第20話〜新たな仲間と仇敵の危機〜
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「ケルンにいたら英雄扱いなのにインスタノブルに帰るんだね」
インスタノブルに帰る道中にイエナさんから問われる。
確かにあの賞賛はとてもいいものだった。
ギルドマスターからも来てくれと言われたし、必要とされるのがすごく嬉しかった。
褒められるってこんなに幸せなのだと感じた。
故郷に良い思い出は少ないからケルンにいくのもいいかなと思った。
ただそれでも捨てれない何かがやっぱりある、ケルンに行くにしても今じゃないかなと思う。
「うん、イエナさんこそ付いてきちゃって良かったんですか?」
なぜかケルンから出て一緒についてきているイエナさん。
イエナさんこそ人望もありそうだし必要とされているのに、ケルンギルドを抜けてまで来なくてもいいはずだ。
その証拠に出て行くときは見送りに多くの人が門まできていた。
中には涙を流しながら手を振る人までいたぐらいだ。
「いいのいいの、私は元々放浪の大道芸人だし、君は私の恩人だしね」
さっぱりと言っているけど、なんだか遠い目をしている。
やっぱり未練があるんじゃないか?
「言ってた潰された村……私の故郷なんだ」
「そう、なんですね」
「イエナさんにそんな過去が……」
ジャイアントゴーレムに潰された村ってイエナさんの故郷だったんだな、それで魔剣まで調べて。
イエナさんのファンであるアテナは感涙している。
「うん、まあ潰されたっていっても遅いしみんな避難できたから大丈夫だよ」
「そうなんですね、良かったです」
死人が出なかったのは不幸中の幸いだ、だけど復興も大変だろう。
「と言うわけで、私は君に恩返しをしなくちゃ。それにダーインスレイヴじゃ不便なところも多いでしょ?」
「そうですね、正直ダーインスレイヴなしでの戦闘は限界でしたので、イエナさんがパーティにいるととても心強いです」
ダーインスレイヴは広くひらけたところならめちゃくちゃ凄い武器だけど狭い場所や洞窟、ましてや街などでは危険で逆に扱えなくなる。
その点イエナさんのフラガラッハはその弱点を補える、これ以上ない強力な味方だ。
「私もイエナさんとパーティを組めるなんてめちゃくちゃ嬉しいです!」
「うん、アテナもよろしくね」
「はい!」
さすがめちゃくちゃ嬉しそうだ、鼻息まで歌っている。
「――ん?雷?」
岩山に差し掛かったところ晴天にも関わらず光と轟音が鳴り響く。
「あそこだね、あれは……ワイバーンかな?」
イエナさんの指差した方には飛んでいる多くの魔物がいる。
ワイバーン、そう言えばその名前を最近聞いた覚えがあるな――あ、クラウスさんか。
きっとクラウスさんが討伐に向かったものだろう、しかしワイバーンがあんなに群れるなんて……。
「ちょっとやばいみたいだよ?」
イエナさんが言う。
俺が見てもまだぼんやりとしたワイバーンしか見えないのに、隻眼でそんなにはっきり見えるなんてすごい。
でもあのクラウスさんが苦戦するなんて……。
「ルーク、どうする?」
クラウスさんには正直嫌な思い出しかない。
でも――。
「もちろん助けに行く!【身体強化】」
「そうこなくっちゃ!」
俺が走り出しイエナもかける。
身体強化で速くなっているけど流石彼女はついてくる。
「ちょっ!ちょっと待ってください」
「ごめん、さ、乗って」
「え?――えーーー!」
戻ってアテナを抱えてまた走る。
アテナは叫んでいるけど今はこれが一番速いから少し我慢してほしい。
岩山を登り向かう途中、何度か雷鳴が轟く。
まだ戦闘は続いているようだ。
それにしてもこんなにワイバーンの巣があるなんて珍しいな。
何度か荷物持ちで討伐に参加した事があるけど、大抵は一つしかないはずなのに。
戦況はどうなっているかわからないけど苦戦しているなら間に合ってくれ。
「よし、もう少しだ」
イエナさんの言うとおりもうすぐのところに見えてきた。
あれは、やっぱりクラウスさんだ。
雷の矢に貫かれ、ワイバーンが地面に倒れる。
でも、クラウスさんも肩を抑えて跪いている。
そんな彼にワイバーンが襲いかかる――。
「イエナさん!」
「はいよ!」
イエナさんのフラガラッハが射出される。
俺もイエナを下ろして急いで向かう。
すんでのところでフラガラッハがワイバーンを八つ裂きにする。
そしてなんとか間に合い、クラウスの前に立ちワイバーンと対峙する。
「お前……な、んで……?」
本当にギリギリだったようだ、クラウスさんの傷が酷い。
他のメンバーも倒れてしまっている。
「下がっていてください」
俺はダーインスレイヴを抜いた。




