第17話〜魔剣の威力〜
なんだって!?急すぎる。
こんなタイミング悪く……さっきのお酒で頭が痛い。
「すまないが、早く支度をしてくれ」
「わ、わかりました」
こんなすぐなら歓迎会とかやらなかったほうが良かったんじゃ……。
いまさら言っても遅いので立ち上がり、着替えを――。
「あの、出ていってください」
「あ、あぁ、すまないね。では外で待っているよ」
イエナが外に出ていく。
「アテナもだよ」
「え?」
え?じゃないんだけど。
両手で目を隠してる様に見えるけど、間から見てるのわかってるよ。
「アテナ、行くよ」
結局戻って来たイエナに連れられ出ていった。
よし、気を取り直して着替えるか。
「お待たせしました」
しかし、凄い轟音だ。
これはジャイアントゴーレムの攻撃の音と揺れか?
「よし、行こう。奴がこちらに向けて進行中らしい」
「ということは、この音は――」
「ああ、奴の足音だ」
これがただの足音だと?それはやばすぎる、どれだけ大きいんだ。
「頼むぞイエナ、ルーク君にアテナ君も」
「はい、きっと討伐してみせます」
冒険者に見送られ、門をでる。
「大きすぎるだろ……」
「凄いですね、空まで手が届きそうです」
門を出た瞬間、砂漠で障害物もないので遠くのジャイアントゴーレムの全容が見える。
石で造られた茶色い巨体。いくつもの石で構成されており、人間と同じ様に二足で歩いている。
その大きさにポカンと口が開き閉じれない。
あれで五倍?十倍ぐらいはありそうだぞ。
アテナの言う通り空まで手が届きそうだ。
「よし、頼むよ」
いや、あの大きさは規格外でしょ。
なんぼなんでもダーインスレイヴでも……。
とは言ってもやるしかないので走って近づいていく。
あれだけ大きく見えていたのにさらに大きくなっていく。
だんだんと目に全容が治らなくなり、地面の振動が大きくなる。
「これ以上は危険だ」
イエナさんが言った頃にはもう見上げても頭が確認できない程だ。
確かにこんな奴に踏みつけられたらひとたまりも無い、離れて戦うしかない。
だけどダーインスレイヴの射程はどのくらいなんだ?あそこまで届くのか?
――いや、やってみるか。
「二人は下がって」
「はい」
「わかった」
剣を抜き敵に向かって構える。
黒い禍々しいダーインスレイヴのオーラが纏われ、赤い宝石が卑しく光る。
そして大きく振りかぶり、俺はダーインスレイヴを思い切り縦に振り切った。
月明かりで照らされた闇夜よりも深い黒の光が射出される。
それはジャイアントゴーレムを飲み込み、縦に引き裂き抜けていく。
「凄い、想像以上の威力だ……」
イエナさんがダーインスレイヴの威力に感嘆としている。
あの大きなジャイアントゴーレムを一刀両断とは、この威力には俺もまた驚かさせる。
「ルークさん!まずいかも知れません!」
「え?」
アテナの忠告を受けて見ると、引き裂かれたジャイアントゴーレムの巨体はその姿を保てなくなったのか石がバラバラになって砕けていく。
「土石流か!」
バラバラになった土砂が降り、波になって押し寄せてくる。
「ルークさん!」
「くそ!」
俺はもう一度、今度は横に剣を振るい、土石流を消し飛ばす。
「ふう、なんとか――」
「ルーク、伏せるんだ」