The time machine in all people『タイムマシンは全ての人の中に』
かなり会話文多めです。
あと、自分の実力不足でわかりにくいかもしれません。
それではどうぞ。
あの人は今頃、何をしているのだろうか。
俺はあの人のおかげで、ここまで人生を楽しめた。
といってもまだ俺は高校三年だけど。
そう思うと、笑いがこぼれた。
そう、俺があの人に出会ったのは中学三年の夏。
「暑い……、なんでこんなに暑い」
あの日は特に暑かった。
外に居た俺を照りつける太陽。地面から反射した陽光がさらに暑さを感じさせる。
俺が在学していた中学には、常に不審者がいた。その不審者は、学校から追い出されることもなく、花壇に水やりや、校庭を綺麗にしていた。
そして、その不審者は身に付けている物からこう呼ばれるようになった。
「時計男」
と、不審者はいつも左腕に時計、右腕にも時計をしていた。
放課後俺は、なにとなく、花壇へと赴いていた。今思えば必然だったのかもしれない。
花壇を眺めていると後ろから話しかけられた。
振り返ってみると、時計男が俺を見ていた。
物腰が軽そうな表情だった。
俺は無視して花壇から離れようとした。
「挨拶くらい返してくださいよ。いくら僕でも無視は耐え難いです」
時計男の声は、俺が今まで聞いたどんな声よりも、優しかった。
本当は、それも無視するつもりだったのに思わず振り向いてしまった。
「すいません、急いでるから話はまた今度で」
と丁寧とは言い難いけど断るようなことを言った。
しかし、時計男は微笑みながら
「僕には、君が急いでいるようには見えませんよ?急いでいるなら、校門の反対側である花壇には来ませんよね?」
うっ。
図星を突かれてしまった。その通りだ。普通なら花壇になんて近づかない。
気まぐれは恐ろしいな。
「はあ、いいですよ。俺は暇ですよ。で話ってのはなんですか」
俺は堪忍して、花壇の近くにあるベンチへと腰を下ろした。
ほんと運が悪いとしか言いようがない。
最近、全くついてない。
カラスからの糞のプレゼント、不良から拳のプレゼントと、ほんと最悪だ。
そして、最後に時計男ときたもんだ。
時計男は少し離れて隣に座る。
「名前は知りませんが、君、とてもつまらなそうな顔していますね。何故ですか? 」
は?
いきなりこの人は何を言っているんだ。初対面の人に対して、入れ込みすぎだろ。
この人は、日本人かよ。
日本人っぽくないぞ!
「ま、まあ。最近、何事においてもつまらないですけど……でもそれがどうしたんで? 」
時計男は花壇の花を、まるで懐かしむように見ていた。
そして、花を見ながら口を開く。
「いやなに、君があまりにもつまらなそうな顔をしていたものですから、つい」
……ついって何だよ。
それに比べて、この人は楽しそうな顔をしてるな。
そんなに俺はつまらなそうな顔をしてたか?
別に友達もいるし、成績も中の上だ。
でも、なぜだか、小学生の時ほどドキドキ感を味わうことが少なくなった気がする。
そうだ、中三生になって、受験やら部活やらで毎日に追われるような生活をしていたからかもしれない。
家に帰れば、勉強をし、学校では勉強や部活で、親からは、いい高校へ行けと無言の圧力。
ああ、昔が懐かしいな。
「なあ、あんたは何でそんなに楽しそうなんですか? 」
「それは、単純に人生が楽しいからですよ。そう言えば、この学校では僕の事を、時計男と呼んでいるらしいですね。やっぱり理由は時計を両腕にしているからですか?」
「まあ、そうですけど……」
「知りたいですか?」
時計男は花壇から目線を俺へと移し、真っ直ぐ見つめる。
話長くなりそうだな、でも暇だし聞くか。
「一応、知りたい」
「ではまず時計を見せようか」
そう言うと時計男は両腕を俺に見せた。
時計が二つしてあった。
よく見ると一つだけ左回りだった。
でも何で?中二病?
俺は時間を操れると言いたいのか?
「左回り……」
「気付いてくれましたね。僕のしている時計の一つは左回りなんです。それには理由あるだ。別に中二病なんかじゃないよ。これは僕にとってのタイムマシンなんだ」
……やっぱり中二病じゃねぇか! 何が僕にとってのタイムマシンだ。
阿呆らしい。
タイムマシンってのは過去に行ける空想上の機械だぞ。
「その目はバカにしてるね?」
「い、いや……す、少しは」
「あははっ、別に怒ってないさ。タイムマシンって言っても心のタイムマシンだよ」
ますます、わけが分からなくなってきた。
時計男は和かに笑っている。
「ねえ、君には戻りたい過去はないかい?楽しかった時や幸せな時とか。僕はやっぱり小学生の頃が一番楽しかったな。何も考えないで毎日遊んで」
「俺も小学生の時が一番楽しかったかな」
はっ! 思わず応えてしまった!
こ、孔明の罠か!
まあ、いいや。何かどうでも良くなってきた。この人変だけどいい人っぽいし。偏見持つのやめよ。
「君は今、何事もつまらないんだよね。だったら過去に戻ってみるといい」
「過去?」
時計男は、右手を胸に当て、目を閉じた。そして、数秒後、目を開きまた俺を見る。
「実際に過去へ戻るんじゃなくて記憶を振り返るんだよ」
「でも何で過去へ?今を見なきゃいけないんじゃないだろ?振り返らずに前だけを見て」
そういうと時計男は、くびを振り違うと訴えてきた。
でも、過去を見て何が分かるんだろうか。
過去は過ぎ去った時間で、もう今の時間とは無関係だ。
タイムマシンといっても俺たちが産まれる前までに戻るわけじゃないらしいし、意味ないはず。
「じゃ、君は今だけを見て、前だけを見て、過去を見ずに、振り返らずに未来へと進むのが正しい。というわけですか?それは少し違うんじゃないかな。
確かに前を向いて、進むのはポジティブでいいことだよ。でもね、前だけを見て、進み続けるには無理があるんじゃない?僕たちは機械じゃない。
感情という心があるんだ。
それに身体だって疲労する。
時には過去を振り返って、思い出に浸って思い出し笑いや、泣いたっていいと思う。
君がそんなにつまらそうにしてるのは、前を向きすぎて、今という時間で頑張りすぎて心も身体も疲れてるからじゃないかな」
「え?」
記憶を、思い出を、思い出す……か。
確かに、俺は今という時間で頑張りすぎていた気がする。
受験に、中学の部活の集大成を見せる大会、そして、親からの期待。
「あんまり、評判の悪い高校には行かないでね、ご近所さんに笑われちゃうわ」
「先輩のドライブで抜けない人はいませんよ! 絶対に良い成績残しましょううね!」
………………
「おっしゃぁ! 俺のバスケテクで点取りまくってやるぜ! 」
「そりゃぁ‼︎ ………あはははっ! やっぱりバスケ楽しいな! 」
「なあ、@@@。いつまでもこんな時が続けばいいのにな。って、なんだよ拳を突き出して……え? 約束? いつまでも友達でいるって約束? ははっ! いいぜ! 俺とお前はいつまでも友達だ!」
そういや、こんな時もあったっけ……あはは。
純粋すぎだろ。俺。
この時、俺は毎日が楽しかった。好きなバスケで遊んだり、色んな友達と遊んだりして、先のことなんて、今のことなんて考えてなくて、ただ気持ちの赴くままに過ごしていたんだ。
気づくと俺の目から涙が流れていた。
悲しくて泣いているんじゃない。懐かしくてあの時の楽しかった気持ちを思い出して泣いてしまった。
ああ、この人が言っていたのはこのことだったのか。
俺は疲れ果てていたのかもしれない。
この人がタイムマシンと呼ぶ左回りの時計は、思い出を呼び覚ますための媒体だったのか。
「気づいたみたいだね」
「ああ、ありがとう」
俺は泣きながら笑い声上げる。羞恥心なんてない。笑える時に笑わないと。
そう、あの夏のたった一時間で俺の何もかもが変わった。ああ、もちろん悪い意味じゃなくて良い意味でた。
現在、俺は街を見下ろすことができる丘の上にいる。なぜかは簡単。
言いたいことがあるからだ。
「あなたに聞こえているかは分からないけど、あの時言えなかった言葉を。
今‼︎ 言ってやる!
『ありがとう』‼︎‼︎
あなたのおかげで今の俺がいる。
あなたのおかげで俺だけのタイムマシンを手に入れることができた。
だから、俺はあなたの真似で、左回りの時計を持つことにしたんだぜ‼︎ 」
俺は出来る限りの大声で、あの人にこの気持ちが届くようにと、願って叫んだ。
今思うと、偶然だとは思えなかった。
そして、去り際に空を見上げる。
空には、雲一つ無く、どこまでも、そうどこまでも繋がっていそうな青空が広がっていた。
俺の願いを込めた声を邪魔する物は何一つ存在しなかったんだ。
どうでしたか?
僕も小学生の時が一番楽しかったです。
毎日が楽しくて、友達と遊んだり、自転車でどっかに行ったりして、とても楽しかったです。
今を頑張るのはとても大切です。
でも、頑張りすぎるのは如何なものかと思います。
前だけを見て突っ走り、過去振り返らずに、ひたすら頑張る。
そんな人生は楽しいのでしょうか。
まあ、壁にもぶち当たらす苦労しない人がもしいればそれでいいかもしれません。
ですが、そんな人はいないです。
別に振り返ってもいいんです。
今を頑張ったんですから少しだけ休んだって罰は当たりませんよ。
そして最後にこの小説を読んで何か感じてくれたら、幸いです。




