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 第17話 森の住人?

 突入して来た警察官により逮捕された者達が連行された後の会議室には空席がやや目立つ事となったが会議自体は続けられる事となった。


「逮捕され空いた人員の代りは各省庁で補充して貰いましょう。 勿論、人選は厳選してもらいますよ」


 会議室に残ってる各省庁の官僚達を幕僚長は笑顔で見渡しながら言ったがその目は当然笑って等居なかった。 


「勿論だ。 だが、いささか強引だったのでは?」


「此度の不正等に関わった者達の逮捕の指示は首相が警視庁へ出した物ですよ。 ご不満でも?」


「そ、そう言う訳では」


「ならば結構、では話し合いを続けましょう。 先ず即急に解決しなければならない事が多々ありますからな」


「そ、そうですね」


 普段は色々と自衛隊側からの要望に関して難癖を付けたり否定的な意見が出たりと中々要望がすんなりと通る事はなかった会議だが、この日に関しては自衛隊側から出された要望はほぼ全てが通ったと言っても良かった。


 この日の会議で【裂け目】の向こう側の自衛隊拠点の防衛設備、及び防衛火器の充実化に掛かる追加予算が早急に決議に賭けられる事が決まった。 これは当初計画で決まった事が逮捕された各省庁の官僚達とそれに与する自衛官達がその懐にお金を入れた事により今現在の状況となってる為各省庁も反対意見など出る筈も無かった。


 次に各方面の学者や専門家により日本側から【裂け目】の多方面からの調査を行う事で合意した。 今迄は自衛隊が観測したデータを学者や専門家に渡して調査して貰っていたが当然その間に政府に、逮捕された連中を通して渡されていた為改竄されたデータが渡されていた。


 その為自衛隊がいくら精密に観測しても無意味だったのだがこれ機に幕僚長始め自衛隊幹部は学者や専門家を直に【裂け目】の防御拠点へ招き、調査を依頼する運びとなった。


 幕僚長は忘れる事無く最前線拠点の防衛火器の不足を訴え、最前線拠点の防衛火器の充実させる為の許可をも認めさせた。 更に自衛隊が総力を挙げて護衛をするので政府関係者の【裂け目】の向こう側への視察を行う事を認めさせた。


 之までは逮捕された連中がその話が出る度に色々難癖をつけて騒ぐ為に政治家の現地視察が日本側拠点ですら行われた事は一度も無かった。 その為政府関係者は自衛隊の報告書のみで対応会議で方向性を決めていたがその報告書ですら政府関係者の指示で内容が改竄されていたのが今回の事で発覚したのだ。


 幕僚長始め政府関係者は今回の事を深く反省し、己が目で現場を見て今後に生かす為に動き出した。 その結果に幕僚長達はある程度満足しつつも此処まで事態が重くなった原因の一部は自分達にもあるとし、防衛大臣に辞表を提出していたがそれらに関しては防衛大臣と首相に


「今貴方方が辞めるのは現場で之まで頑張って来た隊員達全てを裏切る行為ではないのですか? 今は現場で命を懸けてる隊員達の為にも貴方方も頑張る時でしょう。 この辞表はその時まで私が預かっておきます」


 と、言われ保留となっている。 首相のその言葉に幕僚長始め自衛隊幹部は何も言わずただ頭を下げ首相と防衛大臣の前から下がった。 その胸の内は分からないがその表情を見た者達は後に「あれは戦士の顔だった」と語った。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 日本側で自衛隊を取り巻く環境が激変してる頃【裂け目】の向こう側の自衛隊拠点では問題が起こりつつあった。 その一つがホワイトベース周辺の森に5人組の集団が3つ確認された。 確認された集団は明らかにホワイトベースを監視してるのが分かった。 だがそれ以上に彼らの戦闘力に驚かされていた。 


 彼らは自衛隊が重火器で対処してる密林の生物達を基本5人で対処していた。 群れで来るモノに関してはそれぞれのグループで協力し対処に当たるがそれでも彼ら個人の戦闘力が並外れて高い事は彼らを観察していて直ぐに分かった。


 其処でホワイトベース司令官の矢島一等陸佐はファーストから上がって来た現地語の手引書を使って簡単な手紙を書いて彼らから見える位置に置く事にした。


 手紙の内容は我が方に貴方方に対する敵対意思が無い事。 現在シュバッツェ領主、シュードルフ家と交渉中である事。 が書いてあった。 勿論返信用に紙とインクとペンもセットにして。


 最初の日は警戒されていたが翌日の昼頃に1つのグループが手紙に近づき罠が無いかを入念に調べた後に手紙を手に取った。 手紙を呼んだグループは返信用の紙も手に取ると再び密林へと戻って行くと翌日からその姿が見えなくなった。


 その状況が変わったのは2日後、ファーストで保護した現地民を城郭都市シュバッツェへ送り届ける日となったがあれ以降彼らの姿を確認出来ていない為矢島一等陸佐はドローンによる周辺調査を部下に命じた。 それから1時間後、ホワイトベースから南西2キロ地点で監視してた1つのグループの内の一つが巨大な蛇に襲われてるのを見つけたと報告を受け、矢島一等陸佐は即座に救助を命じた。


 即座に人命救助の為に即応部隊26名がホワイトベースから出撃した。 徒歩では時間が掛かる為全員が電動式オフロードバギーに搭乗してだ。 即応部隊が出動して5分後に軽車両部隊5台も準備が整いホワイトベースから出撃して行った。 バギーは2人乗りで1人が運転、一人が射撃主となり敵対生物に対処する。 また搭載火器は12.7mm重機関銃搭載が8両、対戦車誘導弾搭載が4両、指揮車1両の編成だった。


 結果的に救助は間に合ったとは良いが結果となった。 5人居た筈が自衛隊が現場に着いた時には3人しか居なかったのだ。 自衛隊は即座に蛇に攻撃を開始し3人から注意を引き付けて3人から蛇を引きはがした。 重機関銃で牽制射を与えつつ対戦車誘導弾を構えるキルゾーンに誘導後に誘導弾で蛇の頭を吹き飛ばした。


 蛇を倒した後に即応部隊が3人の所まで戻ると既に軽車両部隊が丁度到着した所で3人の内1人は意識が無くぐったりとしており1人は左腕が明らかに骨折しており、残る1人も額から血を流しつつも駆け付けた自衛隊員に向けて剣を向けて警戒していた。


 其処で軽車両部隊の隊長を勤める山田3等陸尉は周辺警戒を命じると彼らの前まで行くと徐に装備品を脱ぎ捨て武器の類を何も持ってない事をアピールして部下からメモ帳とペンを受け取ると単語毎にだが筆記によるコミュニケーションを試みた。 メモ帳には


 「私達 敵 違う 砦 貴方 怪我 治す 可能」


 と書いてメモ帳とペンを渡した。 すると受け取った人は直ぐに何かを書き連ねるとメモ帳を返して来た。


 「怪我 治す 可能 本当」


 と、書いてあり山田3等陸尉は大きく頷きメモ帳に何かを書いて渡した。


 「怪我 治す 本当 嘘 判明 私 命 渡す」


 と、書いて。 受け取った人は目を見開いて山田3等陸尉をじっと見つめていたが腕を骨折していた人が痛みに対してうめき声を上げたのを見て決断したのか再びメモ帳に何かを書いて返して来た。


 「嘘 判明 貴方 命 貰う  今 貴方 信用  指示 願う」


 メモ帳を呼んだ山田3等陸尉は再びメモ帳にペンを走らせ渡した。


 「砦 向かう 魔道 馬車 乗る」


 メモを渡して山田3等陸尉は乗って来た軽車両を指差した。 メモを受け取った人は山田3等陸尉が指さすモノを見て顔を顰めたがそれでも頷いて仲間に声を掛けた。 少し口論になった様だが気絶してる人を担ごうとした所で他の隊員が担架を素早く用意して意識が無い人と残りの2二人にも担架に乗る様にジェスチャーで伝えると渋々とだが指示に従ってくれた。


 山田3等陸尉素直に指示に従ってくれた事に安堵しつつ同行してた医務官2人に容体を見る様に指示を出して脱ぎ捨てた装備を拾うと直ぐにホワイトベースへと帰還する様指示をだした。


 一方担架に乗せられ訳の分からない馬車に乗せされ移動を始めた汚い緑の服を着た集団に囲まれてる3人(1人は意識が無いが)はその顔には不安がありありと見て取れた。


 ホワイトベースに帰投した救援部隊は3人を直ぐに手術室へと運び込んだ。 医務官の診断では意識が無い人は左胸肋骨が骨折しており吐血量から折れた肋骨が肺に刺さってる可能性有と診断されていた。 左腕を骨折してる人も居れた骨が皮膚を突き破ってはいないがかなり酷い状態である事は間違い無かった。 額から出血してた人も移動中に出血の為か意識を失って居り医務官が診察した結果、右足を骨折していた。


 3人はそれぞれ別々の手術室に運び込まれ即座に止血処置がされたのちにレントゲンやMRIにCTスキャンを取り適切な処置が施された。 が、その際問題となったのが輸血だった。 彼らの血液検査も行われ血液型は特定されたが血液成分の中に未知の成分があった為下手に輸血すると拒絶反応出る恐れもあり輸血無しでの手術となった。


 手術は3人とも全員成功。 ただし、肋骨が骨折し吐血してた人と額から血を流していた人は血液不足から来る貧血が問題として残って居る為油断を許さない状況。 左腕を骨折していた人が一番軽症と言う事で容体も安定しているので回復も早いと予測された。


 3人はその後1日目を覚まさなかったが、手術から2日目の朝医務官の予想通り左腕を骨折していた人が目を覚ました。 彼は暴れる事も無く静かに状況に確認して来た。 対応に当たったのは彼らを説得した山田3等陸尉が担当した。


 コミュニケーション方法は相変わらず筆記がメインだったがそれでも手引書を元に少しづつだがコミュニケーションを取る事が出来る様になった。 左腕を骨折してた人がジーク、意識が無かった人がイワン、額を怪我していた人がユリーナと言う名前である事が分かった。


 ジークが目覚めた次の日にイワンが目を覚まし、更に翌日ユリーナも目を覚ました。 医務官からはジーク以外血が足りないからまだ油断が出来ないがそれでも食欲はあるので其処まで心配する事は無いだろうと診断された。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。


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