第15話〜イエナの依頼〜
「どんな依頼ですか?」
「ケルンに現れたサンドゴーレムの討伐をお願いしたい」
ケルンか、砂漠の都として栄えている都市だ。
ストーンゴーレムは砂漠地帯や鉱山に出現する人型をした砂の魔物。
「なぜ俺に?ケルンの冒険者で対処できるんじゃ?」
そこまで難しくはない魔物のはずだ。
なぜ俺に依頼するんだ?
「それがこのストーンゴーレム、普通の個体よりも五倍はあるんじゃないかという巨大な奴なんだ。私達は便宜上ジャイアントゴーレムと読んでいる」
五倍だって?それはとんでもない大きさだ。
「もちろん、ケルンの冒険者も討伐に向かった。しかし中々討伐までいかず、近くの村も破壊されてしまう始末で散々なんだ」
そんなことになっているのか。
普通のストーンゴーレムとは格が違うみたいだ。
「それでこのダーインスレイヴならと?」
「ああ、その剣の威力は凄まじいと古い本に書いてあった」
「確かにこの剣の攻撃性能は凄いと思います」
と言うか、この剣そんなに昔からあるのか。
本当に凄い剣なんだな。
「そうか!ならぜひお願いしたい」
いや、でもケルンの人達がダメだった魔物に勝てるのか?
「やりましょう!」
悩んでいるとアテナが乗り出してしまった。
「ちょっと、アテナ――」
「だってイエナさんの依頼ですよ!断るだなんてとんでもない、やらせてもらいましょう!」
「でも――」
「大丈夫です!ルークさんならできますよ!」
うーん、アテナの押しが凄い。
本当にやれるのか?期待に応えれるのか?
「これは私の依頼でもあるが、元はケルンギルドの緊急依頼でもある。報酬は期待していい」
「ルークさん!」
「……わかりました、できる限り頑張ります」
押し負けてしまった。
でもどこまで通じるか、試したい気持ちも確かにある。
それにケルンの人達が困っているのを本当に助けれる力があるのなら行かないわけにはいかない。
「では、改めて。イエナだ、戦士をしている。一応ケルンでのランクはBだ。よろしく頼むよ」
「ルークで――」
「アテナです!よろしくお願いします!」
――三日後、イエナさんから貰ったポーションのおかげで二人とも完全に復活し、ケルンまでの道中を行く。
治している間は急がなくて大丈夫か?とすこして焦りもあったが、元々動きの遅いストーンゴーレム、ジャイアントゴーレムはさらに燃費が悪いみたいで今は休息しているらしい。
「そういえば、イエナさんのその魔剣で倒すのはできないんですか?」
このダーインスレイヴがあれだけ強力なんだ、きっと他の魔剣も強力に違いない。
「この剣は強いよ――こんな感じでね」
「凄いです!」
側の茂みが揺れ、中からゴブリンが三体襲いかかってきた。
それにいち早く気づいたイエナさんがをフラガラッハを投げる。ナイフはゴブリンに鋭く縦横無尽に斬りかかり、あっという間に八つ裂きになった。
凄い、この魔剣も間違いなく強い。
「でもね、所詮はナイフ。人間の鎧ぐらいなら簡単だけど、あのジャイアントゴーレムの分厚い装甲までは切り裂けなかったんだよ……」
いや、普通ナイフが鎧を切ることなんてできないと思いますが……。
でも、そんなに硬いのか。
流石通常の五倍、防御力も異常にあるんだな。