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 第25話 戦の足音

日々の暑い日が続く中コロナ第7派が猛威を振るっています。 皆様も健康に十二分以上にお気を付けて下さい。 などと書いてる作者ですが、私は先日仕事中に脱水症状と熱中症で倒れかけました。 

皆様もお気を付け下さい。

 UH-90SPJはデモ飛行を終えて元の位置に着陸した。 挟間陸将補は再度エリアルノーラ王女殿下に搭乗されるか問いかける様私に求めた。


「ノーラ、挟間陸将補からヘリに乗られますか、と聞かれていますがどうしますか?」


「…それは先程の様な飛び方をされるのでしょうか?」


「それは無いですね。 先程までのは曲芸飛行と言いまして、観客に見せる為の飛行になります。 ですので実際に人が乗って飛ぶ時はあの様な飛び方しません」


「そう、そうね。 レーコが一緒に乗ってくれるなら、乗って見たいわ」


「分かりました。 他の人達はどうしますか?」


「私から声を掛けると強制になりますから隊長から確認して貰いましょうか。 隊長、お願い出来ますか?」


「分かりました。 確認して参ります」


 守備隊隊長はそう言ってノーラに敬礼すると兵士達の方へ走って行った。

暫くして隊長は2人の兵士を伴って戻って来た。


「お待たせしました。 此方の2人が乗って見たい、と言いましたのでお連れしました」


「ありがとう。 2人の申し出、有難く思います。 では、私と共に空の旅へ参りましょうか」


「「「はっ!」」」


 ノーラの問い掛けに兵士だけでは無く、隊長も一緒に返事をした事にっ私は疑問に思った。


「隊長も乗られるのですか?」


 どうやら疑問に思ったのは私だけでは無くノーラも疑問に思ったらしく確認した。


「はっ 自分が幼い頃は空を飛んでみたいと思って居たのを先程思い出し、年甲斐もなく空を飛んでみたいと思った次第であります」


「そう、ならば共に行きましょう」


「はい!」


 それから私達は航空科の隊員の誘導に従いヘリに乗り込み、シートベルトをしっかりとした後約5分程の空の旅を楽しんだ。


 地上に戻ったノーラ達は興奮した様子で先程までの空の旅の事を楽し気に語り合っていた。 特にノーラは今迄見た事が無い程楽しそうに笑っていた。 私はそんなノーラに少々気が引きながらもノーラにこの後の予定を伝え、その場は解散となった。


 その日の夕食はノーラを始め相互言語研修に来た人達の歓迎会として自衛隊としては異例の野外バーベキューとなった。 勿論食材はすべて地球、と言うより日本産とファースト産で用意された。


 最初はやはりと言うか誰も手をつけようとしないだろうと思って居たが誰よりも早くファランド殿が手を付けて食べ始め、ノーラもそれに続くとそれ以外の隊長以下の兵士達、辺境伯邸の人達も食べ始めた。 


 一口目で目を見開いて、二口目はより味わう様に、そしてそれ以降はもくもくと焼き上がった物を食べ続けた。 その余りの食べっぷりに見守ってた私達は声を掛ける事が出来ず、食べ終わるまで待つ事になった。


 歓迎会として用意されたバーベキューが終わった後、全員が満腹以上に食べ過ぎの状態だった為、食後の話し合いは明日の朝からの相互言語研修の開始時間等はしっかりと伝達して貰って居る筈なので問題無いだろう、となり中止となった。 それに伴い私達も片づけが終わり次第早々に寝て明日からに備える事となった。


 翌日からの相互言語研修は概ね予定通りに進んで行き、1週間が経った頃には挨拶と片言ながらも単語を繋ぎ合わせて会話が多少出来る様になった。 更に情報科からある程度此方の世界の言語情報が集まったので試作通訳機1号が完成したと報告が上がって来た。


 ノーラに協力して貰いその試作1号機を試したがいくつか発音がズレてると指摘を受け、調整作業を今している。 


 そして私は、ノーラとファランド殿と共にシュバッツェへと戻っていた。 ノーラが王への報告書と宮廷魔術師団の調査の為の派遣依頼の手紙を出すのが目的だった。 私と言うより私達4人とファランド殿は護衛として、だったが。 シュバッツェへと着くとノーラは伯爵邸に向かうと思って居たが向かったのは商業ギルドだった。


「レーコ、不思議そうな顔してるわね? 商業ギルドで手紙を出したのがそんなに以外?」


「あ、すみません。 てっきりアンドルフ辺境伯の所へ行くものと思ってたので」


「ああ、確かにそれでも良かったのだけどね。 だけど昔なら兎も角、今では貴族でも商業ギルドの手紙等の配達サービスを良く使うわ。 勿論貴族と市民とではサービス内容は異なる部分はあるのだけどね」


「その様なサービスがあるんですね」


「まぁ同じ街に住む貴族同士とかなら使用人が届けるのだけど、遠方となると届ける使用人が届けるのにも限界があるわ。 それに比べ商人ならば遠方の地でも地理に詳しい者も多い。 更に今じゃ大抵の街なら商業ギルドは設置されてるし、各街の商業ギルド同士の取引も当然ある。 それで始まったのが手紙や荷物の配達サービスって訳なの」


「成程、先ずは届け先がある商業ギルドまで行き、最終的にはその商業ギルドの配達人が届けると。 そう言う事ですか」


「ええ、そうよ。 それに今回は特級指定になるから配達員と腕利きの護衛付きの早馬で配達されるでしょうね」


「特級、ですか?」


「そう、特級。 私が王族であり、王都、正確には陛下宛てに手紙を出したのだから当然ですわね」


「ああ、成程」


「納得頂けたようですわね。 それじゃ屋台でお昼済ませたらファーストに戻りましょ」


「え? 屋台で良いんですか?」


「…こういう機会でもないと市井の者達が食べてる物を食べる機会がありませんもの」


 そう言ったノーラは若干頬を染めながら腕を組んでそっぽを向いてしまった。 私はノーラの態度を見て王族とは言え16歳の少女っぽい仕草を微笑ましく思った。


「分かりました。 それでは私達がシュバッツェへと来て美味しいと思った屋台へ案内しますね。 ファランド殿、構いませんか?」


「勿論です。 日々あの美味しい食事を食べてるレーコ達が美味しいと思った屋台なら間違い無いでしょう」


「それは楽しみね、ふふっ」


「あまり期待しないで下さいね。 期待しすぎると食べた時にガッカリしますよ」


「「それでも期待してしまいますわ/まいます」」


 2人の反応に若干引きながらも案内した屋台で食べた串焼きに2人は満足しながら食べていた。 屋台で昼食を済ませ、私達はファーストへと戻った。


 その夜、ノーラ専属のメイドさんを通して至急の会談の申し込みがあり、私と天川1等陸尉達は直ぐに了承して応接間へと集まった。


「夜分の急な会談の申し込みにも関わらず受けて下さり誠にありがとうございます」


 ノーラはカーテシーをして揃ってる私達に頭を下げた。 王族であるノーラが頭を下げた事に後ろに居た専属のメイドさんとシュバッツェ守備隊隊長が驚いた顔をしてノーラを見つめた。


「構いません、王女殿下から急ぎの要件、と聞けばお断りする理由はありません。 むしろ、此処で断る様では此処の責任者等務まりません。 取り敢えず席にお座り下さい。 詳しいお話はそれからです」


「天川将軍の心遣い、痛み入ります」


 ノーラは天川1等陸尉に軽く頷き椅子へと座ったのを見て応接間に集まった人はメイドさんを除き席に座った。 全員が席に座ったのを見て町田3曹がお茶を配膳して部屋の隅へ控えた。


「単刀直入にお聞きします。 王女殿下の急ぎの要件とは?」


「今日の夕方に私宛に手紙が届けられたのはご存知でしょうか」


「報告は受けています」


「手紙の送り主は貴方方もご存じのアンドリューからでした。 アンドリューの事は何処までご存じでしょうか?」


 ノーラからの問い掛けに天川1等陸尉は少々迷ったが正直に答えた。


「…彼が近衛情報小隊に所属して居るのは聞きました」


「ならば話は早いですわ。 彼が所属してる近衛情報隊が一部の貴族達が戦支度している情報を掴み、調査した結果、攻撃目標は此処、ファーストである様です」


「「「「「はぁ~」」」」」


「あ、あら? 私が言うのもアレですが、此処は驚く所ではないでしょうか? それなのにどうして皆さん揃ってため息を?」


 ノーラは私達の反応を見て不思議そうな表情を浮かべ私達を見回した。 ノーラからの問い掛けに私達は顔を見合わせて苦笑するしか無かった。


「エリアルノーラ王女殿下、最初の会談でクリフトニア王国の貴族の意見は開戦派が占めた、と言うお話をされましたが覚えておりますか?」


「ええ、それは勿論ですわ。 …まさか、あの会談の内容からこうなる可能性も考えておられたのですか?」


「早い話がその通りです。 王女殿下、この一週間で我々の世界がこの世界より遥かに進んで居る事は既にご理解頂けてると思います」


「ええ、それはもう」


「我々の世界でも戦が耐えず、血に塗られた歴史が繰り返され今の我々があります。 それ故に我々指揮官は常に最悪の状態を想定し、それに備えて動きます。


そして先程王女殿下から聞いた内容は想定事項内でもありますが、我々としては起こってほしくは無い想定事項でもあります」


「そうでしたか、我が国の貴族達がご迷惑をお掛けします」


「所でその戦支度をしてる貴族は陛下は止める事は出来ないのでしょうか?」


 天川1等陸尉では無く、真田准陸尉がノーラに訊ねたがノーラが苦虫を嚙み潰したような顔をした事に私達は嫌な予感がよぎった。


「戦支度をしてる貴族達の言い分を父上が問いただした所、蛮族に囚われた私と現地民の救助が目的だ、と言ったそうです」


 ノーラから伝えられた内容を聞いて今度は私達が苦虫を嚙み潰したような表情になる番だった。


「……当然、クリフトニア国王陛下は止めようとされたのですよね?」


「はい、手紙にはそうありました。 ですが聞く耳を持たず、私を蛮族から救い出して見せると逆に豪語したそうです。 その様子に陛下も私への手紙に「痛い目を見せてやれ、そうすれば他の騒がしい貴族共も大人しくなるだろう」と。 それと、此度の事には国軍は出さない事、全て各貴族が抱える私兵のみで行う様に行う事を誓わせたそうです」


「…人身御供、ですか」


「はい。 それと父上、クリフトニア国王は此度の事で自衛隊に責を問わない事を保障するとも。 その旨をしたためた正式な書類を信用のおける臣下に持たせ送り出すともありましたわ」


「それは有難い。 エリアルノーラ王女殿下にお尋ねします、貴族が抱える私兵の中に徴兵された平民は含まれるのでしょうか?」


「難しい所ですね、他国から侵略戦争を仕掛けられた場合はほぼ間違い無く徴兵されますが、今回はそれに当てはまらないと思うのですが…」


 そう言ったノーラは難しい顔をして感が込み、暫し応接間は静寂に包まれた。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。

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