かまいたち
「・・・。」
リリィは無言のまま椅子に『ドカッ』という音を立てて座る。
ケイもまた合わせるようにして椅子に腰掛ける。
「何・・・?私、騙されたの?」
テーブルに突っ伏すリリィ。
「本当にツいてないわ。最悪。」
「・・・そんな事無いんじゃないかな。」
「・・・?」
「きっと貢献度の踏み倒しは許されない。だったらこれが、このステータス振分け担当者が一番の近道なんじゃないかな?・・・って僕は思う。」
「・・・そ。まあ閉じ込められた以上やるしかな「おーい!!誰かー!!」」
「「!!??」」
突然の叫び声。
外からだ。
2人は慌てて外に飛び出す。
その状況を目にしてリリィが一言。
「あ、かまいたち。」
「えっ、あれが!?」
ただのおっさんvsただのイタチの勝負が繰り広げられていた。
「お!おい!助けてくれ!」
「何?アンタを助ける義理なんて無いんだけど?」
「ちょっ、リリィさん!そんな事言ってる場合じゃないよ!」
そう言って駆け出すケイ。
その動きでケイを敵と見なしたのかターゲットがケイへと変わる。
「いっ!?」
瞬間、イタチの姿は消え、ケイの周囲に微量の風が生み出される。
「ケイ!何してるのよ!逃げなさい!」
「えっ!?逃げろって言われても・・・!」
「仕方ないわね・・・、」
とだけリリィが言うと片手だけスッと前に出し、ブツブツと唱える。
「爆ぜなさい。」
と言って手のひらを開いた瞬間、槍のように細長く変化した光が真っ直ぐケイの方へ一本だけ飛んでいく。
そして、丸まるケイの横で『キュイッ!』という鳴き声が鳴り、風は収まった。
その風を起こしていたかまいたちにはリリィの放った光の槍が刺さり、かまいたちの動きが止まると共に光もスッと風に流されるように消えていった。
「これ・・・、リリィさんが?」
「そうよこのポンコツ。ホント使えないのねアンタ。」
「ありがとう!君たち!」
「・・・アンタも本当に使えないわね。」