超振動粒子ゴシック波動砲
「神様!!」
「なんだお前ら。いい加減にしろよ?」
神が怒りを表すようにケイを睨みつけるが気にも留めず先程リリィが破壊した扉をグシャグシャと踏みつけながらケイは神の元へ歩み寄る。
「「「ッ・・・!」」」
その凛とした姿に下僕の兵士達も思わずしりごむ。
「神!いい加減にするのはアンタのほうよ!コイツがとっておきの秘策考えてきたんだから!!」
「秘策・・・?だと・・・?」
「おい・・・なんか雰囲気がおかしいぞ。」
「あのケイとかいうやつあんなオーラ出てたか?」
あんなに強気だった兵士達はすっかりと空気に飲まれてしまい、動揺を隠せない。
「さあ!やるのよ!」
「・・・。」
しかし一方のケイも非常に焦っていた。
(ヤバイ。秘策って何の事だろう。僕はただ何度も立ち上がればいつかはいい事あるよって言うことを伝えたかっただけなんだけど。)
「どうしたの?さあ早くしなさいよ。」
(何か物凄い期待されちゃってるうううう!!!)
「おい・・・、やっぱりいつもと違う・・・お前感じるか?」
「ああ・・・何かするつもりだ・・・。」
(なんか感じられちゃってるうううう!!!)
「ちょっとアンタ・・・、凄い汗よ。大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。今パワーを溜めている。」
(とか言ってみる。)
「お、おい。まずいんじゃないか!?お前止めろ!」
「やだよ!巻き込まれたらどうすんだよお前行けよ!」
「俺だって巻き込まれたくねぇよ!」
「ふざけんなお前いつもそうやって!!」
(なんか仲間割れ起こしちゃった・・・。)
パワーを溜めているなどほざいたが一方で神は俯いたまま動かない。
やはり神にはハッタリなど通用しないというのだろうか。
と、思っていると。
「まさかケイ・・・、貴様〝アレ〟をするつもりか・・・!」
神の一言で空気が凍る。
「「「・・・!」」」
「アレって・・・アンタ何をするつもりなの!?」
「フッ・・・、覚悟しろ。」
(あーヤバイなんか知らないけど調子乗っちゃった。アレってなんだ。僕ってなんか知らない所で必殺技かなにか出してたのかな?ハハッ。)
ケイがかめは〇派を出すようなポーズでパワーを溜める真似事をしていると横から別の兵士が慌てた様子で神へ駆け寄る。
「神様・・・、取り込み中申し訳ございません。」
「ん?どうした?今立て込んでいるんだ。」
「実は・・・。」
「何・・・!?」
(一体どうしたんだろう。)
「何よ、アンタ達。どうしたのよ。」
「あぁ、ケイ。落ち着け。一つ提案だ。」
「今更・・・、遅いですよ。」
「・・・。」
「・・・。」
とは言うが内心、超振動粒子ゴシック波動砲(苦笑)を使わずに済むかもしれないと思い、そっとそのポーズを解除する。
「仕方ありません。どうかしましたか?」
(あ、解いた。)
(解いたコイツ。)
(必殺技・・・、見てみたかったわね。)
「あぁ。仕事だ。ケイ、良かったら高収入の仕事しないか?リリィ、お前もだ。」
「高収入・・・?」
「お前はやはり持ち前の幸運だけは生かせてる様だな。たった今、ステータス振分け担当責任者が仕事をポイコットして逃げた。」
「ちょっと待ってよ!私には働いてる時間なんて無いわ!」
リリィが叫ぶと神はタバコに火をつけ煙を吐く。
「リリィ、お前の母国の事だが。」
「そうよ!今絶賛戦争中なの知ってるでしょう!?」
「今休戦中だ。」
「そうよ休戦・・・ってえ?」
「恐らく長くなるだろう。争いが落ち着く事は無いがな。どちらにせよ貢献度の踏み倒しは出来ない。」
「そう、休戦中だ。因みに君の妹も無事だ。」
「そう・・・。」
リリィはそれを聞いて安心したのかガクッと膝を付いてうなだれてしまった。
「それで神様、ステータス振分け担当というのは?」
ケイがそう問うと神はタバコの火を消し、ケイを見つめる。
「その名の通り、ステータス振分けをしてもらう。主にそれだけの仕事だが少々力仕事も覚悟してもらう。しかしそれに応じた貢献度も払う。どうだ?」
「リリィさん・・・。」
「・・・。」
「今の言葉の意味、分かる?」
「「「・・・。」」」