第2話: コメントの洗礼! 異世界ブラック企業での奮闘
「……はぁ、今日も疲れたなぁ。」
僕はようやく定時を迎えた。いや、定時という言葉すらこの異世界ブラック企業には存在しない。魔法が使える世界だというのに、職場の様子は現実世界のブラック企業と何も変わらない。いや、それ以上かもしれない。今日も夜遅くまで残業を命じられ、さらに明日は朝6時からの勤務だ。
「マジで……もう限界かもな。」
仕事が終わっても、疲れた体を引きずりながら僕は帰り支度をする。しかし、ふと手元のスマホを取り出し、昨日始めたばかりの配信アプリを開いてみると、意外なことに視聴者数が増えていることに気が付いた。
「……え?マジで?」
昨日の配信は特に盛り上がりもなく、コメントもほとんどなかった。まあ、初配信だし、誰も見てくれないのも仕方ないと思っていたが、今はなんと数十人もの視聴者がいる。しかも、コメント欄が賑やかに流れている。
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**コメント:**
- 「お疲れ様!」
- 「マジでこんな世界があるのか? 異世界でもブラックは健在かよw」
- 「おい、早く次の配信内容教えてくれ!」
- 「まだ終電逃した世界の方がマシなんじゃないか?」
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「お、お疲れ様って……マジかよ。現実世界の方がマシって……確かにそうかもしれないけど、こっちはドラゴンやら魔法やらがあるんだぞ!? まぁ、それを楽しむ暇がないんだけどさ!」
僕はスマホを手に取りながら、疲れた体をソファに投げ出し、視聴者のコメントに一つ一つ反応していく。
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「みんな聞いてくれよ、ここの上司はマジでヤバいんだ。『明日までにこれ全部終わらせとけよ』って、机の上に山ほどの書類を積み上げてくるんだぜ。しかも、その書類には魔法の暗号がびっしり! 解析するのに何時間かかるかって話だよ!」
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**コメント:**
- 「おいおい、それは鬼畜すぎるだろ!」
- 「魔法の解析ってなんだよwww」
- 「無理ゲーじゃん、それwww」
- 「そもそも何でそんな仕事してんだよ!? 異世界なのにさあ!」
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「だよな! 俺も思うよ! 異世界に来たんなら、もっと冒険とかして、ドラゴンと戦うとか、そういうカッコいいことがしたかったんだよ。でも、気がついたらこんなとこにぶち込まれて、書類と睨めっこだもんな。これが転生のリアルってやつか……。」
僕は苦笑しながら、今日あった出来事を視聴者に話していく。魔法の暗号解析から始まり、次々に要求される無理難題、そして残業時間が終わったと思ったら、朝から会議が控えていることに気づいて絶望する――そんな、何のロマンもない異世界生活。
でも、少しずつコメントが増えてきて、視聴者が僕の話に反応してくれるのは、やっぱり嬉しい。いつの間にか、配信することで気持ちが少し楽になっていることに気づいた。
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**コメント:**
- 「いや、ほんとにお疲れ様。無理すんなよ!」
- 「この異世界で生き抜けるのか心配になってきた」
- 「でも、魔法の解析ってなんか面白そうじゃね?」
- 「おい、もしかしてスキルとか持ってないのか? 異世界の転生者ならスキルあるだろ!」
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「スキルか……そうだな、一応持ってはいるんだけど、残念なことに『残業耐性』とか『資料整理』とか、全然役に立たないスキルばっかなんだよ。勇者みたいなカッコいいスキルが欲しいってのに、なんでこんなサラリーマンスキルなんだよ……。」
僕は再び自分のスマホを取り出し、スキル欄を確認する。
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**スキル一覧**
- **残業耐性 Lv.10**
- **資料整理 Lv.8**
- **上司の無視スキル Lv.5**
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「見てくれよ、このラインナップ……。まさにブラック企業に特化したスキルだろ? せめて戦闘系のスキルが欲しかったよ。何かこう、剣術とか、魔法とかさぁ。」
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**コメント:**
- 「ワロタwww」
- 「完全に社畜仕様じゃん」
- 「そのスキル、いらなさすぎて泣ける」
- 「お前、ほんとに勇者かよwww」
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「勇者じゃないんだよ! 転生したのはいいけど、なぜかブラック企業にスキルが最適化されちゃってるんだってば!」
そうやってツッコミを入れるうちに、自然と笑いがこぼれてくる。視聴者たちとのやり取りが、僕のストレスを少しずつ軽減してくれるのが感じられた。
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「でも、コメントくれるだけで救われるよ。本当にありがとう。現実世界のブラック企業でさえ辛かったのに、異世界だともっとキツいってどういうことだよ……。でもまぁ、これが異世界のリアルなんだろうな。何とかこの状況を乗り切って、いつかドラゴンくらいぶっ飛ばせるようになるよ!」
僕はそう言いながら、いつかこの状況を抜け出すことを誓う。しかし、その道はまだまだ長く、険しいことは分かっていた。
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### エピローグ:これから始まる戦い
配信を終えると、すでに深夜の時刻を回っていた。明日も朝早くから仕事が待っているが、今日は何だか少しだけ気持ちが軽い。視聴者たちのコメントや反応が、僕にとっての心の拠り所になりつつあった。
「よし、明日も頑張ろう。」
そう呟いて、僕はスマホを手にベッドに倒れ込んだ。まだまだブラック企業での戦いは続くが、少しずつ状況を変えていけるかもしれない。そんな小さな希望を胸に、僕は再び眠りにつくのだった。
次回、さらなる無理難題が主人公に降りかかる! そして、視聴者たちとの絆も徐々に深まっていく……果たして、彼はこの異世界ブラック企業を生き抜くことができるのか?