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 第43話 ノーラの覚悟

今回はほんの少しだけ短めです。 その分次回とその次回が長くなる? かも…


そして前回の話では誤字報告を多数いただき誠にありがとうございます。 自分で読み返して問題無いと思っも多々ある誤字脱字、皆様からの報告有難いです。 今後ともよろしくお願いいたします。

 呟いた私に部屋に居た全員の視線が集まった。 


「どうした、秋山」


「どうかされました? レーコ」


 呟いた後、思い至った可能性を考え込んでた為天川一佐とノーラに声を掛けられてハッとした。


「王女殿下、確認したい事があるのですが良いでしょうか?」


「私で分かる事であれば。 何を聞きたいのです? 秋山准陸尉」


 ノーラは私が愛称で呼ばずに王女殿下と呼んだ事で普段の私に対する砕けた対応から王族として対応してくれた。


「先ず確認したいのですが辺境伯領、いえ、シュバッツェには帝国の手の者が多数おり、それを辺境伯はつい最近捕える事に成功した。 そうでしたよね?」


「ええ、私もその様にアンドルフ辺境伯様から聞き及んで居ります」


 私の質問に不思議そうな表情をしながらノーラは答えた。 天川一佐達も私が何を言いたいのか分からないのか同じ様な表情をして私を見つめていた。


「では、私達自衛隊と貴族連合軍のと戦闘、それに関わる前後の自衛隊の活動についても帝国の手の者は見ていた可能性、十二分以上にありますよね?」


 私の質問にノーラはハッとした表情をしながらも頷いた。 天川一佐達もその可能性に気付いたのか特に情報科所属の柳田は特に渋い顔になっていた。


「そしてシュバッツェで起きたエリアルノーラ王女殿下襲撃事件の犯人はかなりの確率で帝国の特殊部隊兵の可能性があると辺境伯は推測されていました。 更にはその襲撃の際私達の荷物も漁られて窃盗行為まで行ってます」


 私は其処で言葉を区切り部屋に居た全員を見渡した。


「もう既に帝国上層部に私達自衛隊の存在は知られていて、侵攻に紛れて自衛隊に接触して来ても可笑しく無い状況になっているのでは? そしてその接触は友好的な物であるとは限らないのではないでしょうか」


 私が言い切ると部屋には先程までとは全く違う重たい空気に包まれた。


「高木、宮内達を至急この部屋に呼んで来てくれ」


「了解しました」


 そんな中天川一佐は即座に動いた。 現在ファーストに居る幹部全員を呼んで来るよう指示をだした。 指示を受けた高木は敬礼すると素早く動き部屋から出て行くのを私は何も言わず見送り、天川一佐を見つめた。


「秋山、お前が今考えてる事を3人が来たら話してくれ。 王女殿下も我々の話に同席して頂きたいのですが宜しいでしょうか」


「むしろ私の方からもお願いします」


「ありがとうございます。 それと、柳田以外は解散してくれ、何か決まればお前達の隊に即座に知らせる」


「「はっ」」


 2人は同時に返事をし、柳田は椅子から立ち上がり部屋の隅の椅子へ移動した。 鈴原は天川一佐に敬礼後に部屋から出て行った。 それと入れ替わる様に宮内1等陸佐達が部屋に入って来ると空いてる席に座った。


「揃ったな、之よりファーストの今後についての話し合いを行う。 各位気を引きしめる様に」


「今後の予定って秋山達と来た王宮魔法師団の人達が1週間過ごしてホワイトベースに送るんだろ?」


 天川一佐の言った事に八神2佐が何を今更と言う感じで答えたが天川一佐は気にせず続けた。


「確かにその件はその様にするが、此れから話す事はそれ以外について、だ」


「その為の秋山准陸尉と柳田陸曹長、そしてエリアルノーラ王女殿下ですね。 これは相当な事がありましたか」


 真田3佐は私達を見回しながら言った。


「そうだ。 秋山、お前の考えを先ず述べてくれ」


 天川一佐に促され私は先程天川一佐に言った事と今後予想されるであろう展開を言うと3人は眉間に皺を寄せ険しい顔を晒す事になった。


「さて、秋山からの報告は以上だが此処ファーストに居る我々はどうすべきか意見を述べてくれ」


「では先ず私から」


「真田か、良いぞ」


「ありがとうございます。 先ずは何を置いてもホワイトベースに居る準陸将補に先程の事を報告するのは当たり前として、今ある資材を投じて防護塀の強化では無いでしょうか」


「確かに真田の言う通りだな。 今の薄っぺらい防護塀じゃこの前の規模の軍勢に一斉に攻められたら簡単に抜かれても可笑しく無いだろう」


「確かに八神2佐の言う通りですが、今ある資材では到底ファーストの防護塀全てを補強出来ませんよ」


「だがやらないよりは良いだろう。 それに陸将補に言って資材と人員を補充して貰えないか報告を上げる時に聞けば良いだろう」


 その後もあーでもないこーでもないと意見が出たが最終的には陸将補の判断待ちと言う棚上げとなった。


「大変お待たせして申し訳ございません、王女殿下」


「いえ、身を守る為に知恵を絞るのは当然の事ですので。 むしろその様な方法もあるのかと大変勉強になりました」


「王女殿下にとって参考になる様な話があったのでしたら幸いです。 それで王女殿下は今後どうなされるのか考えは纏まりましたでしょうか」


「ええ、皆様のお話を聞き凡そは纏まりました。 それでいくつか自衛隊にクリフトニア王国国王代理としてお願いしたい事があります」


「現状出来る事は限られますが宜しいでしょうか?」


 ノーラの申し出に天川一佐は出来ない事もある、と伝えたがノーラはどこ吹く風で微笑んだ。


「其処まで難しい事ではありません。 自衛隊の皆様が偵察した情報を私が纏めた書簡を王国軍と王城へ空輸? して頂きたいのです。 書簡、手紙を空から目的地に落として貰えればそれで構いません。 この程度なら自衛隊の皆様にとっては造作も無い事と思いますが如何でしょうか」


「それは…」


 ノーラの要望を聞いた天川一佐達は難しい顔になった。 確かにノーラの要望は自衛隊の力で手紙を届けて欲しいと言う事だ。 それなら確かに自衛隊なら簡単に行える。 だが、届ける手紙の内容が問題だった。


 ”侵攻して来る敵軍の位置を滞在してる国の軍に届ける”


 この行為は一種の内政干渉に当たる可能性を大いに含むモノで簡単に返答出来る類のモノでは無かった。 故に天川一佐も返答に困った事が容易に想像が出来た。 


 だが確かにこれなら私達自衛隊が直接戦闘になる可能性は限りなく低いのも事実でやれるかやれないかで言えば確実にやれると言うのが困った所だった。


「勿論この場で皆さんにお願いするだけで済ますつもりも毛頭ありません」


 天川一佐が返答に詰まってるとノーラが更に反応に困る事を言い出した。


「どう言う事でしょうか?」


「可能ならば明日にでも皆様の本丸、ホワイトベースにヘリコプターに乗り赴き挟間副将軍殿に要請するつもりです。 それでも駄目と言うのであれば【裂け目】を抜け、皆様の母国日本国へ行き日本国の議会へ申し出る覚悟もあります」


 ノーラが言った内容に私達は絶句し私達はノーラをガン見してしまった。 手紙を自衛隊の力で届けるぐらいしてあげても、と思ったがやはりその手紙の内容が内容だけに簡単に頷ける物では無い。


 その簡単で簡単では無い事をお願いする為にノーラは日本にまで行く覚悟を私達に示して来た。 


「エリアルノーラ王女殿下の覚悟はしかと受け止めました。 ですが、この場で先程申されました事に返答出来る権限は今の私にはありません」


 天川一佐の言葉にノーラが気丈にも耐えているが落ち込んだ事が分かった。


「しかし、この後直ぐにでも私から挟間陸将補にエリアルノーラ王女殿下の要望とそのお覚悟を伝えましょう。 合わせてエリアルノーラ王女殿下の要望に返答出来るまで戦地の偵察を行ってくれるようにも要請してみます。 取り敢えずこれをこの場での私からの返答とさせて頂きたい」


 天川一佐はそう言うと椅子から立ち上がりノーラに頭を深く下げた。 それを見て私達も椅子から立ち上がりノーラに頭を下げた。


「分かりました。 皆様頭を上げて下さい。 元々無理なお願いをしているのは私の方です。 頭を下げるのであれば私の方です」


 そう言ったノーラは椅子から立ち上がり私達に向けて頭を下げた。


「どうぞよろしくお願いいたします」


「分かりました。 エリアルノーラ王女殿下の要望と覚悟、必ずや陸将補に伝えます」


 その後会談は終了となり私はノーラを泊まる家まで送り届けた。 天川一佐は言う間でも無く私が戻ると通信室に篭っていた。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。

感想、コメントもお気軽にお願いします。

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