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零冊目 《少女》
ある森の、ある家に、一人の少女が入る。
鬱葱とした森の闇は、都会の光を覆い隠せるほど大きく、
森の木は風に揺られ、ざわざわと不気味な音を立てる。
家の中の明かりがつくと、梟の鳴き声が、森の中を埋め尽くした。
家の明かりが消えると、今度は玄関のドアが開く。
木製のドアをぱたりと閉じると、少女の肩に一匹の梟が乗った。
上に括り上げた黒髪に、緑色の目。夜色のワンピース、緑のサンダル。
少女は梟を乗せたまま、森の中に消えていった……ー。
笑わない、というより笑えない。
僕の感情は全て消えてしまったのだ。
悲しい気持ちや、怒る気持ち。
そして笑うことまでも奪われて、忘れてしまった。
嗚呼、次はどの感情を奪われるのだろう。
今度は、誰が何を奪われるのだろうか。