小さい頃は劣等感と闘ってるだけだったはず。エレオノーラ様とのフラグ建築は進んでしまっているけれど…!

 招かれてる子達は、歳は私達ぐらいが一番下だと思う、6歳~12、3歳くらいまでってところかな?

 やはり緊張して席についている子も多い。そうだよね、それが普通だよね。

 普通じゃないのはお毒見役兼侍女や侍従がついてるって所かな…。これは私が慣れないといけないやつだけど。

 そうして席に着く前にお茶会の様子を観察しているとエレオノーラ様が早足でこちらに近づいてきた。


「ローズ!久しぶり!ライルも、二人とも婚約パーティー以来だな。」


 久しぶりのエレオノーラ様だ。婚約パーティーの時も美しい服装だったけれど、騎士服を見慣れてるせいでドレス姿のエレオノーラ様は若干別人のようだ。

  

「お久しぶりですエレオノーラ様!お招きありがとうございます。スフォルビア公爵からやっとお許しが出たんですね。」


「あぁ、父上には参った。淑女教育をもう一度やり直しだなんだと全く…。もう家庭教師での必修科目が始まる年齢だというのに。」


「久しぶり、エレオノーラ嬢。お招きありがとう。家庭教師での必修科目はエレオノーラ嬢はもうかなり進んでいると父上から噂で聞いているけれど?」


「まぁ、勉強したい分野は山ほどあるからな。」


 え?何?当たり前に会話が進んでるけど、家庭教師での必修科目って何?


「あぁ、そうだ。二人とも婚約おめでとう。ライル、ローズの婚約者になったって事はわかってるね?」


「お祝いありがとう。けど圧力かけるのは止めてくれますか?スフォルビア公爵令嬢様。」


「なかなか訓練所にも顔を出せなくなってるからな。マグノリア家の力でもローズを守ってくれ。」


 すると、エスコートされていたライルの手にぎゅっと力がこもった。


「…言われなくても。じゃあ今はローズはスルファム家の三男と二人で訓練所に通ってるの?」


「ローズが来る前は私もレイスを剣の鍛錬に捕まえてたぞ。今日も出来ればやりたかったんだが、さすがに主催だからな。」


「二人で通うというのには語弊があります…。エレオノーラ様、お祝いありがとうございます。」


 なんかライルはやっぱり誤解してるみたいだからエレオノーラ様にそれとなくヘルプを頼みたいんだけど、ライルが手を離してくれないと無理だ。


「レイスは良いやつだぞライル。なんだかんだ文句言いつつやってくれるからな。お前の面倒も見てくれるんじゃないか?」


「へぇ?」


 ライルはさも不機嫌そうに眼を細めている。

 エレオノーラ様、『面倒見てくれる』はなんか駄目な気がしますよ…!一応レイスはライルよりも身分が下の伯爵子息ですから…!


「なんだ、ローズにもうそんなに執心してるのか?可愛らしいからわからんでもないが、器が小さいぞライル。」


「ちっ…小さくない!」


 ライルが振り回されている…。なんだか子どもっぽいところをやっと見れたような気がする。


「エレオノーラ様、あの…言う機会を逃してしまっていて、ライルには訓練所の最初のきっかけをまだ言っていないんです。」


「あぁ、なるほどな。ローズ、ライルに言って大丈夫か?」


「どういう事?」


 ライルは訝しげだった目を不思議そうに変えてこちらを伺っている。

 ここはお茶会会場から少しだけ離れていてあまり他人の目は気にならない場所だ。

 私は少し迷ったけれどエレオノーラ様に向かって頷いた。


「ローズは4歳の時にとある貴族の差し金で誘拐されそうになったんだ。良い噂が仇になって狙われたらしい。それからウィステリア侯爵の意向で訓練所に通っているんだよ。」


 ライルは口を半開きにして吃驚していた。


「なん…なんで言わな…。いや、言えないか…。」と一人でブツブツ言っていた。


「そういう訳で小さい内から訓練所に来たローズをレイスと私の二人で身を護るためにいろいろ教えられる事は教えていたんだ。もちろん女性騎士の力も借りてだけれど。」


「そういう事か…。わかった、ありがとう。ローズも嫌な事を思い出させて、ごめんね。」


 私は首を横に振った。


「ローズの名誉に関わる事だから、秘密を守れる人間じゃないと言ってないし、知らないはずだ。ライルもわかってくれるね?」


 ライルは何も言わずに頷いた。

 イガナスク国の治安は良い方ではあるけれど、経済的にも身分での格差でも貴族での誘拐は割とあり得る事で貴族の子息子女達はそれなりに気を付けている。

 治安維持のために日本での交番のようにかなり沢山ある訳では無いけれど、似たような施設と役割のものはある。

 こちらでは警察では無く、軍の人が管理している。警察とほぼ同じ役割を軍の一部が担うのである。ちなみに軍の人達はほぼ平民だ。

 …ライルは私が誘拐されかけたって聞いて騙されたような気分になってないかな?


「ローズ、そんな心配そうな顔しないで。大丈夫だよ。」


「…ごめんなさい。なかなか言えなくて。」


「私達は、まだ今日でちゃんと会うの3回目だよ?そんなの言えなくて当然でしょ。…これからローズに信用してもらえるよう頑張るから。」


 そうするとエレオノーラ様がライルの背中をニコニコしながら、ばしばし叩いて「頑張れ少年!」と言った。

 ライルは呆れたようにエレオノーラ様を見て「王太子様も苦労するよ…。それに2歳しか違わないから!」と言っていた。

 ちょっと吹きだしてしまった。


「あ、そうだ。あの、先ほどの家庭教師での必修科目って何ですか?」


「まだローズは知らないのか。まぁ普通は8歳からだからな。」


 え?じゃあ何故ライルは知っているの?思わず首を傾げてライルを見てしまった。


「家庭教師での必修科目っていうのは、8歳から始まる最低限の読み書き計算の授業で、絶対に出来るようにならないといけない科目の事だよ。けど、私達は望めば早めにもっと簡単な授業を始めてしまう事も出来るんだ。」


 そうするとエレオノーラ様も補足してくれた。


「イガナスク国では国民全員が8歳から3年間は絶対に、王家への忠誠が教えられるのと読み書き計算、だけは必須なんだ。平民も8歳から3年間、学校に通って読み書き等が出来るようになったら後は家業を継ぐ子どもなんかは学校を卒業して、家業に専念する事になる。それからあと2年ほどは、余裕があって勉強したいって子どもは学校に通う事が出来る。これは平民の話だけれど、貴族は家に家庭教師を呼んで読み書き計算の科目を教えられるんだ。もちろん読み書き計算の他にも違う教科も教えられる。平民が出来るものが貴族の私達が出来なければ話にならないからな。出来なければ、とんでもない不名誉だ。」


 おおう、なるほど。この世界は学園が始まるまで学校が無いのかと思ってたけど、家庭教師で補ってるのか。


「てっきり13歳から学園が始まるまで、学校は無いのかと思っていました。」


「学園では必修科目が出来てる前提で始まるぞ。」


「あれ…。私達、貴族が通う学園は13歳からですよね…?平民の学校が8歳から最高5年通うとなると12歳…?平民の学校と合わせてます?」


「学園は貴族棟と平民棟があるからな。全然離れてるし施設も違うけど。それでも平民棟は本当に勉強が出来る人間しか入ってこれない狭き門だな。けど、私たちが通う学園とは隔離されてるから交流は無いぞ。…ぜひ勉強で競ってみたい…。」


 エレオノーラ様が顎に手を当てて思案に耽っている…。この人、絶対平民棟に忍び込んでやりそうなんだけど。

 私がゲームをやってた時に平民棟なんて出てこなかったから、本当に貴族棟とは隔離されてるんだと思う。というかあの広大な学園に平民棟まで隠れてたなんて誰が思う…。

 ヒロインが平民では無く子爵子女だったのは、貴族と関わりを持つためかねぇ…。


「…私、そういえばエレオノーラ様が訓練所で6歳の頃に兵法書を読んでると聞いた事があるんですけど…。8歳の頃から読み書き始めるんじゃ…?」


「ローズ、エレオノーラ嬢は規格外なんだよ。いろいろと。」


 ライルが私の隣で首を横に振っていた。

 エレオノーラ様がハッとしたように我に返っていた。


「すまない。こんなところで長話してしまったな。二人とも歓迎する。今日は楽しんでいってくれ。」


 と言って、エレオノーラ様はお茶会会場の中心へと戻って行った。たくさんの人と繋ぎを作るつもりだろう。

 エレオノーラ様と話しているとお茶会の会場で緊張していた子も途端に和らぐ。

 ゲーム上でもそうだったのだけど、エレオノーラ様は老若男女を問わない人たらしという設定だった。ヒロインより目立ってどうする!と突っ込みたい。

 けど味方にしたらものすごく心強いんだよねぇ…。不思議な魅力を持った人だ。


 私も出来るだけ繋ぎを作らないとな。攻略対象とヒロインの情報をなるべく集めたいし。

 …第二王子だけは、ちょっとどうすれば良いのかわかんないけど…、王子達にも挨拶に行かなくちゃ。

ややこしいかもしれませんが、

平民→8歳から学校3年必須。望めば5年。

貴族→8歳から読み書き計算の科目必須。学園に入るまでは必須以外は、どの科目を取るかは自由です。が、ダンスや社交など学園で使う事になる科目を取る家が多い…はず。

いろいろ後ろを固めていたら説明するのが難しくなりました。


久しぶりに書くと、あら?どんな感じだったっけ?ってなりますね。

少し更新空いてしまってすみません。拙い文章なのは相変わらずです。

それでも閲覧・ブクマ・評価ありがとうございます。

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