第7話〜パーティ〜
次の日新たな依頼を受けにギルドへ向かった時のこと。
「ルーク様ですね。以前の依頼により、依頼主様から一人で盗賊十人から守ってくれたと推薦状が来ております」
受付にて言われる。推薦?あの行商人の爺さんか。
「推薦内容からこの度Eランクへ昇格とさせていただきます」
「本当ですか!?」
俺がEランク!万年Fランクから脱却できるんだ。
めっちゃ嬉しい。
「内容的にはDランクでも良いかとは思いますが、規則としてジャンプアップはできないので」
「いえ、ありがとうございます!」
「では、今回の依頼も頑張ってください」
「はい」
今日はいい日になりそうだ。
――ん?あれは……。
「アテナ、もう大丈夫なの?」
「あ、ルークさん。おはようございます。うーん、大丈夫、ではないかもですけど、仕事はしないと食べていけませんので」
掲示板の前にいたのは昨日助けた女の子のアテナ。
昨日パーティの仲間が亡くなって辛いだろう。
「でも、私一人でできそうなのは少ないですね……」
掲示板を見て悩んでいる。
ならばと俺は声をかける。
「一緒に依頼しない?今からオーク討伐にいくんだ」
「え?いいんですか?」
「もちろん」
「でも私、足手まといになりませんか?」
「大丈夫!俺も一人で寂しいから、話し相手がいてくれると助かるんだ」
これは本心だ。
荷物持ちも時代もほとんど会話できなかったけど誰か一緒にはいた。
一人で依頼をこなすのはやっぱり心細いし寂しい。
「じゃあ、ご一緒させてください!」
「うん、よろしく」
「よろしくお願いします!」
初めてちゃんとしたパーティを組めた。
しかもこんな可愛い子と、めっちゃ嬉しい。
やっぱり今日はいい日だ。
「――でもなんでこんなに強いのにFランクなんですか?」
討伐に向かう途中、また昨日の話になる。
「それがね……」
「どうしたんですか?」
ふふふと溜めてギルドカードを見せる。
「Eランクになったんだよ!」
「え?あ、おめでとうございます」
「何か反応薄くない?」
もっとびっくりして祝ってくれると思ったのに、それだけの反応なのは少し不服だ。
「いえ、すみません。ルークさんならもっと上のランクでもいいのではと。昨日のあの攻撃をみたらCランク以上はいけますよ!」
「え、いやありがとう。またがんばるよ」
Cランクか、空の上に感じていたランクだ。
そのレベルと言ってくれるのはめっちゃ嬉しい。
けどほとんどこの魔剣のおかげだけど。
「と、オークだ」
巣である洞窟の前に門番らしきオークが二体確認できる。
身体強化をして、剣を抜きオークの前に向かう。相手方も気づいて持っている槍を構えた。
さて、やってやりますか。
こちらに向かってくるオークに剣を振るう。
横に振るった剣から黒い波動が放たれ、オークを飲み込み、轟音を発して砂埃が舞う。
光が収まると洞窟の入り口周りがえぐれている。
うーん、威力が強すぎるのもそれはそれでこういうのに向いてないな。
「ルークさん」
「あ、中は大丈夫みたいだから」
後ろから来たアテナが心配そうだ。
「でもあれをまたこの中でするんですか?また崩れちゃうんじゃ……」
確かに、昨日の二の舞になっちゃうな。どうしよう。
「この剣、振ると絶対ああなっちゃうんだ。どうしたらいいかな?」
「え?絶対ですか?」
「うん、絶対……」
アテナに言うと「は?」みたいな顔をされる。
まぁ、こんな剣見た事ないだろうし、仕方ない。
「とはいえ、私の魔法もへなちょこなんでどこまで通じるか――あっ!剣を抜かずに斬るはどうですか?」
え?何言ってるの?
アテナはちょっと抜けている子かもしれない。