探検
勢いで皆と小屋を離れ、気付いた時には沢山の小屋の間を歩いていた。
道の人通りは少ない訳ではないが、脇には地面に座り込んでいたり、寝ている人がたまにいる。
「彼らは何をしているんだ?」
疑問に思い隣に立つマイクに尋ねれば、彼は厳しい顔で口を開く。
「…生きるのに疲れた人たちさ。」
答えになってはいなかったけれど、何となく分かった。彼らは何かをする気力も活力もないのだろう。
助けてやりたい、と漠然と思うことしか出来ない自分が悔しかった。
「で、どこ行くー?」
三歳以上年下だろう少年の言葉に、皆顔を見合わせる。
「そりゃ、俺らの秘密基地だろ!」
秘密基地、という単語に胸が躍ったのが自分でも分かった。思っていたよりも自分はまだ子供らしい。
けれどその提案に顔を曇らせる子供もいた。
「え、でもそれってジョーンに聞いた方が…」
「いいんだよ。クリフだって俺らの仲間さ!例え、明後日には帰っちゃうとしてもね!」
芝居がかったように大きく手を広げて言った少年(確かアレンとかいう名前だったと思う)に、皆が頷く。
この中では一番のリーダー格であろうマイクも笑って頷いていた。
「その通りだぜ!よし、さっさと行こう!」
そう言って皆に手を引かれ、小屋と小屋の間を潜り抜けてやって来たのは、少し拓けた広場だった。
大きな木があり、その隣には布で出来た大きな簡易のテントのようなものがあって、その少し離れた場所にはガラクタの山が築かれている。
ここが秘密基地なんだろうか?一般的な秘密基地というものを知らないから何とも言えないが、それでもワクワクと胸が躍る。
「こっち来いよ、クリフ。」
マイクに手を引かれて導かれたのは、布のテントの中。
大きな外見通り中も広かったが、地面には布が何枚か落ちていて、隅には鍋や器といったものが置かれていた。
「じゃじゃーん、私たちの秘密基地兼お家にようこそ!」
どん、と背後から抱き付いてきた少女が笑いながら言った言葉に、瞬きを繰り返す。
今、この少女は家だと言わなかっただろうか?
「…ここに住んでいるのか…?」
呆然とした問いに、マイクは平然と首を縦に振る。
そして、アレンが続けてテントに入って来た。
「まあ全員じゃないけど、親とか家が無かったり事情のある子はここで暮らしてるよ。僕も家庭的な問題でここに住んでいたりするのさ!」
おどけた風に、何でもないとばかりに笑うアレンに愕然とする。
自分の知っている世界と、あまりにも違う。家庭教師に教わってはいた。知っているつもりだった。でも本当は、何も知らなかったのだ。
「…国は、何もしてくれないのか?」
少しでもと、懇願するような問いだった。
この国を治めているのは、自分の父親と身内たちだ。
何もしていないなんて、信じたくなかった。
けれど、現実は違う。
わたしの問いに、アレンは小さく吹いて笑った。
「ははっ、何を言ってるんだいクリフ!国のお偉方がこんな餓鬼のことを気に掛けるわけないじゃないか!」
「そーよそーよ、今まで一度も国の人が何かしてくれた記憶なんてないわよー。」
「ま、しょうがないわな、俺らは国の連中からしたら居ないようなもんだし?」
平然としている皆から、目を背けたくなる。
口々に言われた言葉を、理解したくは無かった。
けれど、それが現実だったのだ。
それが凄く、悲しくて、悔しくて、やるせなかった。
「…そうか。」
何も、言えなかった。何を言えばいいのか分からなかったのだ。
慰めも気休めの言葉でしかないのは、自分でも分かっていたから。
でも、目を背けることだけはしなかった。したら駄目だと思った。
ガイがここにわたしを連れて来た理由。
それが、分かった気がした。
「…、わたしに、ここでの皆の生活を教えてくれ。」
わたしに今必要なのは、実際の声を聞くことなのだ。
けほっ、と咳をしながら、小屋の外を見渡す。
居なかった、彼が。
「…うっそん。」
事の重大さに気付いた瞬間、音を立てて血の気が引いたのが分かった。
サーっと青くなっただろう顔色の私を見たジョーンが、うろたえる程には。
「イ、イスト姉!?へ、平気だって!クリフはマイクたちと遊びに行っただけだから!」
「…え、マイクたちと?」
全身の緊張が解れた気がした。
マイクたち現地の子供たちと一緒なら、私と二人で出歩くよりも全然安全だろう。
彼らは伊達にここで生き残っているわけじゃない。
落ち着いた私に気付いたのか、ジョーンは安心させるように微笑んだ。
「大丈夫だ、きっと午後の授業までには帰って来るさ。」
「そう、だよね。うん、そっか。」
しかし、どうやらクリフくんは無事皆と打ち解けたらしい。
良かった良かった、と母親のような気分で喜ぶ私に、ジョーンがため息を吐く。
「クリフに過保護過ぎねえ?」
「えー、そりゃ……」
うん。そりゃなりますよ。だって王子様だよ彼?
なんてこと口が裂けても言えないので黙るしかないのだけれど。
呆れた様子のジョーンが、ぽんと私の肩に手を置く。
「あいつがどっかの坊ちゃんだろうなってくらい、殆どの奴が気付いてるよ。」
さらっと言われた内容に、びくりとする。
本当なのかと目で問う私に、ジョーンは真面目な顔で頷いた。
「だからマイクたちは、あいつを連れ出したんだろうな。ここの実情を少しでも知って貰う為に。」
まさかその相手が、王太子だとは気付いていないみたいだが。
しかし、子供子供だと思っていたあの子たちが、まさかそんなことを考えたなんて。
「…皆、大きくなったね。」
「違う。」
きっぱりとした否定に、え、とジョーンを見下ろす。
彼は、ふと微笑みを浮かべて私を見ていた。
「イスト姉ちゃんのお陰で、周りを見れるようになっただけだ。」
今までは、今を生きるのに必死で、何も考えていなかった。
でも今は違う、とジョーンは笑った。
「先のこと考えられるようになったんだよ、俺達は。こんな俺らでも未来があるのかなって。それは全部、イスト姉ちゃんのお陰なんだ。」
彼の言葉に、胸が詰まる。
潤む視界の先に居るジョーンが、酷く大きな存在に見えた。
あんなに小さかったこの子が、立派になったなあ…。
感慨深いというかなんというか。
「ふふ、ありがと。嬉しいよ。さ、お昼の準備しようか?」
あの子たちが、お腹を空かせて帰って来るだろうから。
寒気を感じた腕を抱いて、私は料理をしに戻った。
「あれ、ルークじゃね?」
そろそろ時間だと皆で小屋に戻ろうとしていた道すがら、一人の少年が遠くにいる少年を指差した。
皆の視線が、ルークと呼ばれた少年に移る。視界にその少年を収めた瞬間、あ、と声を出してしまった。
「(あれは…わたしを連れ出してくれた…)」
それは、曽祖父の誕生日会会場から、ガイの知人だといって連れ出してくれた少年だった。
どうやらルークという名前で、この子たちの知り合いらしい。
「そういえば最近授業に来てないよなぁ。どうしたんだろ?」
「あれ、ルークって組織に勧誘されたんじゃなかったっけ。」
「じゃあ、あいつも立派な組織の一員ってわけかぁ。」
やるなあ、と隣のマイクが呟くのを聞き、何となく事情を察する。
あのルークという少年は、イストの教え子であり、最近あの裏組織に勧誘されて、授業に顔を出していないのだろう。
視線の先で、彼は険しい顔で紙袋を抱えて歩いている。
「おーい!ルークー!」
マイクが手を挙げて大声で呼んだ。
人の往来の中だったから、嫌でも皆の視線が集まる。
勿論呼ばれた本人であるルークもこちらを見た。
険しかった顔が、今度は怪訝そうなものになる。
「…何だよ、お前ら。」
「何だよじゃねーよ、ルーク!お前いきなり姿消しやがって、心配したんだぜ?」
その他の子供たちも口々にそうだと声を上げる。随分慕われているようだ。
それがルークも分かっているのだろう、迷惑そうな顔をしつつも、子供たちを見るその瞳は優しいものだった。
その瞳が俺のところで、ぴたりと留まる。
「……お前ら、油売ってないで早くイスト姉のとこ帰れ。」
途端に険しい表情になったルークが、視線を辺りに巡らせながら言った。
何かを警戒する様子に、はっと我に返る。そうだ、わたしに何かあれば困るのはイストたちなのだ。
「いきなり何よもう!それより、マリーは平気?もう元気になった?」
「マリーがどうかしたのか?」
「…ただの風邪だ。心配ねーよ。」
そうマイクの頭を一撫でし、ルークは抱えた紙袋の中から人数分の林檎を取り出し、近くに立っていた子供に渡す。
「これ別けて食え。いいか、イスト姉のとこに着いてからだぞ?」
険しい表情を緩め、軽く微笑んでここを立ち去るように促すルークに、子供たちは渋々頷き、礼を言いつつ背を向けた。
ルークの姿が見えなくなった頃、先程マリーという名前の者を心配していた少女が、顔を曇らせて皆を見る。
「本当に大丈夫かな、マリー…。」
「マリーとは誰だ?」
一人事情の分からなかったわたしに、マイクは端的に説明する。
「マリーってのはさっきのルークの妹。確か今年で五つだっけか?」
「そうだったのか。しかし、大丈夫とはどういうことなのだ?風邪なのだろう?」
ルークは先程そう言っていた。風邪なら数日もすれば治るものだ。何を心配することがあるのだろうか。
不思議に思っていたわたしに、アレンが苦笑した。
「もう一週間もマリーは姿を見せてないんだ。これで『風邪だ、心配するな』なんて信じられると思うかい?」
「それは、確かにおかしな話だな…」
いくら風邪でも一週間も治らないなんてことあるんだろうか。
「医者には診てもらったのだろうか?病名が分かれば何か手立ても…」
そう唸ったわたしに、子供たちの顔が困ったような表情に変わる。
戸惑った雰囲気が伝わり、何か変なことを言っただろうか、と内心首を傾げた。
尋ねるようにマイクを見れば、彼も困ったように微笑んでいた。
「ここに医者なんていないも同然なんだよ。いるにはいるけど、ヤブだったり馬鹿高い料金とる闇医者ばっかだぜ?」
「で、では、病気になったら皆どうするのだ?」
医者には診てもらえない。そう言った彼らが信じられなかった。
それじゃあ普段どうしているのだろうか。
「ま、基本は寝てれば治るからなぁ。」
「市販の薬もあるっちゃあるからね。ま、高いし効くかどうか分からないけど。」
頭の後ろで両手をやり淡々と話すマイクに、次々と子供たちは続く。
どうやら、病気になったら医者には診せず、基本は寝ることで我慢するのだという。
けれどそれじゃあ、寝るだけで治らないものは?
だから、ルークはマリーのことを心配する皆を不安がらせない為に…。
重たくなった空気を払うように、アレンがパンッと手を叩いて笑う。
「大丈夫さ!ルークは組織の人間になったんだし、マリーがどんな病気だろうと治して貰えるよ!」
皆、納得したように頷いているけれど、わたしは気になってしまう。
ルークが組織の人間になったから、大丈夫だというのはどういうことなんだろうか?
やはりこのスラムで組織の人間というのは、そんなに特別なものなのだろうか。
また顔に疑問が出てしまっていたのだろう。マイクが苦笑してわたしの頭を乱暴に掻き雑ぜる。
「ここでは組織が秩序だって言っただろ?危険な組織だけど、色んな人材が集まるんだよ。その中には、流れてきた医者だって居るし、非合法な薬師だっている。だから組織の人間のルークは、伝手で優先的にそれに頼れるって話。分かったか?」
「う、うむ。」
表の世界でいう特権階級なのだろう。
視線だけをさり気無く辺りに這わしながら考える。
お世辞にも綺麗だとも活気かあるとも言えないこの街の中ですら、権力というものが存在する。それも、表の世界よりも酷い現実だ。
この街では、力のないものは生きていけないのだろう。
一緒にいるマイクたちもきっと、死ぬ思いで今まで生き残って来たに違いない。
そんな厳しい人生でも、この子たちは笑顔を絶やさずに生きている。
突然、ぐらりと自分の立っている場所が揺れるような錯覚が襲った。
自分は今まで、何をしてきたのだろう?
周りはわたしの権力に媚び諂う者ばかり。実の親にすら愛されていないとこの世を恨みもした。
それが、どうだっていうんだろうか。
今までの自分を、否定したくなった。
何を考えていようが、足さえ動かしていればいつかは小屋へと辿り着く。
わたしたちは何時の間にか小屋へと帰って来ていた。
俯きがちにトボトボといった様子で帰って来たわたしたちに、イストは何も聞かずに温かく迎えてくれた。お昼ごはんだよ、と。
質素すぎる程、質素なスープを飲む。
具なんて殆どないそれを、皆で飲む。
美味しい筈が無かった。味だって薄いし、具もないし。
でも、何故か凄く美味しかった。
その後も時間が過ぎるのは早いもので、気付けば日は沈んでいた。
子供たちも皆帰って行き、残ったのはわたしとイストだけ。
身寄りの無い子供たちも、きっとあの秘密の場所へと帰ったのだろう。
「さて、私たちも帰ろうか?」
「…うむ。」
沈んだままのわたしを、イストは気にせずにいてくれる。
きっと落ち込んでしまっていることには気付いているだろう。けれど何も言わないでいてくれるのが、今は有難かった。
そう沈み切っていたわたしの前に、手が差し出される。驚いて顔を上げれば、イストが優しい顔で微笑んでいた。
「さあ、帰りましょう。」
差し出された手と、彼女の顔を交互に見る。
初めてだった。手を差し出されるのは。
母にも父にも手を引かれた記憶はない。側仕えの者たちも、王族に触れるなんて無礼なことと触れようとはしてこなかったから。
なんだか凄く鼓動が煩い。その手を取ろうとした自分の手が、微かに震えていた。
「…うむ。」
握った手は、とても温かかった。
ぎゅっと握った手の小ささに、ああ、まだこんなに小さいんだなぁなんて思って切なくなった。
こんなに小さい子供が、親元から離されてこんな場所に一人放り出されたんだもの。
私だったらきっと泣いて泣いて、絶望してる。それなのに幼いこの子は、ここで沢山のことを学ぼうと、吸収しようと懸命で。
こんな小さな体で、全てを受け止めようと必死な姿が、在りし日の彼と彼女に重なる。
本当に二人の子供なんだな、と思う。
私の憧れでもあった気高い令嬢だったマリアと、王太子として一生懸命だった殿下。
二人からちゃんと受け取って生まれて来たこの子は、きっと奇跡の子なんだと思う。
「今日の夕飯には、兄たちも帰って来るから、とても賑やかな夕食になると思うよ。そうだ!ガイさんも呼ぼう!」
殊更明るい声での提案に、クリフくんはちょっと笑ったようだった。
「イストの兄上たちか…楽しみだな。ガイもきっと喜ぶだろう。」
「ふふふ、ガイさんはきっと嫌な顔すると思うよ?リオン兄さんと一緒だなんて!ってね。」
「仲が悪いのか?」
「喧嘩する程仲が良い、ってやつかな?」
またクリフくんは笑った。
良かった、ちょっと元気になってくれたみたい。
安心したら今の今まで止まっていた堰がまた出て来た。嫌だなぁ、風邪かな。
けほっと堰を出した途端、ぴくりと繋いだ手が震えた。
「だ、大丈夫か?どこか悪いのか?」
「へ?あ、平気だよ。多分ただの風邪…」
「平気ではないではないか!!」
凄い剣幕で怒られて、たじろぐ。病を甘く見てはいけないってことだろうか。
確かにその通りではあったので、しおらしく頷いておく。
「じゃあ、今日は早く寝ることにするよ。」
「…それだけで平気なのか?風邪で無かったら?どうするのだ?」
なんだか凄く心配性らしい。兄たちみたいに過保護な言葉ばかり言うクリフくんに苦笑してしまう。
けれど、本人は凄く真剣な顔をしているから、呆れちゃ失礼かもしれない。
「大丈夫だよ、今までも何回もあったし。ちゃんと薬飲んで大人しくしていれば、平気平気!」
「…薬、か。それは効くのか?」
怪訝そうな顔をするクリフくんに、確かにこんな場所で手に入る薬を信用するのは難しいだろうなと思う。
城の侍医たちの調合した薬には勿論劣るかもしれないが、一般的な効果くらいは見込める薬だ。
「大丈夫だよ、今までずっと助けられて来たし。ちゃんとお医者さんが作ってくれてるしね。」
何かしら事情があって表にいられなくなったお医者さんらしいけれど、腕は確からしい。
昔から何回かお世話になっている小父さんの顔を思い浮かべて苦笑した。
絶対あのぐーだらな態度が原因で失業したに違いない。
「…そうか、イストは…」
一人納得したらしいクリフくんは、複雑な表情でまた何やら考え込んでいる。
私がどうしたのだろうか?今日一日で、なんだかクリフくんは変わったような気さえしてくる。
こんな小さな体で、何だか難しいことばかり考えていそうだ。
一杯一杯になってしまわないのだろうか?
「(ま、子供はいつの間にか大きくなるっていうし…)」
体は小さくとも、きっと中身の成長は大人が思うよりも早いんだろう。
教え子たちの姿を思い浮かべて、改めて思う。
ああ、私もオバサンになったなあと。
そりゃそうか。前世と今生を合わせると、三十歳はもう超えているわけだしね。
外見は若くても、これじゃあ嫁の貰い手もないだろう。
って、何考えてるんだろ私は。
「(嫁って……そんな気持ちになんて、ならないと思ってたのに)」
誰かと連れ添う自分なんて今まで想像出来なかった。
前世のこともあるし、今の今で忙しかったから考えている暇や余裕が無かったんだと思う。
なのにどうだろうか。いつから私はこんなに暢気なことになったのだろう。
というか、本当にこのまま一生独身でいるのだろうか私。
「んー、どうしたもんか…」
「どうかしたのか?」
「ふふふ、子供にはまだ分からない悩みなのよ。ふふふ。」
「…熱が酷いのだな、イスト。」
何か凄く失礼なこと言われた気もするが、聞かなかったことにする。
何だかとても気分が良かった。靄が晴れたような、清々しい気分。
クリフくんと過ごしていると、何だか気付くことが沢山あるな。周りのこととか、今まで気付けなかったこととか。
生まれ変わったような心地がする。今更だけど。
もしかしたら、自覚なしに前世のことを引き摺っていたのかもしれない。
そんな色々と、決別できたんだと思う。
私の時代、イストワールの時代は終わったんだ。
もう次の世代が生まれている。クリフくんのように、次の世代が。
私ももう、イストなんだ。そっか、私はイストなんだよね。
じゃあさ。
「クリフくん、私って魅力的?」
「……黙秘する。」
どうやら今生で人生のパートナーを見つけるのは難しいようだ。