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十五冊目《同級生のようないがみあい》
つめたい風が、僕を迎える。
横には、転入生と白河先生。
「福のやつがコイツだって?んなことありえんのかよ」
「五月蝿いよ、おっさん」
「おまえにゃいわれたくねぇっ」
初対面にも関わらず、二人は同級生のようないがみあいをしている。
僕は二人の話を聞きながら、黙って道を進む。
時刻を確認すると、午後の8時過ぎ。
これなら開店時間には間に合いそうだ。
いつもの道を通って、家にたどり着く。
「先生、福助。僕着替えてくるから先に店に戻っていて」
「えー?紫苑と一緒に居るぅ~こんなおっさんと一緒は嫌だっ」
「るっせぇ」
「はいはい」
僕は、鍵を鞄から取り出しドアをあける。
中に入っていく僕を見送るように、二人は手を振っていた。