プロローグ
プロローグ
居酒屋の帰り道、横の道から猛スピードで突っ込んできたバンにばーん、と引かれた。
それか“オレ”の最後の記憶だった。
なにも面白くない。なにがバンがばーんだよ。つまりオレは死んでしまったってことだよ。人生これからって時だったのにな。
オレはバンドマンだった。ボーカルだったオレはバンドの顔だった。仲間とも仲は良かったし、デビューも決まっていた。高校から始まったオレらのバンドは
大学時代にはそこそこ知名度はあった。LIVEでデビューしないかと誘われてチャンスと思ったオレらはほいほいとその誘いに乗っかった。
デビューしてから知名度をあげるためにツアーで日本を回った。確かな手応えを得たし、LIVE会場で売っていたCDも意外と売れた。これからオレらは武道館でのLIVEという夢に向かって進んでいく、そんな真っ只中だった。
しかし、ツアー終了後の打ち上げの後、オレは死んだ。
オレが死んでしまったことは悔しかったし、悲しかった。でもなにが一番悔しいかと聞かれればバンドの皆に申し訳ないということだろうか。高校からの仲だった。オレはそれが悔しかった。これからという時にボーカルがいなくなる。バンドにとってボーカルが変わるという事態はバンドの崩壊を引き起こしかねない。
あいつらなら大丈夫。そう信じるしかないが、悔しい。そしてオレ自身が腹だだしい。なぜ、なぜ今なのか。この世には神はいない。これほどに神様を否定的になったことはない。しかし、なんの因果か神様がやってくれたとしか思えない不思議も世の中にはあり、オレ自身が現在進行形で体験している。
なぜ死んでしまったのにこんな考察とかをつらつらと述べているのかというとオレは生きているからだ。
うん、まぁありえないと思うさ。オレだって信じられない。夢だと思った。目が覚めれば病院なんだとなんど思ったことか。
オレは別人になっていた。
詳しく言えば、目が覚めると誰かにだかれていて体が動かしにくかった。自分が赤ん坊になっていると気づいたのは周りの情報のおかげ。ナースさんや、たぶん母親と思う人から一方的になにかを、話しかけられる。まぁそれに反応することはあまり出来ないが。赤ん坊だし声が出せない。
その他はめんどくさいので中略。
まぁなんやかんやあってオレは成長していったわけだ。
今では元気いっぱいな小学1年生。
名前は青山 詩音。
ちょっとませた“女の子”です。