第32話 終戦、そしてこれから
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未熟な作者ですがこれからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
又、誤字・脱字報告いつもありがとうございます。 報告があり次第随時修正しています。 自分で読み返して問題無いと思ってもまだまだある誤字・脱字 (-_-;) 本当にありがとうございます
半刻後、準備を整え終わった挟間陸将補、天川1等陸尉、真田准陸尉が門扉前にやって来た。
「秋山3等陸尉、通訳として共に同行する様に。 それと萩山2曹、護衛兼記録係として同行を命ず」
「「了解」」
私と萩山2曹は挟間陸将補達と装甲機動車両に乗り込むと門扉が開きノーラ達が居る場所まで車を進めた。 私達が乗る装甲機動車両の後ろには物資を積載した2㌧トラックが随伴していた。 私が不思議そうに窓からトラックを見てると天川1等陸尉が声を掛けて来た。
「後ろのトラックにはテントやテーブル、椅子等を用意してある。 それと各種通信機材と記録用機材、その他必要と思われる雑貨等もだな。 流石にこの機動車両に全部積み込むのは無理だからね」
「そうでしたか、通信機材と言う事はこの後の交渉も報道クルー達にも?」
「そう言う事だ。 今回の戦に関しては一切国民に隠さずに対応する、それが政府が出した結論だ。 それに従えば隠す訳にはいかないからね」
「了解しました」
私と天川1等陸尉が話してる間に私達を乗せた車両はノーラ達が待つ場所に到着した。
「さて秋山3等陸尉、王女殿下達へ先に交渉の場を整える許可を貰って来てもらえないか? 萩山2曹は護衛として同行する様に」
「「了解」」
私と萩山2曹は挟間陸将補に言われ装甲機動車両から降りてエリアルノーラ王女殿下達の元へ向かい場を整える許可を貰うと無線で伝えた。 すると2㌧トラックから10名の隊員が素早く降りて来ると運び込んだ資材を4人が降ろし残り6人が的確に作業を開始。 20分後にはテーブルや椅子まで配置が完了した。
更には小型コンロまで持ち込んで来ており席に着いた全員に紅茶を出して王国側の面子を驚かせていた。 その後は1人を残しトラックの横へと整列し待機した。
「さて、お待たせしました、エリアルノーラ王女殿下。 貴族連合軍は降伏されるとの事でしたがその事に間違い御座いませんか?」
「はい、待ってる間に彼らの意思を確認しましたので間違いありません、挟間副将軍殿」
「左様ですか、ではそちらの3人の方を紹介して頂いても?」
「元よりそのつもりです。 挟間副将軍殿から見て右からザライ子爵、ニュートリア子爵、アラカイル伯爵となります。 此度の交渉は伯爵が代表となります」
「失礼ですが、貴族連合軍の総指揮官はコンラード侯爵と記憶しておりましたが?」
挟間陸将補が訊ねるとアラカイル伯爵が手を上げ発言許可を求めたのにノーラが気づき頷く事で伯爵の発言を許可した。
「お初にお目にかかります、挟間副将軍殿。 私はクリフトニア王国で伯爵の爵位を賜っておりますネイタール・アラカイトと申します。 以後お見知りおきを。 それでご質問にありましたコンラード侯爵ですが先刻の戦闘の際に落馬による物と推測される骨折にて落命しております。 故に現最高責任者は私となります」
「…そうでしたか、お悔やみ申し上げます」
「ありがとうございます」
其処から幾度か休憩を挟みながらも交渉は続き、昼すぎに始まった交渉は夕方頃にある程度纏まった。
1:貴族連合軍が日本国自衛隊に対し此度の賠償金として大金貨100枚を5年に分割して支払う事。
2:貴族連合軍として参加した貴族家の縁者が最低1人は相互言語研修に参加する事。
3:貴族連合軍が道中にて補給した場所にはしっかりと補填をする事。
4:今回の戦で戦死した者の遺族に十二分以上の支援を行う事。
5:今回、戦を起こしアンドルフ辺境伯に多大な迷惑をかけた事に釣り合う対価、又はそれ相当の対応をする事。
6:今後日本国自衛隊がクリフトニア王国内で活動する必要が出た場合に援助をする事。
大まかに以上の事が決まった。 賠償金に関しては少々揉めたがこれはエリアルノーラ王女殿下がやや強引に押し切り伯爵達に認めさせた。 その時の伯爵達の萎縮っぷりに私達自衛隊側は同情してしまいそうになった。
「そう言えば何故貴族連合軍はあそこまで頑なに開戦に拘ったのですか? それにあの降伏勧告についても皆さんはご存じなかった様ですが」
そろそろ解散、と言うタイミングで私は疑問に感じていた事をアラカイル伯爵に訊ねた。
「誠に申し訳ない事に王女殿下からの使者とのやり取りは全てコンラード侯爵自らがしており私達には詳細は。 むしろ改変されて伝えられておりました」
「それは… では皆さんはどの様に伝えられていたのですか?」
「日本国自衛隊なる軍隊はアンドルフ辺境伯領の農村を1つ武力にて占領、交渉に赴いた王女殿下を不当に監禁し王国に多額の身代金を要求。 密偵が密かに王女殿下と接触し救助要請を送って来てる、と。 辺境伯領軍は一度対峙するも不意を突かれ敗走し手を出せずにいる、とも」
「なんですかそれは?!」
アラカイル伯爵が語った内容にノーラが声を荒げて叫んだ。
「貴方方は自分達で少しは情報を集めようとはしなかったのですか!? 一つとして正しい情報が無いではありませんか‼」
「返す言葉も御座いません。 我ら3人もこの地に来て王女殿下が丘にて観戦すると言う事実を知り、初めて疑問に思った次第。 そしてあの口上交換を行った際に侯爵閣下への疑惑を持ったのです。 それでも我らが侯爵閣下へ歯向かう事が出来ず、せめてもと思い本日の戦に参加はしませんでした」
「…それで挨拶に来た時貴方方3人は非常に驚いた顔をされていたのですね」
「はい。 ですが侯爵閣下が居た為に王女殿下に訊ねる事も出来ず」
「そうでしたか。 ですが、それは言い訳出来る事ではありません。 今後はご自身でも情報を集める手段を構築しなければまた此度の二の舞となりますよ、精進なさい」
「「「はっ 了解しました」」」
「私も疑問だったのです、どうして連合軍が軍を引かなかったのか。 之ではいくら使者を出しても無駄だった訳ですね。 私もまだまだですね」
「いえ、王女殿下は大変努力なさっておいでです」
「その努力も1人の男により無駄にされてしまっては意味がありません。 これでは私も貴方方3人を責める事は出来ませんね」
そう言ったノーラは少しだけ悲しそうな表情で伯爵達を見ながら笑った。 それを見た伯爵達もそれぞれ思う所があるのか申し訳なそうな顔をしたが手を握り震えていた。 果たしてそれは如何なる感情で握られた拳なのか私には想像出来なかった。
「んっん さて王女殿下、お疲れとは思いますがもう少し宜しいですかな?」
そんな何とも言えない雰囲気になり掛けたテント内で挟間陸将補が咳ばらいをしてノーラに話しかけた。
「え? あ、ええ、構いません。 それで何でしょうか?」
「これで戦も一応の終わりを迎えた訳ですので、【裂け目】を閉じる為の調査に王宮魔法師団の方々の派遣をして頂けると思っても構いませんかな?」
「ええ、そうですわね。 早馬を出して連絡すれば早ければ15日後ぐらいにはシュバッツェには到着するのでは無いかしら」
「成程、了解しました。 では最短でそのくらいであると念頭に置いて我らも向かい入れる準備を整えておきましょう」
「よろしくお願いいたします。 それと詳しい日程が分かり次第、おって連絡を致します」
「宜しくお願い致します」
2人は互いに椅子から立ち上がると自然と握手を交わした。
「では本日はこれで解散としましょう。 連合軍の皆さんは明後日の朝に出発出来る様に、明日は戻る準備を整えなさい。 それと明日で構いませんのでアンドルフ辺境伯に謝罪に訪れなさい、伯爵には私から言っておきます」
「「「はっ」」」
「それと自衛隊の皆様にはこの場にて改めて謝罪申し上げます。 この度は大変ご迷惑をおかけしました。 そして最後まで我が国の民達への慈悲ある対応に感謝いたします」
そう言うとノーラは私達に頭を下げた。 王族が第三者の目がある所で頭を下げた。 その事実に驚いた伯爵達も直ぐに正気に戻り私達に向けて頭を下げて来た。
「エリアルノーラ王女殿下、頭を上げて頂けますかな。 貴方様はこのクリフトニア王国の王族、そう易々と頭を下げて良い存在ではない筈です。 貴方様から謝罪と感謝は素直に受け取りましょう。 それでも、とおっしゃられるのなら、又ファーストにて行われるであろう相互言語研修にいらして下さい。 我々は何時でも王女殿下を歓迎いたします」
「…ありがとうございます。 是非とも相互言語研修が再開される時は私も参加致します。 それでは本日はこれで失礼させていただきますわね」
ノーラはスカートをつまみ上げ見事なカーテシーをすると供の近衛兵を連れて一度丘の方へと戻って行った。 伯爵達も私達に挨拶をすると自身の護衛達を引きつれて陣地の方へ引き上げて行った。
「終わったな」
「そうですね、兵力差と鎮圧用弾で何処まで戦えるのか分かりませんでしたが、最善と言える形で終わった、のでしょうか」
天川1等陸尉の呟きに私が答えると天川1等陸尉は複雑そうな表情を見せた。
「相手側に死傷者が出た事はこれはどうする事も出来なかったが、それでも想定されていた人数より遥かに少ない。 そして我々自衛隊側の死傷者は無し。 これ以上無い程の最善な形で終わった事に違いは無い」
私と天川1等陸尉の会話が聞こえたのか挟間陸将補が答えてくれた。 その場に居た私達は互いに顔を見合わせて、頷くしか出来なかった。
「だが、今日は相手側の死者に対して冥福を祈ろう。 天川1等陸尉、ファーストに詰める隊員に指示を出しておいてくれ」
「了解しました」
「さぁ我々もこの場を片付けてファーストに戻ろう」
《了解》
挟間陸将補の号令で全員で設置したモノを手早く片付けて15分後には私達は乗って来た装甲機動車両と2㌧トラックに乗り込みファーストへと帰還した。
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