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 第44話 日本の決断、ノーラの決意

前回話が長くなるかもと書きましたが切が良い所で分割したら何かいつもと同じぐらいに… あれ?


そして前回も誤字報告ありがとうございます。 非常に助かります。 自分で読み返して確認してるのに無くなる事の無い誤字・脱字。 本当に有難うございます。

 翌朝天川一佐から私とノーラに伝えられたのは帝国領深くへの偵察の許可だけでやはり手紙の件は議会の承認が必要との事で返答には時間が掛かるだろうとの事だった。


 ならばノーラは今日にでもヘリで日本へ赴き議会で直接要請したいと言い出したが天川一佐が今日本で今回の事について緊急閣議が開かれていると聞きノーラはそれならば、と一旦落ち着いた。


 その後私は宮廷魔法師団の5人の講師・通訳として5人をファースト内を案内した後、相互言語研修の為に作った教室で私達の国の事からこの世界に来るきっかけになった【裂け目】の事。 そしてこの世界に来てからの私達の行動について1日かけて説明していった。


 当然の如く5人は初めて見る・聞く事に驚き、色々な質問をされたが流石に専門分野に関する事や機密事項に当たる質問にははぐらかして答える事しか出来なかった。 そしてやはり私達の世界には魔力が無いと言う事が一番驚かれ、次いでその代わりに発展した多種多様な科学の事に興味を示した。


 が、本題の【裂け目】の話題になると5人とも真剣な表情をして話を聞き、以前アンドリュー殿が唱えた仮説の話を聞くと5人は車座になって話し合いを始めたが現物を見ない事には分からないと言う予想通りの結論となった。



 初日の魔法師団への研修を終えた後天川一佐に呼び出され司令部の応接間に赴くと其処にはノーラとアンドリュー殿とライラさんが既に居た。


「秋山准陸尉ご苦労。 空いてる席へ座ってくれ」


「はっ」


 天川一佐に促され私はなるべくノーラに近い空いてる席へ座った。


「全員集まったので始めたいと思いますが宜しいですか、エリアルノーラ王女殿下」


「ええ、お願いします」


 天川一佐から確認されたノーラは頷いた。


「ではエリアルノーラ王女殿下、貴方の要望はクリフトニア王国と日本との関係性が不確かな点と国民の理解を得る事が現時点で難しい事等から受ける事は出来ないとの結論になりました」


「そうですか…」


 天川一佐から伝えられた内容にノーラは目を閉じて静かに答えた。


「ですがエリアルノーラ王女殿下、貴方が本当に日本にまで行く覚悟があるのであれば、明日の早朝よりホワイトベースに行き、そのまま【裂け目】の向こうの日本へ招待する事は許可されました」


「………え?」


 次いで伝えられた内容を理解するのに時間が掛かったのかノーラは疑問の声を上げた後、理解が及んだのか驚きと困惑の入り混じった表情をした。 私も天川一佐が言った事に驚き一佐をガン見してしまった。


「本当に日本へ行けるのですか?」


「日本の議会で正式に承認された事ですので大丈夫です。 但し、いくつか問題点もありますが」


「どう言った事でしょうか」


「先ず1つ目としてエリアルノーラ王女殿下の同行者は2名までとなります。 これは側付きと護衛1名づつと思って下さい」


「分かりました」


「次からが重要となります。 エリアルノーラ王女殿下、想定された最悪の事態の場合には貴方と同行者は二度とこの地に戻れない可能性があります」


 ノーラが告げられた内容に息を呑むのが分かった。 ノーラの後ろに控えていたアンドリュー殿とライラさんも驚きを隠せて居なかった。


「それは…如何なる理由からでしょうか」


「我々自衛隊は度重なる試験を行い【裂け目】を通じてこの世界と行き来が可能である事を確認してからこの世界へと来ました。 ですがその逆、この世界の人が【裂け目】を通じて行き来出来るかは試してすらいません。 なのでもしかしたら王女殿下が日本へ行けたとしても戻って来れない可能性もあります。 


 それにそもそも日本へ行けない可能性すらもありますが、この世界の魔獣や魔虫が日本へ来ていた事を考えるとその可能性は限りなく低いでしょう。 ですが、自衛隊が監視を始めてから魔獣や魔虫がこの世界に帰った例は一つも無いのです。 その為日本へ来た魔獣や魔虫は全て処理して来ました。


 故に本当に最悪の場合、エリアルノーラ王女殿下、日本へ行ったが最後二度とこの世界に戻って来れない可能性があるのです。 それでも貴方は日本へ行きますか?」


 告げられた内容にノーラは顔色が悪くなっており、後ろの2人も心配そうにノーラを見つめていた。


「一つ、お尋ねしても宜しいでしょうか?」


 良く見ればノーラは顔色が悪いだけでは無く体も微かに震えていたがそれでも天川一佐に訊ねた。


「構いません、気になる点は一つと言わず何でも聞いてください」


「ありがとうございます。 それでは私が日本へ行った場合何を、日本の何処へ行けますか?」


 私はノーラの質問にハッとして天川一佐を見た。


「エリアルノーラ王女殿下が日本へ来た場合日本側の拠点で先ず各種検査を受けて貰います」


「検査、ですか?」


「はい、これは我々自衛隊も【裂け目】を通った者は全員受けています。 これは違う世界を行き来した際に健康に問題が無いかを確認する為です」


「ああ、地方に行ったりすると体調が崩れたりすると聞いた事があります。 その確認の為でしょうか?」


「はい、その解釈で良いでしょう。 で、その後に拠点にあります通信を使い総理、日本の政治のトップと会談して貰います。 これは【裂け目】がある場所から首都まで距離がある為と思って下さい」


「日本の最高責任者の方とお話が出来るのですね」


「はい。 で、その会談の結果次第ですがエリアルノーラ王女殿下には各種メディアを通じて日本国民に話して頂く可能性もあります」


「それはどう言う事でしょうか? 確かメディアとは民衆に娯楽を提供してる物だったと思いますが」


「ああ、メディアについて大まかに知って居ましたか。 確かに娯楽も提供していますがそれ以外にも各種情報も国民に提供しています。 では何故か、と言いますと我々自衛隊が王女殿下の要望に応えるには日本国民の理解が必要だからです。


 王女殿下の要望は他国の戦争に間接的ながらも我々自衛隊が関与する事に他なりません。 その時自国の国民の支持がどれほど重要かは王女殿下ならばご理解して頂ける物と思います。 その為にエリアルノーラ王女殿下、貴方にメディアを通して日本国民にお願いして貰い、その是非を問うて貰うのです」


「成程、確かにその通りですね」


「で、メディア出演後に自衛隊の護衛と監視付きとなりますが最寄りの観光名所へお連れする案もあります。 正直其処まではまだ決定していない様なので確約は出来ませんが、以上が日本へ行かれた際の予定となりましょう」


「凡そは理解しました。 それでもし、もし仮にも日本へ行きこの世界へ戻れなかった場合はどうなるのでしょうか?」


「その際は日本政府が王女殿下とその同行者の生活は保障します」


「そうですか。 ミーシャ、私の侍女を呼んで貰えますか」


「分かりました。 秋山、隣の部屋に居るから呼んで来てくれ」


「了解しました」


 天川一佐に言われて私は直ぐに席を立ち隣の部屋へと行きノーラの侍女さんを呼んで応接間に戻った。


「レーコ、ありがとう。 ミーシャ、私と同行し日本へ行きますか? 但し、最悪の場合は二度とこの地へ戻る事は叶わない可能性もあるそうです。 その場合は日本国が生活を保障してくれるそうです。 もし残りたいと言うのであれば私は貴方を恨む事はしないと私の名に懸けてちかいます。 正直な思いを言って下さい」


 私が侍女、ミーシャさんを連れて戻るとノーラは席から立ち上がりミーシャさんを見つめて訊ねた。


 「エリアルノーラ様、私の忠誠はエリアルノーラ様に捧げております。 側付きとなってもう6年も共におります。 そして之からも私は貴方様のお傍に」


「ミーシャ、ありがとう」


 ミーシャにお礼を言ったノーラはそのままミーシャを優しく抱きかかえた。 ミーシャは最初こそ驚いて硬直したが直ぐにミーシャもノーラを抱きかかえた。 


 暫く2人で抱き合っていたがノーラが腕を解くとミーシャも自然とノーラから離れた。


「アンドリュー、護衛をして共に来てくれますか?」


「勿論でございます。 それに私ならレーコ嬢から得た日本の知識もあります。 日本に赴いた際にも私は姫様のお役に立ちましょう」


 アンドリュー殿の言葉を聞いたノーラは満足そうに頷いて天川一佐を見た。


「天川一佐、明日日本へ赴きます。 同行者は護衛にアンドリュー。 側付きはミーシャです。 宜しいですか?」


「王女殿下と同行されるお2人にも確認します。 本当に最悪の場合、二度とこの世界に戻っては来れない可能性もあるのですよ。 本当によろしいのですね?」


 天川一佐に確認され3人は顔を見合わせてから頷いた。


「分かりました。 その様に手配しましょう」


「宜しくお願いします」


「秋山准陸尉、君と君の隊は護衛として明日日本へ行って貰う。 直ちに部下に通達し準備をしてくれ」


「はっ!」


 私は敬礼してからノーラを見ると嬉しそうに微笑んで私を見ていた。 


「エリアルノーラ様‼ どうか私もお供に‼」


 それまで黙っていたライラさんがノーラに同行したいと懇願した。


「ライラ、貴方には別にやって貰いたい事があります。 明日私達が此処を発った後、貴方は王都へ帰還しこの事を父上、陛下に伝えて欲しいのです」


「それは…」


「それだけではありません。 もし、仮にも日本へ行った私達がこの世界に戻って来れなかった場合には貴方には自衛隊と陛下との橋渡しをお願いしたいのです。 之は他の者には任せる事の出来ない重要な役割となります。 お願い出来ますか?」


「姫様… 分かりました。 その役目しかと承りました。 天川殿、今後とも宜しく頼みます」


「此方こそ宜しく頼みます。 そして王女殿下と同行者のお2人の身の安全は自衛隊が責任を持って守ります」


「はい、お願いします」


 その後必要事項を伝えその場は解散となりノーラ達は他の隊員が家まで送り、私は部下に明日からの予定が変更となった事を伝え準備する様に伝えた。 魔法師団の5人に関しては通訳機を使い残りの日程を熟す?事なったので引継ぎを行い明日に備え私も準備を整えて床に就いた。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。

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