表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/51

 第7話 秋山陸曹長の報告書

 天川1等陸尉達との会談後アンドリュー殿達に提供してる家へと送り届けると家のと言うよりアンドリュー殿達の監視目的で警務隊から2名が派遣されていた。 その事をアンドリュー殿達に伝えると


「暮してる村で人を殺めた人が村に留まるなら当然の処置ですよ」


 と言って警務隊員の監視を笑顔で受け入れてくれた。 その事に安堵しつつ私達は家に入り食堂で急須に残っていた麦茶を飲むと3人はそれぞれ個室で過ごすと言い部屋へと引き上げた。


 私はこれ幸いとポケットに入れたままにしてあったマイクロパソコンを取り出して展開しアンドリュー殿から得た知識を纏める事にした。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 先ず私達が居る場所はクリフトニア王国東部を収めるシュードルフ辺境伯の領地であり、その領都シュバッツェの北6キロ地点の元廃村。 元々この村は領都から東にあるアナイアの森を切り開く為に作られた開拓村だが12年前にアナイアの森で起きた大型獣の氾濫で破棄さて以降放置されてたのを私達が発見後拠点にしたと言う経緯になる。


 次に領都シュバッツェだがクリフトニア王国の王都に次ぐ第二の都市であり近くのアナイアの森から採れる各種資源と其処に住む大型獣の素材、また農耕に適した土地で在る為クリフトニア王国の食糧庫としての面あり非常に栄えてる。 


 クリフトニア王国の他の街の人口は大体1万~2万人程で主な主用街道沿いに作られている。 また貴族は収める領都と周辺の農村をいくつか収めた領地を持つ貴族と王都に屋敷を持ち王城にて何かしらの役職に就いてる貴族の2つに分けられる。 更に言えば王都勤めの貴族と領地持ち貴族の間には少なからず確執があり対立する事もしばしばあるらしい。


 その対立を現国王であるブレンハワード・フォン・クリフトニア9世は上手に執り成し互いが納得出来る落し処を提示して諫める為両方の貴族達から厚い信頼を寄せれてるらしい。 また民衆の為にも様々執政を執り行ってる為民衆からの指示も高く貴族と民衆から賢王と称えられてる。 


 私個人的な意見を述べるならこの王は相当な食わせ者の印象をぬぐい切れない。 あくまでもこれは私個人の予想に過ぎないがかの王は相当優秀で手練れの諜報機関を有しており、其処から上げられる情報を元に貴族同士の執り成しや各種執政を行ってる様に思えてならない。


 これはアンドリュー殿から得た知識とアンドリュー殿がこの世界でも4つしか無いと言うアーティファクトを王から預けられてる点、また王命を賜るその立場、その他諸々を踏まえての意見であり、またアンドリュー殿が王が持つ諜報機関の隊員の1人では無いかとの憶測も含む物である。


 次いでクリフトニア王国の通貨だがこれは意外な事にクリフトニア王国含め周辺4各国と同じ貨幣が流通している。 貨幣の単位はアデル。 1アデルが銅貨1枚となり10アデルで大銅貨1枚、100アデルで小銀貨1枚、1.000アデルが銀貨1枚、10.000アデルが大銀貨1枚、100.000アデルが金貨1枚、1.000.000アデルが大金貨となりそれぞれの含有量も厳しく規定されており発行にはそれぞれの国が管理してる工房で作られ厳しい審査を受けて世間に流されるらしい。


 又1アデルは日本円で10円相当の価値と予測される。 尤もアンドリュー殿の知識では1アデルで売ってる物は無く最低でも10アデル以上の為銅貨の流通は少なく一般でも大銅貨が最低貨幣として認識されてるが銅貨も他の貨幣に比べて少ないがそれでも相当数は流通してると予想される。 主に子供のお駄賃として。


 次に暦についてだがこれは日本というより地球に似ている。 この世界では火の日、水の日、風の日、土の日、光の日、闇の日の6日で1週間となっており、5週で1か月とし12か月で1年のなる。 この世界でも地球程では無いが無人偵察機の観測通り四季がある事が判明してる為四季に関しては此処では省かせて貰う事とする。


 この世界での宗教観に関してでは先の曜日に当たる火・水・風・土・光・闇を司る神々が居り、そしてこの世界を想像した最高神として創造神が居るとされる宗教がある事がアンドリュー殿の知識から判明。 この世界はこの多神教が信仰されておりこの世界特有の技能、魔法にも大きく関わってると予想される。


 この多神教は大抵の村や町、街には教会が建てられており教会には身寄りのない孤児を引き取る孤児院が併設され一種のセイフティーネットとなってると予想される。


 興味深い点では地球では空想上の物として数多くの物語の中に登場する魔法がこの世界には存在する。 この魔法だが系統として3つに大きく分類出来ると私は解釈した。


1つ:個人魔法。 これは個人の持つ魔力を利用し発現する魔法。 これは魔法を使う個々人の魔力量や知識、技量により差が出ると予想される。 その為各国は魔法適正を持つ人を育成する為専門学校を設立し魔法使いの育成に取り組んでいる。


2つ:集団魔法。 これは個々人では発現不可能な威力の魔法を複数人が協力して発現させる魔法。 主な用途としては合戦場での大規模攻撃魔法、又はその大規模攻撃魔法を防御する為の守護魔法。 主要都市の守護結界等がある模様。 


3つ:魔法陣魔法。 これは集団魔法に似てる面があるが大きく違う点は発現する魔法の規模や内容を纏めた術式を地面や壁、羊皮紙等に描き個人又は集団で魔法陣に魔力を流し発現する魔法である。 その為魔力があれば魔法陣に魔力を流せば誰でも使用が可能であるが魔法陣を描く為には専用のインクを準備する必要がある為非常にコストが掛かる模様。


 魔法には属性があり属性には火・水・風・土・光・闇属性があり個々人の魔法適正に属性があり先の6つの内最低一つは属性を有している。 歴史上最も最多の属性持ちでは4つの属性を有していた人が確認されてるが基本は1つの属性を持つに留まってる模様。


 また魔法適正の人口割合だが魔法適正有と判断される者は100人1人いるとされている。 その調査だがこの世界では12歳になる年に神々から祝福が与えらるとされており毎年春に12歳になる子供が教会にて祝福の儀と言われる祭典が行われる為、国もその祭典後に魔力適正を調べる調査もされている。 また魔力適正有とされた者にもランク分けがされており1~5にランク分けされる。


 ランク1:魔法士として最低ランク以上の魔法を発動出来る魔力量を持つ者。


 ランク2:魔法士として平均的な魔力量を持つ者。


 ランク3:魔法士として平均以上の魔力量を有し、集団魔法の適正を有す者。

 

 ランク4:並外れた魔力量を有し個人、集団魔法でも高い才能を発揮する者。


 ランク5:並外れた魔力量を有し一人でも集団魔法を発動出来る才能と技量を持つ者。


 と分類され魔法士の割合としてはランク1~2が全体の6割程、ランク3が3割程でランク4が1割となる。 ランク5ともなれば魔法適正を持つ者でもその割合としては1.000万に1人と言われ現在どの国でもその存在は確認されていない。 過去ランク5が適用されたのは先にも述べた4つの属性を有した1人のみである。


 次に技術レベルについてだがこれは事前の予想通り地球の中世ヨーロッパ程と思って良いが、魔法がある為か一部は21世紀初頭レベルの技術を有する物もあると推測される。 それは魔石具、或いは魔道具と言われ【裂け目】から出て来た大型獣や大型昆虫の心臓部に会った水晶を用いて作られた道具による物である。 この水晶はこの世界では魔石と言われており様々な道具等の動力源とされ広く普及して日々の生活に深く関わっている模様。 これに関しては実際に現地にて視察等を行わなければどの程度普及しているのか予測不能であると思われる。


 兵器レベルは魔法がある為か左程発展しては居ないと思われる。 実際アンドリュー殿から得られた知識には銃や大砲に類する物は無く、剣や槍、弓矢と言った物が大半であり、大型の物は投石機やバリスタ等であった。 その他として先に述べた魔石を持つ大型生物由来の素材を利用した武器や鎧、道具もある模様。


 また各種鉱石関係では金・銀・銅以外では鉄・錫・鉛・水銀がある事が判明。 この世界特有鉱石か不明だが黒鉄・赤鉄・青鉄なる物がある様だが詳細は不明。 


 最後に石油関連に関しては得られた知識には一切無かった為この世界では未だ未発見かそもそも存在しない可能性もあり得る為現時点ではその有無は一切不明である。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 私はアンドリュー殿から得られた知識や情報を纏め終えると司令部にメールで送信して窓に視線を向けると夕日が差し込んで来てるのに気が付いた。 其処で腕時計を確認すると16時半を回った所だった。 どうやら私は先程送った情報を纏めるのに相当時間を費やした事に気付き溜息を付いた。


 椅子から立ち上がり凝り固まった体をほぐすと背中や肩から嫌な音が聞こえたがそれらを無視してストレッチを行ってるとふとアンドリュー殿達があれから部屋から出て来ていない事に気付きそれぞれの部屋を訪ねて見た。


 マルコスニア殿は部屋の扉をノックしても反応が無かった為もしやと思い扉を開けてみるとベットで静かに寝息を立て寝ていた。 その姿を確認して安心して部屋から出ると丁度ファランド殿が部屋から出て来た。


「如何されました秋山殿」


「いえ、お昼前にお部屋に戻られてから皆さんを見なかったモノですから気になりまして」


「そうでしたか。 正直言うとベットの寝心地が良くて寝ておりまして秋山殿がマルコスニアを呼ぶ声で目を覚ました所だったんです」


「それは悪い事をしましたかね」


「いえ、とんでもありません。 良く寝れましたのでアナイアの森の進軍中の疲れが取れました」


「それは何より。 もう間もなくで夕飯の時間となります。 それまで部屋で休んでて下さい」


「分かりました。 それではお言葉に甘えさえて頂きます」


 そう言うとファランド殿は部屋の中へ入った。 アンドリュー殿の部屋をノックすると直ぐに扉が開いたがアンドリュー殿も何処か緩んでる雰囲気がしたので恐らく他の2人と同じく寝ていたのだろうと思った。


「ファランドとの話し声は聞こえた。 時間になったら声を掛けて貰えればマルコスニアも連れて食堂に向かいます」


「分かりました、それまでアンドリュー殿も休んでて下さい」


「忝い」


 アンドリュー殿もそう言うと部屋の扉を閉めた。 その様子に私は何故か笑みが零れながら食堂に戻った。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。


感想、コメントもお気軽にお願いします。


また続きが気になる、読んでて面白い、等少しでも思って頂けたら下の☆☆☆☆☆マーク評価宜しくお願いします。 書き続けるモチベーションになります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ