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色違いの魔法使い達  作者: 星狼


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1/7

二人の魔法使い

酒場の扉が軋む音が、午後の陽光とともに室内へ滑り込んだ。

埃っぽい光の筋が床に伸び、カウンターの木目を淡く照らす。

いつもの喧噪はまだ遠く、カウンターの向こうでゲイルがグラスを拭いていた。


扉の前に立った二人の若い女。

一人は白いローブを纏い、柔らかな布地が肩から優しく落ちている。マリー。

もう一人は青いマントを羽織り、裾が軽く揺れる。ケィティ。


二人の前に、鎧を纏った戦士が二人。

ラファエルは明るい笑みを浮かべ、声を張り上げた。


「あっ、そこの魔法使いの女の子二人いいかな? 俺達とパーティ組んで手伝ってくれない!?」


マリーは少し身を引くようにして、穏やかな声で返した。


「お仕事ですか? どんな内容ですか?」


ラファエルは勢いよく頷き、説明を始めた。


「少し、危険な仕事だけど、シャドウグールの討伐をしようと思ってるんだよ」


ケィティの眉が、わずかに寄る。


「シャドウグールですか……」


ラファエルは慌てて手を振った。

まるで空気を払うように。


「あ〜、あ〜、そんなビビらなくていい。基本的に攻撃担当は俺とダンクの二人でやるから。二人はフォローしてくれればいい」


隣のダンクが、短く頷く。

低い声が、酒場の空気に溶けた。


「うむ。結界魔法を張ってくれたり、傷の手当てをしてくれると助かるな」


マリーは目を丸くした。

指先が、無意識にローブの袖を握る。


「えっ? ちょっと待って下さい……私、結界魔法も回復魔法も使えないんですけど……」


ラファエルが首を傾げた。

好奇心と戸惑いが混じった表情。


「ん? 結界魔法も回復魔法を使えないの? 珍しいね? どんな魔法が得意なの?」


マリーは静かに、しかしはっきりと答えた。


「私は、生命力吸収とか……」


一瞬、酒場の空気が止まった。


「……え?」


ダンクの声が、重く響く。


「それ、闇魔法だよね?」


マリーは小さく頷いた。


「はい。私、闇魔法使いです」


ラファエルは目を見開き、思わず声を上げた。


「……は!?」


ダンクがマリーの白いローブを指さす。

その指先に、困惑が滲む。


「お前、なんでそんな服なんだよ!?」


マリーは少し困ったように、視線を落とした。


「ダメなんですか……?」


ラファエルは頭を抱え、声を荒げた。


「ダメに決まってんだろ!? あぁっ!? えっ? ちなみに、そっちの君は水魔法使いでいいよね?」


ケィティは静かに、しかし確かな声で答えた。


「私、火魔法使いです」


ラファエルは呆然と立ち尽くした。

やがて、深い溜息が漏れる。


「お前ら、いい加減にしろよ!?」


カウンターの向こうで、ゲイルがグラスを置く音がした。

拭き終わった布を肩にかけ、静かに見守る視線。

まだ何も言わない。

ただ、酒場の午後の光が、四人の影を長く伸ばしていた。

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