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 第14話 辺境伯を味方に

読者の皆様の応援のおかげで総合評価が200Pを超えました。 読者の皆さん本当にありがとうございます‼ 物凄く嬉しいです。 次話が上がる日のアクセス数を見る度にそのアクセス数の多さにまいあがっています。 読者の皆さんに楽しんで貰えるようこれからも頑張りますので今後もよろしくお願いします。

「少し買取金額が相場より高く感じるんだけど?」


 査定額の明細を確認してみると教えて貰っていた相場の金額よりもどれも割高で査定されていたので気になり訊ねてみた。


「ギルマスからの指示だ。 お前らは期待の新人だから買取額に色を付けろってな。 尤も、初回限定の特別サービスって奴だと」


「ふ~ん、まぁそっちがそれで良いならこれでお願いするわ」


 私はそう言いながらカウンターの職員に明細を返した。


「交渉成立だな。 今、金を用意するからもう少し待っててくれ。 それと、これが一応ギルドの規定が書かれてるから読んでくれ」


 職員から新たに別の羊皮紙を渡された。 確認していくと色々書かれてはいるが要は活動拠点の住民といざこざを起こすな、何かあっても自己責任、拠点を移動した際は移動先の拠点に申し出る、ギルド提携店なら多少割引がある、等が掛かれていた。


「何と言うか、当たり前の事ばかりが書かれてましたね」


 私の説明を聞いた柳田改めマークが意外そうな顔をして感想を漏らした。 


「ですが宿等で割引が受けられるなら助かるのでは? というより、現状この世界の貨幣の持ち合わせが無い我々にとってはかなりの助けになります」


 と、述べたのは鈴原改めてアインだった。


「それもそうね。 因みに今回の買取額は371.000アデルだね。 登録料が1人3.000アデルだから実際は359.000アデルか。 金貨3枚、大銀貨5枚、銀貨9枚。 暫定日本円換算だと3.590.000円かな」


「「「おぉ~」」」


「この世界の一般的な5人家族が月金貨5枚、500.000アデルで生活出来るみたいだからしっかりと稼げば意外と儲かる、のかしら?」


「その辺はどうなんですかね? こっちの物価は今現在の所は何も情報がありませんからね」


「その辺はおいおい調査して行くしか無いでしょうね。 まぁ今回の遠征は2泊3日の予定で明日は市場や雑貨屋、武具店等回る予定だからそのつもりで居てね」


「「「了解」」」


「それじゃ買取金を受け取ったらアンドリュー殿達3人とごうりゅ… そういえばアンドリュー殿達は何処に?」


 この後の予定を確認しようとしてギルドのフロアにアンドリュー殿とファランド殿が居ない事に今更ながら私は気が付いた。 他の3人も私に釣られてフロアを見渡してるが姿を確認出来ない様だった。


「あ、もしかして此処のギルマスと話してるのでは?」


 何かに気がついた高山改めトージが意見具申して来た。


「十分あり得ますね。 むしろ買取金額に色を付ける様にあの人達がギルマスに言った可能性があるのでは?」


 マークの感想を聞いて私は成程、と納得した。


「マークの言う通りかも知れないわね。 と、言うよりその通りなんじゃないかしら。 ほら」


 私が指さす先には階段を下りて来るアンドリュー殿達と実技試験を担当した職員、ギルマスの姿があった。 3人もその光景を見て納得顔をしていた。


「登録は終わりましたか?」


「ええ、後は素材の買取金を受け取るだけですね」


「そうですか。 では受け取りましたらマルコスニアと合流してシュードルフ家へと向かいましょう」


「分かりました。 それと、ギルマスに何か言いました?」


「…何のことですか?」


 私がアンドリュー殿に訊ねるとアンドリュー殿はちょとん、とした表情をして返して来た。 その反応を見て私達の予想が違っていた事を知った。 どうやら色を付ける様に指示を出したのはギルマス本人の意思だったらしい。


「おう、待たせたな。 買取額が用意出来たぜ。 今回金を入れる革袋はサービスだ。 ほれ、確認してくれ」


 私達が話してる間に受付の職員が近づいて来て革袋を渡して来た。 私はその革袋を受け取り中身を確認すると予想通りの硬貨の枚数があった。


「確かに」


 中身を確認した私は背負ってた小さめの雑嚢袋にしまった。


「アンドリュー殿、此方の予定は完了しました。 それではファランド殿のお宅へ向かいましょう」


「そうか、では向かうとしよう」


 私達は椅子から立ち上がり職員に軽く頭を下げてからアンドリュー殿達と建物を出た。 裏手に周りマルコスニアと合流し荷台を回収してファランド殿の先導の元シュードルフ家へと歩みを進めた。


 街の説明を受けながら進む事約30分、一度内壁の門をくぐると豪勢な住宅街と言う雰囲気の街並みへと変化した。 内壁を出た所にはシュードルフ家の馬車が2台待っており私達は分かれて馬車に乗りシュードルフ家へと向かった。


 尚、荷台に乗せていた荷物は馬車の収納ケースへとしまい、荷台は折り畳みコンパクトにして馬車後方の荷物置き場に乗せる事が出来た。 荷台を折り畳んだ時に馬車付きの従者?の方が驚いていたのが印象的だった。


 馬車に揺られ豪勢な住宅街を進みやがて一軒の大きな屋敷の門を通った。 馬車はそのまま屋敷の敷地を進み屋敷の表面玄関へと続く階段の前で止まった。 馬車の扉が開かれたので私達は馬車から降りると間近で見た大きい屋敷を見て圧倒されそうになった。


「ようこそお越し下さりました。 わたくしめはシュードルフ家に仕える執事の1人でザガットと申します」


「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。 私はレーコと言います。 後ろに居るのが左からマーク、トージ、アインと言います。 本日は私達の上の者から辺境伯様へのお土産をお持ちしておりますが如何すれば宜しいでしょうか?」


「それはありがとうございます。 主様へのお土産は係りの者が居りますので少々お待ちいただけますかな」


「かまいません。 よろしくお願いします」


「畏まりました。 これ、お客様からのお土産を」


「「はい」」


 ザガットさんが後ろに控えてた若い燕尾服を着てる人に声を掛けると2人出て来た。 私達は出て来た2人に辺境伯へのお土産の茶葉の缶5つと茶器セットを3つ渡した。


「此方は味の違う茶葉の缶が5つです。 其方は私達の国で使用されてる茶器セットをが3つになります。 それぞれどのような物かの説明書が入っておりますので、使用される場合は必ず読んでからお使いください」


「ご丁寧にありがとうございます」


 2人は私達に軽く頭を下げてからお土産を持って先に屋敷の中へと入っていった。


「それでは主様がお待ちになられておりますので応接間へご案内いたします」


「分かりました」


 ザガットさんに先導され私達は屋敷に入り屋敷の中を案内されるまま進み一つの扉の前まで来た。


「主様、ファランド様とお連れのお客様がおいでになられました」


「おう、来たか。 入ってもらってくれ」


「畏まりました。 それでは皆様お入りください」


 ザガットさんは部屋の中で待つ辺境伯へ断りを入れて扉を開き私達を部屋の中へ入る様求めた。 私達が部屋に入ると応接セットの奥の1人がけのソファーから辺境伯が立ち上がり出迎えてくれた。


「ただいま帰りました、父上」


「良く帰って来たな、ファランド。 それにアンドリュー殿とマルコスニア殿も。 そして良く来てくださいました、異世界の方々」


「アンドルフ辺境伯様、本日は突然の訪問に近い形になりお詫び申し上げます。 尚。本日は挟間陸将補から辺境伯様へ私達の世界の茶葉と茶器セットのお土産が御座います。 後程、お楽しみください」


「それは忝い。 挟間将軍補佐官殿のお気遣い確かに頂きました、とお伝えください」


「分かりました。 必ずお伝えします」


「うむ、それではどうぞお座り下さい。 あの時は簡略的にしか経緯を聞けなかったですのでこの場で改めてお聞きしたいのですが相当供宜しいですか?」


 アンドルフ辺境伯からの申し出に私とアンドリュー殿は目配せし、頷き合ってから事の経緯を説明していた。


 先ず私からで、私達の世界で次元の裂け目が確認され、その裂け目から凶暴な獣や昆虫等が出現。 それの対応を始めた事、直ぐに消えると思われた裂け目は一向に消えず、遂に国の方針で裂け目の向こう側の世界、つまりこの世界へ赴き裂け目の原因の調査と排除を目的に活動を始めた事。


 裂け目はアナイアの森の奥、山脈の麓付近にあり、私達は裂け目を取り囲む様に安全地帯を確保してから周辺調査を行った事。 その過程で廃村を発見、再整備し前線拠点へとした事。 村での生活が安定し始めた頃、アンドリュー殿達が森から怪我をした状態で出て来て村で治療を行った事。


 その日の夜に巨大猪、ランデスボア5頭の襲撃を受けこれを撃退。 アンドリュー殿もこの撃退戦に参加。 そして翌々日にアンドルフ辺境伯が村に警備兵を引きつれて現れ、あの会談となった事を説明した。


「そうであったか。 漸く流れが見えたわ。 そう言う事ならアンドリュー殿達の目的も達成出来た、と言う事で宜しいのかな?」


「その解釈で問題ありません。 アナイアの森の民からの依頼も完了と出来ましょう。 聞こえて来る怪音、爆発音は此方に居る日本国の兵達の魔獣、魔虫との戦闘音であるが、彼らに侵攻の意思は無くむしろ友好を求めている、と」


「で、あるか。 しかし、憶測ではあるが彼女ら日本国の兵達がこの世界に来る原因がもしかしたら我が国の貴族による物の可能性が高いとは」


「状況証拠による憶測故、確実性には欠けますがかなり高い確率であると私個人は思っております」


「うむ、話を聞く限り私もそう思う。 アンドリュー殿、私は今、先日の会談の折に少ない情報の中で日本国に対して敵対的な態度を取らずに良かったと心からそう思っておるよ」


「それでは」


「ああ、この場は正式な場では無いが、私は日本国及びこの世界に滞在する日本国の兵士達に可能な限り便宜を図ると改めて約束しよう。 レーコ嬢が望むなら書面にてその旨を記すが如何いたす?」


「頂けるのであれば、お願いします。 私達にも上に報告する義務があります故」

 

 アンドルフ辺境伯からの申し出に私は即座に頭を下げお願いした。


「あい、分かった。 明日の朝までには用意しよう。 話も一区切りついた所だ。 ここらで一度休憩を挟むとしよう。 おい、何か軽食とお茶を用意しろ」


「畏まりました」


 アンドルフ辺境伯は一息つくと部屋に控えていた執事に指示を出した。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。

感想、コメントもお気軽にお願いします。

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