表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/23

第8話〜強化して物理で殴る〜

 「いえ、そんなに変な話ではなくて。ルークさん、結構力も強いと思うんです」


 「まあ、身体強化の魔法で強くはしているけど」


 「だったらそのままでも倒せるのでは、と」


 身体強化してるとは言え、元々がそんなに体格もよくないし力もない方だ。

 荷物持ちは出来ても魔物討伐なんて。


 「――倒せた」


 洞窟に入り、最初に出会したオークを言われた通り鞘に入ったままの剣で叩く。

 まさかの一撃で倒してしまいめちゃくちゃ驚いている。


 「やっぱり強いですね!素手でもいけるんじゃないですか?」


 「あはは、どうなんだろね」


 ただこれで洞窟崩壊をさせる事なく先に進めそうだ。


 その後も道中特に苦戦する事なくオークを倒していく。

 アテナの魔法も一撃とはいかないが、十分に通用するみたいだ。


 「アテナはなんで魔法使いに?」


 オークもだいぶ少なくなってきた道中、アテナにふと質問する。


 「私、実は回復術師(ヒーラー)になりたかったんですよ」


 確かに清潔感ある服装は戦闘より回復役の僧侶がお似合いだろう。


 「でも回復魔法は向いてないみたいで……あっ、使えるには使えるんですけどね」


 「使えるのに回復術師にならなかったの?」


 「加減ができないんですよ、回復魔法使うと魔力全部使っちゃって倒れちゃうんです」


 なんだか俺と似ている境遇だなと共感する。

 

 「ルークさんはどうして魔剣士?に?」


 逆に質問される。

 俺は魔力が特別高いこと、魔法が身体強化しか使えない事、強力な魔剣を手に入れた事を話す。


 「聞いたことがあります、数値化できない魔力を持った人――ルークさんの事だったんですね!びっくりです」


 そこだけはやっぱり有名人なようだ。

 恥ずかしくて愛想笑いで返す。

 

 ――と、言っている間に最深部に着いたみたいだ。


 「アテナ、後ろに下がってて」


 「はい」


 最後の部屋にはオークがざっと十体。

 豚の様な鼻が特徴的なゴツい体をこちらに向け、人から奪ったらしい槍や斧をそれぞれ武器として持っている。

 よし、上位個体はいないみたいだ。


 俺が前に出ると前方を包囲する様にオークがバラける。

 オーク達の鼻息が荒く聞こえる。

 戦闘体勢はバッチリのようだ。


 「さて、いくぞ」


 目の前のオークを叩くために剣を振るう。

 オークが槍で防御に入るが槍の持ち手を折り、そのまま頭部をかち割る。

 それを見た横から他のオークが襲ってくるが剣を横に振り胴を打つ。

 その後も三体、四体とオークを倒す。弱いとされている魔物の中じゃ体の強い方だが、身体強化した俺の方がやはり強い様だ。


 「七体目、八体目――」


 「危ない!【ファイアボール】!」


 油断していた、後ろからオークが襲ってきていたみたいだ。

 アテナの魔法に救われる。


 「ナイス!」


 振り返り、隙の出来たオークを倒す。

 これで後一体。


 最後になったオークは後退りし、壁に背を当てる。

 なんだか可哀想な気持ちにならんでもないけど、俺は最後の剣を振るい、オークを全滅させた。

 魔剣の力を使わなくてもここまでできるなんて。


 「やっぱり強いですね!」


 アテナが歩み寄って声をかけてくる。


 「一人だと危なかったよ、助けてくれてありがとう」


 「いえ、私なんてほんの少ししか役に立てていないです」


 「いやいや、助かったよ」


 笑顔でそういうと、アテナの顔が気のせいか赤くなった気がした。


 「あっ!宝物があるみたいですよ!」


 すぐに首を振り、部屋の奥を指差す。

 そこには宝箱。

 多くの魔物は人から奪ったものや大切なものを宝箱に保管する習性がある。


 依頼に書かれていない分に関してはこれも冒険者の取り分になる。


 「うーん、あんまりいいのはないな」


 「ですね」


 宝箱を開けるも、中に入っているのはオークの纏う毛皮や汚れた硬貨ぐらい、あとはゴミしかないみたいだ。

 弱い魔物だしこんなものだろう。

 だけど初めて魔物を倒して宝箱を開けられた、その事実に満足感が得られた。


 ――ギルドへ戻って受け付けで報告をすませ、報酬を折半する。


 「半分もいただいていいんですか?私あまり――」


 報酬をアテナに渡すと申し訳なさそうにされる。

 確かに依頼の報酬はその仕事量で取り分を分けるのが自然だ。

 俺も荷物持ちのときは雀の涙程度にしか貰えなかった。

 でも初めてまともにパーティを組んで依頼が出来た、それだけでそれ以上の価値があると思う。

 

 「いいんだよ、それよりも良かったらまたパーティ組んで」


 「え?あっ!もちろん!私でよければいつでも誘ってください!」


 手を出され、握手を交わす。

 やわらかく暖かい小さな手だ。握手をした時の彼女の笑顔も眩しくドキッとする。

 パーティを組めてよかったと改めて思えた。

【作者からのお願い】

読んでいただきありがとうございます!

この小説を読んで

「面白い!」

と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!


ブックマークも是非お願いします!

作者の更新の励みになります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ