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33/44

33.それぞれは城へ侵入する

33話に来てくれてありがとうございます。

 先頭はボス・グレコ。マッテオ、ロッシと続き一番後ろからトンマーゾが頻繁に後ろを振り返りながら、真っ白になったトンネルを腰を落として少しずつ進んでいくと、鉄製の装飾門がおぼろげに見えてきた。ボス・グレコが止まる。

「あの門の先が城の中庭になる。車の中で教えた通り、城は四角い中庭を取り囲むように建っている。門を破壊したら右回りに建物沿いに一気に進む。」

 グレコが全員の顔を見回す。マッテオとトンマーゾがしっかりとうなづく。ロッシが唾を飲み込む音が大きく響く。


「始めるぞ」

 グレコが杖を門に向け「火球」と唱える。放たれた巨大な火の玉はゴオっと唸りながら装飾門に命中し、門はギヤアと嫌な音を立ててひしゃげて奥へはじけ飛んだ。4人は一斉に静かに走り出し、あっというまに中庭の向こう側の扉までたどり着いた。

「もっと迎撃されると思っていたんですが」

 荒くなった呼吸を押し殺しながらマッテオがささやく。

「この霧で視界が悪い中、無駄撃ちを避けたのだろう。この中はそうはいかんぞ。待ち伏せに用心して進む」

 全員の目を見てタイミングを計ったグレコが身をかがめたまま扉に手を掛けた。


ーーーーーーーー

 ミケーレ、メノッティ、レオルーカ兄弟の4人は、城を対岸に見据える湖のほとりにいた。城がカロジョロの霧に包まれていくのを確認すると、4人は小舟に乗り込んで城を目指した。

 レオルーカ弟がゆっくりと櫓をこぎ、小舟は静かな水面を進んでいく。

「霧に惑わされるな。前じゃなくて自分の真っ直ぐ後ろの景色を手掛かりにしろ。このまま真っ直ぐ、通用口に船をつけるぞ。」

 ミケーレがレオルーカ弟に指示を出す。

「霧が晴れたら一巻の終わりですね」

「じいさんの霧は粘りがあるからな。絞り切った魔力で作った霧は、晴らそうと思ったら向こうもかなりの魔力で吹き飛ばさなきゃならねえ。そこに魔力を使うなら、待ち構えてて仕留めるために力を温存しておくかもな。俺なら」

 メノッティとミケーレの会話を聞いていたレオルーカ弟が「待ち伏せか…」とボソッとつぶやく。ミケーレが不安そうなレオルーカ弟の肩を励ますように叩いた。

 「いいか。奴らは俺たちが来るのを知ってて、杖をにぎりしめて待ってる。俺たちは奴らが待ってるのを知ってて、杖を握って殴り込む。な?五分五分だろ?」

 ミケーレがニヤリと笑う。

「絶対違う気がするんすけど…」レオルーカ弟はため息をついて兄を見る。兄は片眉をあげて応える。


 真っ白な霧に包まれた岸へとたどり着いた4人は、杖を握り用心しながら上陸した。生い茂った雑草に隠されていた通用口を見つけると、ミケーレが扉を手のひらでそっと触って目を閉じた。

 「魔力は感じねえ。見たところ苔がびっしり生えていて、最近開けた様子もねえな。」

 「そういう偽装かも」

 メノッティが心配そうにささやくと、そうかもな、と返してミケーレはみんなに扉から離れるよう指示を出した。

 「どちらにしろ、こそこそしたって意味がない。俺たちの役割は大騒ぎしてカモメの力を分散することだろ?ド派手にやろうぜ」

 レオルーカ兄弟がお互いを見あってうなずいた。一歩前に出て並び立ち、手をつないで前に差し出す。

「鉄雷!」


 杖を持ったほうの手でそれぞれが大きな半円を描くと大地がびりびりと振動し始めた。黒い塵のような細かい砂鉄がゆっくりとい舞い上がり、描かれた円に沿うように集まり黒い球体を形作っていく。チリリ、と静電気のような火花が球体のそこかしこではじけてはつながり、最後には稲妻の鎖で縛られているかのように全体を覆った。兄弟がタイミングを合わせ杖を大きく振ると、巨大な玉は扉めがけて飛んでいき、大きな音を立てて扉とその周辺の石壁を粉砕した。

「挨拶としてはなかなかだな。さあ、気合い入れていこうぜ!」

ミケーレが声を張り上げて崩れたがれきを乗り越えていき、3人も後に続く。

佐々木マキさんの本も好きです。ムッシュムニエルのシリーズとか。

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