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 第21話 続・異世界調査

Σ(・□・;) え? 何が起きたの? 


前回の前書きで総合評価の事書いたから? 本当に総合評価が300ポイント越えちゃってる!? いや、本当にめちゃめちゃ嬉しいけど300ポイント越えた事にガチでΣ(゜Д゜) した作者です。


ブクマ、評価してくれた読者、更に「いいね!」を押してくれた読者の皆様、本当にありがとうございます。

 食堂で食べた昼食は辺境伯邸での食事と比べると良く言えば質素、悪く言えば貧相、やはり貴族と平民では食べてる物の質と量は違うのだと身を持って体験した事で実感として認識出来た。


 ただ悪く言えば貧相と例えたが決して不味い訳では無かった。 出されたのは硬いパンと野菜と何かの燻製肉のスープ。 燻製肉から良い出汁が出ており普通に美味しいと思える味だった。 パンも焼きたてだったのかまだ温かくスープに付けずにそのままでも嚙み切れる程で食べやすかった。


「辺境伯邸の食事も美味しかったですが、俺的にはこっちの味の方が何か好きですね」


「そこは好みの問題だから深くは言わないが此処が平民の平均的な食事を出す店なら味付けの基本は燻製肉からの出汁、塩、それと何かのスパイスか? 胡椒ではない辛み、唐辛子か? いや、違うな。 この世界特有の物か? でも俺其処までスパイスに詳しく無いしなぁ」


「胡椒では無いのは間違い無いでしょう。 市場でも胡椒は見かけて無いですから。 そうなると怪しいのはあの何とも言えない緑の粉の香辛料、ですかね」


「ああ、あったわね、何とも言えない緑色の香辛料が」


「後、一応高いですが砂糖もありましたよね。 秋山陸曹長は何か分かりました?」


「そうね、ローリエっぽいのとシナモンっぽいのは見かけたわよ。 後はパセリっぽいのとか、後は殆ど粉にされてたからねぇ。 香辛料系はそれぐらいだけど野菜に関しては日本と言うか地球と良く似た物ばかりだったわね」


「それは確かに。 でも微妙にサイズや色が違ってましたが」


 柳田はそう言って苦笑した。 それに釣られて私達も苦笑した。 カブかと思ったらダイコン。 ニンジンかと思ったらカブだった、と言うのはまだ良い方で、冬瓜かと思ったら茄子だった。 と言う事もあったのだ。 私達からして見れば苦笑するな、と言う方が無理だった。


「でもあの様子だとファーストで育ててる野菜をそのまま持って来て市で売るって言うのは…」


「無理、でしょうね」


「少なくともいきなり持って来て売ったら混乱が起こるのは間違い無いでしょう」


「「ですよねぇ~」」


「どうかされたのですか?」


 私達の様子を見てたサラさんとレラさんが不思議そうに尋ねて来た。


「ああ、なんて事は無いんです。 ただ、私達の拠点で育ててる野菜を市場で売ったら混乱が起きるだろうなぁと話してただけで」


「ああ、確か色や形、それと味が見た目と違うのが多いんでしたっけ?」


「そうなんですよ。 それに使われてる香辛料も微妙に違うみたいですから」


「成程、そう言う事ですか。 それなら今度そちらに行く事になってる相互言語研修? でしたか、そちらに辺境伯邸の料理人が2人行く事になってますし、既にお伝えしましたが私達2人はファランド様お付の侍女として同行します」


「それに私達2人は元々平民出身で自分達でも家庭料理程度ですが出来ますのでその辺りは上手い事調整しようと思えば出来ますし、そのあたりの情報交換も出来ると思いますよ」


「そうなんですか? と言うかお2人は平民出身なのですか?」


「ええ、私とレラは行儀見習いとして辺境伯邸へ上がりましたので」


「私達の家はこの街でも5本に入る程の商家ですので辺境伯邸とも取引があったのでその縁で」


「成程、そう言う事ですか」


「「はい」」


「因みにお2人の家は何を売ってるんですか?」


「私の家は鍛冶製品ですね」


「私の家は装飾・布製品です」


「あ、もしかしてこの後行くお店って」


「そうです、言ってしまえば私達の実家ですね」


 レラさんがそう言うとサラさんも微笑みながら頷いた。 それを聞いて何故辺境伯が2人を私達に付けて街を案内させたのか理解出来た。 そして辺境伯は本当に食えない人だと言う印象がますます強くなった。 それとこういう事と何食わぬ顔で平気で出来るのが貴族と言う物なのか、と言う感想も持った瞬間でもあった。


 その後食堂を後にし私達は彼女達の実家だと言う商店でそれぞれ扱う物を見せて貰った。 鍛冶製品扱うサラさんの実家は鍋からフライパン、包丁等の日用品からナイフや剣、槍と言った武器、鉄製の鎧や盾等の武具まで幅広く取り扱っていって客層事にフロアが分かれていた。


 装飾・布製品をレラさんの実家は中古服からオーダーメイドまでこれまた規模の大きい商家で扱う布の種類も豊富だったが絹、所謂シルク系は無かった。 最上級だと言って見せてくれた布は綿製の布でそれすら製造方法は秘匿され生産地域は国の直轄地として保護されてると聞いて非常に驚いた。 また、動物系の布製品も当然扱っておりそちらも種類は豊富だった。


 尤も、見られていたのは私達の方、と言った方が良かったかも知れない。 サラさんの実家では私達が所持してた剣や槍、ナイフ等の鉄製品、レラさんの実家では私達の着ている服と鎧に向こうの職人が目の色かえて

熱心に観察し質問して来た。 来たのだがそれぞれ我が祖国の秘蔵の技術だと言って何とか事なきを得た。


 得た、と思いたい。 ただ当分両家には顔を出すのは非常に危険だ、と言う意見は私達4人の間で即座に可決された。


 その後二つの商家で予想外の消耗を強いられた私達だったが、予定通り最後に一箇所だけ周り辺境伯邸へと帰還した。 帰還後辺境伯へ挨拶した後断りを入れ私達だけで話し合いの場を設けて貰った。 


 話し合い後部屋に控えてたメイドさんに昨日も止まった部屋へと案内してもらいそれぞれ夕食の時間まで過ごし、王女殿下、辺境伯達、アンドリュー達と夕食を取り、食後の歓談を終えてご厚意に甘えて入浴を済ませてから私はベットの住人になった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「アンドルフ、それで今日レーコ達に付けた者達からの報告は何と?」


 昨夜同様、玲子達自衛隊員が退出して行った歓談室ではまだ話し合いが行われていた。


「はっ それぞれの実家の職人に身に着けてる品々を見た結果が上がって来ましたがどれも内容は似た様なモノでした」


「どういう事?」


「武器、防具、衣服に至るまで再現は不可能。 衣服に関しては未知の素材から出来ており、作りも人の手で成された物とは思えない程の出来栄えであったと。 唯一鎧に使われてる革が分かった程度だと」


「そう… その報告書はあるかしら?」


「此方でございます」


 アンドルフはそう言って懐から二通に報告書をエリアルノーラ王女へ渡した。 受け取った王女は手早く報告書を読むと小さく溜息を零した。


「日本と言う国は相当進んだ国の様ね。 アンドリュー、貴方の言った3日持てば、と言うセリフは的を射て居るわね」


「恐れ入ります」


「それとこの報告書を踏まえて私の今の素直な意見を言えばね、3日では無く1日持てば、かしら」


 エリアルノーラ王女が発した言葉を聞いた全員が息を呑んだ。


「レーコが持ってた剣、普通の鉄よりも固い鋼の剣だそうよ。 当然この国、この世界にも鋼の剣はあるわ。 でも其の剣を見た職人の意見ではあれほどの高純度の鋼の剣は恐らく帝国でも作るのは不可能だろう、と。 もう一人の剣も、そして槍も、全員が持ってたナイフすらも作るのは無理だそうよ」


「やはりそうでしたか。 遠目で見ただけでしたがアレらこの国、いえこの世界でも国宝に指定されても可笑しくは無い品だと思いましたが、ナイフまでもとは」


「鎧の下に着てた服の素材は王族の着てる服よりも滑らかな手触りで不思議な事に伸び縮みするのに形が全く崩れなかったそうよ。 一体どんな素材で作ればそんな布が出来るのかしら」


「…普通、服とは伸びたら形が崩れますよね?」


「ええ、普通わね。 それが常識よ。 その常識が崩れる素材の布で作られた衣服を彼女達は着ている。 つまり、日本と言う国ではその素材が一兵士にまで普及するほどあり触れてると言う事。 之が意味する事は分かるかしら」


「…基礎工業力、基礎科学力、基礎労働力、どれをとっても敵わない、と言う事ですか?」


「正解よ、ファランド殿。 それに彼らは更に空を駆ける鋼鉄の天馬を数多く所有している。 そうよね? アンドリュー」


「はい、その通りです」


「だからもし日本と言う国がこの世界で本気を出したらどこの国も敵わないでしょうね。 そして我が国は日本国のこの世界における橋頭保を既に確保されてる状態。 だからさっき1日持てば、と言ったの」


 エリアルノーラ王女の言葉によって部屋の中は重苦しい空気に包まれつつあった。


「あ、もう一つあったわね」


 エリアルノーラ王女の小さい呟きは静まり返った部屋に良く響いた。


「他にもまだ?」


「あら、アンドルフ、分からない? その可能性を見出せたのは貴方のお蔭なのだけど?」


 辺境伯の問い掛けにエリアルノーラ王女は首を傾げながら問い返した。 しばし考えてた辺境伯だったがある事を思い出してエリアルノーラ王女を見た。


「思い出したみたいね。 レーコ嬢達ジエイタイなる軍隊全員がこの世界に来た事で恐らくレベル3以上の魔法士になってる可能性もあるのよ。 アンドリュー、今この世界に来てるジエイタイの凡その数は?」


「はっ 凡そ3千弱かと」


「この仮説が正しければレベル3以上の魔法士が3千弱? その時点で目を覆いたくなるわね。 幸いな事にあちらの世界には魔法が無いみたいだから習得するのに時間が掛かるからそれだけが救いかしら?」


 エリアルノーラ王女はそう言いながら既に日が落ち暗闇が支配する夜空を窓越しに見つめた。


「王女殿下、非常に言いづらいのですがお伝えします。 あちらの世界には確かに魔法は存在しません。 之は秋山殿からの知識でも明らかです」


「それで?」


「存在はしませんが、しないからこそ、空想物語上で古くから題材として扱われ、各種属性、形態、使用方法等が遥か昔から伝わっております。 それこそ一部の内容が魔法学院を凌駕する程詳細な物が市井が読める書物として」


「                     」


 アンドリューから伝えられた内容を聞きエリアルノーラ王女は普段なら人前では絶対見せないであろう姿、クッションを顔に押し当て何かを喚き散らし始めた。 暫くそれが続いたがクッションを談話室にあった暖炉に放り入れると火の魔法を放ち、そのクッションを燃やした。


「今見た事は他言無用。 直ちに忘れなさい」


「「「「はっ」」」」


「アンドリュー殿、マルコスニア殿、明日レーコ嬢達が彼女らの拠点へ帰還後私達は速やかに王都へ帰還し、即座に陛下に此度の件の報告を上げます。 アンドルフ辺境伯は明朝に陛下に当て早馬を出しなさい。 ファランド殿、相互言語研修に行く面子を再度選考しなさい。 決して、良いですね、決して日本国ジエイタイに危害を与える可能性のある人員を選んではなりません。 各自明日に備えて準備を怠らぬ様に、本日は之で解散とします」


 エリアルノーラ王女は指示を出すと自身の侍女を連れ談話室を後にした。 残された3人も王女が部屋から退出後指示された事をすべくそれぞれが動き出した。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。


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