第39話 襲撃、更に
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ノーラを中心に防御態勢を整えた直後、窓から更に黒ずくめの衣装を纏った二人組が侵入してきた。 が、直ぐに私達が拳銃で応戦した為2人組はその場で倒れた。 が、一人はまだ息があるのかうめき声が聞こえた。 そのうめき声に反応しライラ殿が素早い動きで近づいて剣で一突きし止めを刺した。
「ライラ‼ 直ぐに戻れ」
「はっ」
アンドリュー殿に指示されライラ殿は直ぐに防御陣形に戻った。 外からは未だ騒ぎと共に剣戟の音が聞こえて来ていたが5分も経つと外からは何も聞こえ無くなった。 私は柳田とペアになり慎重に窓際に移動しそっと外の様子を伺ったが外で動く影は何も見えなかった。 柳田に視線を送ると柳田も首を振り異常が無いと送って来た。
普通に考えれば襲撃者を撃退し終えた、と判断したかったが私の中の何かがまだ危険信号を発し続けていた。 ノーラ達を見るとザガットさんとアンドリュー殿が陣形から離れ応接間の扉に張り付き外の様子を伺っていた。 その様子を視界の隅に納めながら私は視線を動かし応接間の様子を再度確認してる時、背筋にゾッと冷たいモノを感じて即座に動いた。
「柳田、窓から離れろ‼」
そう言って私は窓から思いっきりジャンプして離れた。 柳田も直ぐに同じ様にジャンプして離れた瞬間、私達が居た窓が爆ぜた。 吹き飛んだ窓の破片を背中に感じながら私は弾倉が空になるまで窓の方に発砲を続けた。 弾倉が空になったのを感じ取ると直ぐに身を起こし防御陣形をなしてる所まで行き窓の方を警戒しつつ素早く弾倉交換を行った。
「柳田、無事か?!」
「生きてます」
私が声を掛けると柳田から直ぐに返事が返って来たが声がした方を見ると柳田は破壊された壁の破片の下敷きになっていた。 直ぐに駆け付け救助を、と思ったが再び背筋に冷たいモノを感じ反射的に身を屈めた直後頭上を矢が抜けて行くのが分かった。 幸いにも抜けた矢はそのまま壁に刺さり此方の被害は無かった。 素早くそれを確認すると直ぐに破壊されて空いた壁に拳銃を向け警戒したが不思議と何も感じなかった。
「高山、鈴原、直ちに柳田を救助し状態を確認しろ」
「「了解!」」
指示を出すと2人は素早く柳田に近づき柳田に乗っかっている破片を取り除くと柳田の状態を確認し始めた。 が、柳田自身が直ぐに立ち上がり無事を伝えると3人は直ぐに戻り周囲を警戒し始めた。 が、周囲は静まり返ったままで何も聞こえなかった。
「妙じゃのう、襲撃が終わったのなら警備兵長辺りが報告に来るはずじゃが…」
「はい、ですが虫の音一つ聞こえません。 明らかにおかしいです」
辺境伯が疑問を口にするとザガットさんは頷きながら答えた。 ザガットさんの言う通り私達の息遣いと動く際の音しか聞こえず周りは静寂に包まれていた。 そんな中私は首の後ろにチリチリとした妙な感じが襲っており、その事からまだ襲撃が終わって無いと判断し周囲を警戒していた。
「っ?! 上だ‼ 天井を撃て‼」
私が発した声で3人も天井に向け発砲を繰り返して全員が弾倉を撃ち尽くすと2人の黒ずくめが天井板を破り落ちて来た。 それと同時に周囲の音が戻って来た。
「装填、警戒を怠るな‼」
「「「了解!」」」
素早く空になった弾倉を交換し落ちて来た2人を警戒してるとアンドリュー殿が慎重に近づき確認すると私達に向けて首を振った。 どうやらもう事切れていたらしい。 其処で首の後ろに感じていたチリチリとした感じが消えているのに気付いた。
ゆっくり深呼吸を繰り返し状況を確認しようとした時廊下の方から走って来る足音が聞こえると全員が扉を警戒した。 が、足音は扉の前で止まると扉のノック音が聞こえ…
「警備兵長のバンフライトです、主様ご無事ですか?」
「無事じゃ、入ってよい。 報告せよ」
「失礼します」
辺境伯が入室を許可すると血まみれの男性が入って来た為私達は驚いた。
「怪我をしたのか? バンよ」
「これは返り血故ご安心を。 報告して宜しいでしょうか」
「頼む」
「はっ 館に侵入した賊は20人。 内18名は打ち取りましたが、申し訳ありません、2名の逃亡を許してしまいました」
そう言うと警備兵長と名乗ったバンフライトさんは辺境伯に深く頭を下げた。
「良い、それで此方の損害は?」
「はっ 警備兵3名死亡、重症5名、軽傷17名。 重傷者は現在最優先で治療にあたっております。 また街の巡回兵舎に警邏の強化及び不審者を捜索する様伝令を出しました」
「そうか、分かった。 ご苦労、怪我人の治療と倒した賊の調査を頼む」
「はっ」
バンフライトさんは辺境伯に頭を軽く下げ部屋を出て行った。 それを見送った辺境伯は溜息をつき、ノーラの方を向くと跪いた。
「王女殿下、誠に申し訳ございませんでした。 王女殿下の身を危険に晒した責任は私にあります。 我が配下の者には何卒温情の程を賜りたく…」
「アンドルフ辺境伯、今はその様な些事を言う前に賊が何処の手の者か特定するのが先決です。 それと取り逃がした2人の行方も全力で当たりなさい」
「…畏まりました」
ノーラの命を受けると辺境伯は立ち上がりサガットさんに目配せするとザガットさんは私達に向け一礼してから部屋を出て行った。
「さて、アンドルフ辺境伯、他に落ち着いて話が出来る部屋はあるかしら?」
「…此処より多少狭いですが別の応接間が御座います」
「では其処に案内を。 レーコ達も来て貰えるかしら」
「分かりました」
それから辺境伯の案内で別の応接間に入り、それぞれが席に着くとノーラの専属侍女さんが部屋に置いてあった茶器セットを使い手早くお茶を入れて配膳してくれた。 今椅子に座ってるのはノーラと辺境伯、そして私達4人。 アンドリュー殿とライラ殿はノーラの後ろに控え、専属侍女さんは壁際に控えた。 私達はそれぞれ配膳された紅茶を飲んで一息つくとノーラが口を開いた。
「どうやら私の知らない所で物事が進んでいるのですね。 アンドリュー、貴方何か知っていて?」
「申し訳ございません。 私は何も」
「そう… アンドルフ辺境伯、貴方の見解は?」
「…先程まで話していた事が実際に起きている、と言う可能性が現実味を帯びた、と思われます」
「なら私はどうすべきかしら?」
「襲撃を受けた事を考えますと先ずは身の安全を優先すべきかと。 その後に情報を集めるのが宜しいかと」
「…ならば予定通り2日後にファーストへ向かいましょう。 さすれば自衛隊が行って頂ける偵察の話も聞けますし、ファーストの守りは信頼できます」
「畏まりました。 先の話を含めその様に手配致します」
「お願いするわ。 レーコ、そおう言う訳ですので宜しくお願いするわ」
「分かりました。 エリアルノーラ王女殿下の身は私達が全力でお守りします」
「それは頼もしいわ。 其処で早速お願いなのだけど、レーコ、今夜は私と寝て下さらないかしら」
「畏ま… え?」
私は返事に詰まり驚いてノーラをマジマジと見つめてしまった。 そして良くノーラを観察すると微かだが手が震えているのに気が付いた。
「分かりました、ノーラが言うのなら仕方ありませんね」
「そう、ありがとう」
私がわざとおどけて肩をすくめながら言うと私の気遣いに気付いたらしく襲撃されてから初めて自然な笑みでノーラがお礼を言って来た。 その様子に私は少し安堵した。
「所でレーコ嬢、先程賊を打倒した武器じゃが小さいのに大した物じゃの。 先の貴族連合軍との戦闘報告は受けて知っていたのじゃが見るのと聞くのではやはり違うと痛感しましたぞ」
「え~と、それはどうも?」
「ほっほっほっ なんじゃその返事は。 儂は褒めておるのじゃ、レーコ嬢達のその武器のおかげて王女殿下を守りきれたのじゃ、礼を言う」
辺境伯はそう言うと私達に頭を下げた。 更にアンドリュー殿とライラ殿、更にはノーラの専属侍女さんまで私達に頭を下げて来た。
「そんな、頭を上げて下さい。 私達はあの場で最善の行動を執ったまでです。 えっと、その、お礼は受け取ります」
私がそう言うと頭を上げた辺境伯は何処か安心した様な表情をされていた。 その時扉がノックされザガットさんが入室許可を求めた。
「構わん、入れ」
辺境伯が入室許可を出すとザガットさんが入って来て一礼した。
「今現在分かった事を報告して宜しいでしょうか?」
「頼む」
「それでは、此度の襲撃の死傷者ですが死者5名、重傷者4名、軽症者23名となります。 襲撃を受けた際に使用人にも幾名か巻き込まれ怪我人が出ておりました。 また襲撃者の遺体を見分しましたが所今の所は身元に繋がりそうなモノは見つかって居りません。 が、身体的特徴から帝国の出身の線が高いと思われます」
「そうか、分かった。 バンより聞いた時より死んだ者が増えとるがどうなのじゃ?」
「はい、重傷を負った者が1人治療の甲斐なく。 もう一人は執事補佐をしていた者が」
「無くなった者の家族には手厚く報いよ」
「畏まりました。 それと領兵50名が屋敷と周辺の警備の為到着しましたので警備兵長と協議して配置しました」
「ご苦労。 他に何かあるか?」
「一つだけ」
「申して見よ」
「マーク様達の客室が荒らされておりました」
《なっ?!》
ザガットさんから伝えられた事に部屋に居た全員から驚きの声が上がった。
「柳田、お前達は直ぐに行って荷物を確認しろ」
「「「了解」」」
「ザガットさん」
「畏まりました、ご案内します」
柳田達3人はザガットさんに先導される形で慌ただしく部屋から出て行った。 その様子を見送ってある事に気付いて辺境伯を見た。
「良い、気にする必要はありません。 しかし何故レーコ嬢の配下の客室が…」
私が辺境伯に何か言う前に辺境伯は私に手を向け遮ると疑問を口にした。 辺境伯が口にした疑問は私も抱いた事だった為私もその疑問について考え込む形になった。
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