卒業式2日前にベランダからルームメイトを思う
暗い部屋の中で前に見えるカレンダーから卒業式まで後2日だと分かる。それと同時にルームメイトの咲と一緒に居られるのも後2日であることを思い知らされた。
――眠れない。ならば夜風にあたりにベランダでも出よう。音を立てないよう窓を開けて……あぁ、夜風が冷たいけど、返ってそれが気持ちいい。今から少しだけ思い出に浸ろうかな。
咲と出会ったのは、寮でルームメイトになった時。小柄で愛らしい笑顔に私は咲に一目惚れをした。
告白することはなかったが、気が合ったお陰ですぐに打ち解け、直ぐ様友人となったのだ。
それから咲とは様々な所に出かけた。近場のカフェを巡ったり、三連休の時は県外に出てそこでも一緒な旅館に泊まったりしたっけ。
あと咲とはいつも一緒で、散歩する時さえ付いてきたな。だから、お弁当を作って散歩ならぬ軽いピクニックをする時もあった。
あとは沢山のお話も共有したな。趣味や目標、そして恋愛も……。
咲と出会って1年後に好きな子がいると言われた時には驚いた。だって相手は草食系の影が薄い人だから、そんな人に目をかけているだなんて知らなかった。
その時に、私は失恋したのだと気付かされて泣きたかったのに、咲が可愛くなって告白したいから手伝ってなんて言うから、泣くに泣けなくて……結局手伝うことになってしまったな。
それからは、彼の好みの顔に仕上げるためにメイクの研究をしたり、綺麗な肉体を手に入れるためにプールで泳いだりと、トレーニングを積んだ咲はより磨きをかかり美しくなっていった。
グレードアップした咲が今度は告白をしたいけど、もう少し距離を詰めて告白したいというから、彼とその親友と共に2人で会話を弾ませて仲良くなって、それぞれ出かけてさ。観覧車に2人きりにして告白の場も設けたのに、ただ沈黙が続いただけの時もあって、あの時は少し焦ったな。
でも、紙飛行機で願いを乗せて飛ばした後に、無事に告白が成功したんだよね。
「涼、大好き」
「俺も咲のことが好きだ」
あの時は、嬉しくて悲しくて本当に複雑な気持ちだったよ。
あぁ、もうダメダメ。早く寝ないと。そっと窓を開けてっと……。
「結……好き……」
咲、なんでそんなことを寝言で言うのよ。もう咲とは後2日でお別れなのに。寝顔も寝言も聞けないのに。封印してきた気持ちが湧き上がっちゃうじゃない。
「私は咲を愛しているわ」
本人も聞こえない寝言に、一生聞かれることもない最初で最後の告白で返した。




