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第02話 現実世界と異世界

はい!

『現実世界で「最強チート能力」を手にしたいので異世界に行くために今から睡眠します』

の第02話です

楽しんでください!

 俺はゆっくり目を開いたーー。

 目を開いた先には、さっきまでの可愛らしい声の持ち主なんて見当たらなかった。

 ただ、薄汚いペラペラの大きい布を被っている人だけがいた。

 顔はよく見えない。

 俺はなぜ布をかぶっているのかと、助けてくれた理由、ここはどこなのか聞きたかった。


「まず、助けてくれてありがとうございます。でも、他の人は俺のことを冷たい目で見てたり、あの傭兵達は殺そうとしてきたのに、あなたは俺を助けたんですか?」

「……」

「黙認…ですか」

「……」

「まず、その布取ってください。顔が見えないと、助けていただいたとはいえ、不安で仕方ないです」

「そこまで元気ならよかった。元気でな」


 この声は、さっき聞こえた可愛らしい声とは違い、とても暗く、恐怖に包まれているような声だった。

 そうなると、余計気になる。

 なぜ、俺を助けたのか。

 助けてくれたのに、急に元気がなくなり、俺を避けようとしてくること。

 この場を立ち去ろうとしている彼女を止めるために、俺は走った。


「ちょっと、待ってくだっ…さい!!」


 ドンッ!!


 盛大にこけてしまった。

 恥ずかしい…


「大丈夫? 怪我はない?」


 そんな声に釣られて、彼女が伸ばしてくれた手を持って立ち上がった。

 お礼がしたくて、顔を上げる。

 すると、目に映ったのは、大勢いた街の中でも見かけることがなかった絶世の美女がいた。

 一途な俺が、彼女がいるのに一目惚れしそうになるぐらいの美女だ。

 そんな彼女を見つめているとーー


「なによ……」


 と彼女は恥ずかしそうに、俺が剥がしてしまった布で口元を隠していた。


「…綺麗ですね」

「……」


 わかりやすい。

 さっき見つめていた時は、少し怒っているような言い方だったが、何も言えずに黙っているのは、顔を見ればすぐわかる。

 めちゃくちゃ、赤い!!

 照れちゃってるな〜

 そんなこと思いながらも、顔を隠していた布をかけた時に掴んで剥がしてしまったことをまず、謝らなければ。


「あ、あのぅ…」

「なに…」


 うわぁ〜怒っちゃってるよ。

 さっきまでの、照れてて真っ赤なお顔はどこいったの…!!


 そんなことを思いつつも…


「布…剥がしてしまってすみません」


 彼女はキョトンとしていた。

 なんだか、俺が謝ることを不思議そうにーー。

 

「どうかされました?」

「…いや、なんでもない」

「なんでもなくないでしょ。なんで俺が謝るのが意外みたいな顔してるんですか」

「だって…」


 何かあちらにも事情がありそうだ。

 深堀はしないでおこう。

 そんなことよりも、聞きたいことが沢山ある。

 俺の質問に答えてくれるかわからないが、色々話を聞こう。


「すみません。トラウマ的なのだったら話さなくても大丈夫です。聞きたいことがいくつかあるんですけど…」


 俺が質問しようとした瞬間。

 彼女は、こちらを敵を見るような鋭い目で睨み、俺の方に走ってきた。


「えぇ!? なになに!?」

「ほら、行くから」

「どこに!?」

「知らない!」

「知らないって…」


 そう言って彼女は俺の手を握り、違う場所に移動した。

 走ったのではない。

 瞬間的に違う場所に移動したのだ。

 さっき街中で殺されかけた時に次に目を開いたら別の場所にいたのは、この美女の能力だと今わかった。

 でも、それだったらこの美女は…瞬間移動の能力持ちってことになる。


「瞬間移動!? すっげ〜!!」

「し〜っ! それを大声で言わないで!」

「う、うん。ごめん」


 どうやら、この能力に関しても訳アリのようだ。

 それよりも、どうして急に手を取り、瞬間移動したのかが気になる。

 俺は何もしていないと思うが、あんなに鋭い視線を向けられていたので、何があったのか聞いてみることにした。


「なんでさっきあんなに、敵を見るような目で俺のとこに走って来たんですか?」


 彼女はまたもやキョトンとしていた。

 しかし、今回のキョトンはさっきのとは違って、「なんでわからないの?」みたいな馬鹿にされているような感じだった。


「あんた、まじか…」

「え、なんでです?」

「さっきは、国の塀を越えてすぐ近くの森の入り口に移動したんだ。そうしたら、傭兵達に見つかって、こっちに向かって走って来てたんだよ」

「あ、ありがとうございます」


 やっとわかったのか…と言いたげな表情をしながらも、「こっちに来て」と言ってきた。

 次に移動してきたのは暗い森の奥深くの古びた家だ。


「とりあえず、入って」


 と言われ、言われるがままに彼女の家らしき家に入って行った。

 中に入ってもとても外観と変わらずボロボロだ。

 こんなところにあんな美女が住んでるとは思えない。

 初めから、他人の家にドカドカ入り込むのもアレなので、入り口から入ってすぐのところから家の中を見渡していた。

 すると、彼女はダイニングテーブルらしき机の近くにある椅子に腰をかけなと言わんばかりのジェスチャーをした。


「それでは、遠慮なく…」


 俺が座って少しすると、彼女が紅茶を俺の目の前に置いてくれた。

 流石に食器は綺麗だ。


「あ、ありがとう。いただきます」


 彼女は何か動物を見るかのような目で紅茶を飲む俺を見て、しばらくすると、自分も紅茶を飲み始めた。

 2人とも紅茶を飲み終わり、沈黙の空間でただ時間だけがすぎていった。


「ルイーズ…アデール…」

「……え?」

「ルイーズ・アデール! 私の名前!」


 多分…ていうか、絶対、この沈黙の空間の雰囲気に耐えられなかったのだろう。

 勇気を出して話しかけてくれたのに、少し悪いことをしてしまった気分だ。

 彼女が、勇気を出して自己紹介をしてくれたんだ。

 俺だってしっかり自己紹介しないとな。


「自己紹介ありがとう。俺は、東雲勇希」

「シノノメ、ユウキ…? 初めて聞く名前ね。勇希が姓で、東雲が名でいいの?」


 俺はどうして、そうなってしまうんだ…と思ってしまった。

 しかし、よくよく考えたらそうだ。

 彼女の名前は現実での外国で使われている名前の構成。

 先に名がきて、後から姓がくる。

 どうしてわからなかったんだ…!!


「えっと…東雲が姓で、勇希が名だね」

「姓が初めにくるの? あなたはどこの国の人?」

「えっとぉ…」


 どう説明すればいいのかわからない…

 多分、東の島国といっても、ここは現実ではなく異世界、地球だとしても形が違うはずだ。

 しかし、ここにとっての異世界から死んでここに来た、と言っても変人に思われるに違いない…どうすればいいんだよ…!!

 仕方ない、ここは素直に!


「素直に言うよ。俺はここの世界の人でなく、ここの世界の人にとっての異世界にある東の島国で死んだ。そうしたら、さっきの街の中にいた」


 彼女は、不思議そうにしていた。

 そうだろうな、ここの世界の人にとっての異世界の東の島国って言ってもわけわかんないし、死んだら、街の中にいたっていうのも、俺が聞き手だったら意味がわからない。


「ごめん、意味わからないよね。さっきから傭兵に襲われたりして、僕を助けてもらっていたら、君まで危なくなるかも。だから、俺はここを出ていくよ」


 そう言って俺が立ち去ろうとした瞬間。

 彼女は俺の腕を掴み引き止めてきた。


「そんな心配は御無用だから、一回座って? 私はあなたと話したいから、家に連れてきたの」


 なぜだ。

 あんな変なことを言う奴を引き止めるメリットなんて、彼女にないだろう。

 そして、俺と話したい…?

 意味がわからない。

 一瞬、


 何か企んでいるのではー?


 という最低な考えが浮かび上がったが、そんな思考は一瞬で消えることとなった。


「勇希、あなたはまだ異世界で死んでいない」

「え?」


 ちょっと待ってくれ、俺は背後からナイフを刺され、感覚が無くなり、意識が遠のいて完全に感覚がなくなってから、転生したはずだ。

 だからとっくに死んでいるはず…


「今の言葉を理解できなかったようだな。よく聞け、私が説明する。一回で聞き取れ」

「わかりました」


 急な彼女の命令口調と、解説に驚いたが、話を聞くことにした。


「まず、さっき勇希は異世界で死んでいないって話だが、あくまでも仮説だ」

「でも、さっきほぼ確定で死んでないみたいな言い方だったじゃないですか」

「確かにそうだ。しかし、ほぼ確定で死んでないとは言い切れない。なぜかというと、今までの私の経験上、お前は他の奴らと違って死んで来たと言った。だが、他の奴らは夜に眠ったタイミングで、目を開いたら街の中に立っていたと言っていた」


 現在与えられた情報が整理しきれていない。

 俺は、自身の異世界転生系のアニメの知識をフル活用して今の情報を脳内で整理した。

 まず、彼女が言うには、俺は現実世界で生きている。

 そして、俺以外にも、この世界に来ている現実世界の人がいるが、その人達は、俺みたいに死んで来たのではなく、睡眠によって来た。

 っていうことは、これは転生ではなく、転移っていうことになる。


「転移って現実的にありえなくないか!?」


 急に大きな声を出してしまった。

 「しまった」と思い、彼女の方を見ると、あからさまに迷惑そうな顔をしていた。


「急に大きい声を出し、驚かせてしまい、誠に申し訳ございませんでした」

「よろしい」


 俺は精神繊維丁寧に謝った。

 そして、話を戻すとしよう。


「俺は、現実で生きているってことは、これは転移なの?」

「わからない。だが、他の奴らは寝始めたら来たと言っているから、予測では、異世界の人間が寝たら極稀にこちらの世界に転移してしまうんだろう」

「寝たら転移する…か。ていうことは、俺はナイフで刺されたけど、意識不明になっていて、こっちの世界に転移したと言うこと!?」

「まぁ情報を整理するとそうだな。ナイフで刺され、意識不明の重症。その結果、睡眠判定となり、こっちに来たわけだ」

「じゃあ、俺帰れるじゃん!」

「異世界の本体が無事なら、問題なく戻れるだろう。しかし、今のままでは、異世界に戻っても、動けないまま後遺症が残って最悪だぞ」

「え…じゃあ、まず、戻り方を教えてよ! 他の人達はみんな帰れてるんでしょ? さっきの情報からなら、現実でまた睡眠すればそのタイミングで戻って来れるじゃん!」

「……」


 彼女は急に黙り込んだ。

 彼女が黙り込む時は、大体なにかしらある時だ。

 流石に3回目にもなればもうわかる。


「なんで、何にも言ってくれないんだよ…」


 俺の異世界生活はまだまだ続くのか。

 または、現実に戻って美優と楽しい日々を送れるのか。

 それまた、別の生活を送ることになってしまうのかーー。


最後まで読んでいただきありがとうございます


どうだったでしょうか?


楽しんでいただけたらとっても嬉しいです!


誤字や、何か文がおかしかったりしたら、レビューや感想で教えていただけると嬉しいです


よければ、ブックマークと評価をしていただけるとこれからのモチベーションに繋がります!


『第02話 現実世界と異世界』でした!


*補足*

主人公 東雲勇希 を助けた女性キャラの名前が

『アデール・ルイーズ』

になっていました。

正しくは『ルイーズ・アデール』です。

申し訳ございませんでした。

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