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物心がつく頃にはアダムと暮らしていた。
原初的な記憶の始まりから僕の全てはアダムと共にある。
僕の全てはアダムのもので、アダムは僕の最愛という言葉では足りないほどのかけがえのないパートナーだ。
僕の一人称は僕なのだけれど、僕はもうすぐ19歳の誕生日を迎える女の子で、カフェオレ色の白髪に紫がかった切れ長の瞳を持つ、中性的な美貌の女の子。それが僕の容姿だ。
アダムとはこの後、世界で一番重要なことをしなきゃいけないんだって。
それは、物心が付いた頃から、大事な儀式として聞いてきたことではあったのだけれど、それがついに始まると思うと、さすがの僕も責任重大に感じる。
こんなことを考えてるけど、実を言うと僕は今アダムの膝の上に向かい合って座ってたりするのだ。
これは、僕とアダムと触れ合いとしての定位置なのだけれど、これが日常的な状態なのだから、モノローグもこういう状態でという事になっただけなんだけどね。
そうこうしているうちにそろそろ始めるみたいだ。
アダムが語り出す。
「ナナセ、具象化とはどういうものか、から始めるよ」
「ナナセ」とはアダムが僕を呼ぶ時の愛称のようなもので、僕の本名はイヴ。
僕が頷くと、アダムは続けた。
「具象化とは、この世界の最大級の理で、俺とナナセの二人の能力であり、義務だ」
「俺がナナセに語った事を、ナナセが理解して納得すると入力が完了し、最終的にナナセの具象化に関する記憶を消すことで発動する」
「発動すると入力した事柄が過去から存在し、未来まで続いていく」
「簡単に言うと、具象化された事柄は過去から存在し、全ては具象化によって生まれている。その儀式のことを具象化と言うんだ」
「そしてその方法は、ナナセに俺が語ったことをナナセが理解して納得すること、なんだ」
「俺とナナセは、この世界を生み出す存在として、具象化により生まれている」
「未来で具象化が発動した瞬間、過去から全てが存在するんだ」
ここまでは日頃から聞かせていたね?とアダムは言う。具象化には前提となる基礎情報の具象化も必要だから、話しているらしい。
「うん」
僕も当然のように知っていたから頷く。
もちろん僕はアダムの膝の上で向かい合った姿勢だ。僕たちは触れ合ってないと生きていられない。そう出来ている。
「俺たち、俺とイヴは創生のサヴァンだ。俺たち二人のことについて具象化していくよ」




