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 第13話 シュバッツェへ

「さてと、全員揃ったわね。 それじゃ出発しましょう」


「「「「「「了解」」」」」」


「…何でアンドリュー殿達3人まで了解って言ってるんですか?」


 私の掛け声に答えたアンドリュー殿達3人にジト目で思わず訊ねてしまった。


「…思わず?」


 アンドリュー殿は何とも言えない表情を浮かべ、視線を逸らしながら答えた。 


「まぁ良いですけどね。 今から出発すればお昼前にはシュバッツェには付く見込みです。 一様シュバッツェに到着してからの予定としては最初にハンターギルドに行き私達4人が登録。 その後に素材の買い取りをして貰ってからアンドルフ辺境伯のお宅に訪問。 で良いんですよね?」


「ああ、それで構わない。 アンドルフ辺境伯へは門に着いたらファランド殿が辺境伯へ伝令を出して貰う手筈になっている」


「ええ、お任せ下さい」


「では、気を取り直していきましょう」


 私達は素材を積み込んだ荷台を引きながらファーストを出て一路シュバッツェへと向かって歩み始めた。 と、カッコ良く言ってもシュバッツェまでは6キロ程なので荷車を引いて歩いて行っても2時間も掛からず到着した。


 尤もシュバッツェへ入る際の審査待ちの時間が一番長かったんですけどね。 しかも私達4人はこの世界での身分証が無いくせに辺境伯直筆入場料免除の書類を持っていた為門兵に不審がられたがファランド殿が執り成してくれたおかげで無事通過出来た。


「ありがとうございました、ファランドさん。 お蔭で助かりました」


「いえいえ、あれくらい大した手間でもありませんしね。 伝令も出して貰ったので父上にも私達が来た事が伝わります。 のんびり行きましょう」


「はい。 では最初はハンターギルドですね」


「えぇ、ご案内します」


「宜しくお願いします」


 通りから見える街並みは石作りの街並みで独特の雰囲気があった。 その中で暮す人々にも活気が溢れておりこの街が栄えてるのが見て取れた。

ファランドさんの案内で歩くと事10分。 一つ大きな建物の前までやって来た。


「レーコさん、此処がシュバッツェのハンターギルド支部です。 入る前に裏手にある荷物預り所に寄って荷台を預けましょう」


「分かりました」


「それと、ギルド内に入ったら丁寧な言葉使いも控えて下さい。 新参者は舐められ安いので」


「分かってるよ、ファランド。 それとマルコ、荷台の監視を頼むわね」


「分かってますって、姉さん」


「だ~れが、姉さんよ。 その呼び方止めてって言ってるでしょ」


「ブフッ」


「マ~ル~コ~ス~ニ~ア~ど~の、どうして其処で笑うのかしら?」


「す、スミマセンデシタ」


 マルコスニアのふざけた呼び名に突っ込むと盛大に噴き出したマルコスニアを更に問い詰めると勢い良く頭を下げて謝って来た。 ふと後ろを振り向くと口を押え肩を震わせてる柳田達が居り思わずジト目になった。


「柳田? あんた達もなのかしら?」


 思ってたよりも低い声で問い詰めると3人はビシッと姿勢を整えて「「「いえ、滅相もありません」」」と返して来た。 その態度に思わず私は溜息が漏れた。


「さぁこんな往来でふざけてないでさっさと裏手に回ろう」


「別にふざけてた訳では…」


「分かっている。 さぁ行きましょう」


「は~い」


 アンドリュー殿に催促されて私達はハンターギルドの裏手にある荷物預り所に荷台を預け、念の為マルコスニアが荷台の監視に着いた。 それから再び表へ戻り建物の扉をくぐり中へと入った。


 建物の中は事前に聞いてた通り依頼が張り出された掲示板が並んでおりその奥に受付カウンターが見えた。 私は柳田3曹達を引きつれてカウンターへと向かいカウンター内に居る職員に話しかけた。


「ねぇ、登録をしたいんだけど」


「…見ねぇ顔ぶれだな。 新規か?」


「そうよ」


「魔獣を狩った経験は?」


「あるわよ。 さっき裏に素材を乗せてる荷台を預けたわ。 これその時の札ね」


「確認させて貰う」


「構わないけど、素材以外触らないでよ。 大切な贈り物も一緒に乗せてるから」


「…素材以外触らない様言って置く」


「それが賢明ね。 なんせ送り主は辺境伯様だから」


「……嘘、ではなさそうだな。 良く言って置こう」


「それが良いわ。 もし盗んだりしたら極刑を覚悟すべきね」


「その通りだな。 登録は後ろの3人もか?」


「ええ、そうよ」


「それじゃこの用紙に全員記入してくれ。 その間にあんたらの荷台の素材を確認してくる」


「分かったわ。 で、何処で記入すれば良いのかしら?」


「そっちに記入台がある。 ペンとインクも置いてある」


「そ、ありがと。 行くわよ」


「「「………」」」


「…何よ?」


「「「いえ、別に」」」


「…………」


 職員から記入用紙を4枚受け取り振り向くと柳田3曹達3人は呆然とした顔で私を見て居たので思わず素に戻りそうになりながらも訊ねたが3人は短く返してくるだけだった。 思わず無言で見つめ合う事になりそうだったので取り合えず無視して私は記入台のある方へ歩き出すと後ろから3人が付いて来た。


 記入台には職員が言った通り羽ペンとインクがあり私達は記入用紙を描き始めた。 名前、性別、種族、職業、出身地。 あれ、これだけ? と思いながら書き終えて3人を見ると3人は手作り辞書を引きながら必死に書いていた。 因みに私は名前をレーコとした。 


 柳田は下の名前が真人まことなので少し捻りマーク、高山は登二(トウジなのでそのままトージ、鈴原は哲二てつじなので少し捻りアインと名乗る事にしていた。


 それぞれの職業は私が剣士、マークが弓士、トージが剣士、アインが盾士となってる。 因みに出身地は私達の拠点のファーストそのままとした。 3人も書き終わり念の為確認するとトージとアインが綴りを少し間違えてるのがあったので手早く書き直した。


 書き終えた用紙をカウンターに持って行くと奥の扉から丁度対応してくれた職員が戻って来た向こうも私達に気が付き近づいて来た。


「素材は確認した、買取は登録が終わってからにするか?」


「ええ、それでお願い。 それと登録料も買取金額から引いてくれるかしら」


「…別にそれで良いってなら構わんが。 手持ちが足りねぇのか?」


「此処に来るのに装備を新調したら予想以上に、ね」


「そう言う事か、良いだろう。 それじゃお前ら4人其処の階段を下りて行きな。 簡単な実力テストだ」


「分かったわ。 行くわよ」


「「「おう」」」


 職員に示された階段を下りて行くとその先には訓練場みたいになっており、木剣を持った男が1人おり壁際には12・3人居た。


「お前らが新規登録に来た奴らだな。 俺はトールスだ。 一様実技試験を担当してる。 1人ずつかかって来い」


「それは良いけど一つ良いかしら?」


「なんだ?」


「マークは弓士なんだけど、どうするの?」


「弓士は的に射かけて貰う形だな。 的に命中した矢の位置と数で判断する形になる。 それと木剣や木槍は其処の壁にある奴から好きなのを選べ。 盾は持ってるのを使って良いぞ」


 試験管のトールスが言った事を3人に伝えると2人は早速木剣や木槍が置いてる場所に向かった。 マークは弓の弦を引いて弓の具合を確かめ始めた。


「何だ、お前は異国の地の出か? 聞きなれない言葉を話してたが」


「そうだけど、それが何? 一応あの3人もこの国の言葉を勉強してるんだけどまだまだなのよね」


「お前さんがリーダーか。 俺もクリフトニア王国出身じゃないんだ。 ただ聞きなれない言葉だから気になってな」


「…そう」


 トールスに短く答え私も木剣を選びに向かい、それぞれ使う物が決まってトールスと模擬戦を行ったがトールスは滅法強かった。 正直矢を射るだけのマークを恨めしく思う程に。 結果は私が何とか奇策を使って一太刀入れる事が出来た。 トージは最後までトールスの防御破れず最後にカウンターを受けていた。 


 アインは私達2人とトールスとの戦闘を見て居たので慎重な切り出しだったのが逆手に取られ果敢にトールスに攻められたがアインが意地で防御に徹し盾で体当たりを食らわせて態勢が崩れた所を木槍で攻撃し一本取った。 マークは外野がヤジを飛ばす中、いつも通り冷静に矢を射かけて的に命中させていた。 何かムカツク。 


「これで実技試験は終わりだな。 お前ら結構やるな。 俺からの評価だが個人はランク6、チームだとランク5だな。 こりゃ良い新人が来たもんだ。 一息ついたら1階に戻って待ってな」


「ええ、了解よ」


 私は手を上げてそれだけ答えた。 正直全力を出して奇策まで使って漸く一太刀当てたのだ、まだもう少し休んで居たかった。 尤もアインとトージも相当疲れたのか置かれてる椅子に座り込んでいた。 元気なのはマークだけ。 やっぱり何かムカツク。 


 トールスが出て行くと私達の試験を見てた野次馬?達が近づいて来るのが見えたので私は座り込んでる2人に発破をかけて1階に上がって壁際の椅子に座った。 椅子に座ってるといきなり木のジョッキに並々と継がれた液体が入った物を置かれた。


「これは?」


「俺のおごりだ。 と、言ってもただの果実水だがな」


「…おごられる理由がないんだけど?」


「俺はさっきの実技試験を見てた一人でな。 あのトールスに試験とは言え一太刀入れれる奴を久しぶり見たんだ。 これはその祝いだな」


「そう、なら有難く頂くわ」


 私はそう言って最初に一口飲み、アルコールが入って無い事を確認すると一気に飲み干した。


「所であのトールスって人、何者? めちゃくちゃ強かったんだけど」


「何でぇ、知らねのか? あの人は此処のギルマスだぞ」


「そう、ギルマスな…の。 って、はぁ~~~~~~~~~、ギルマス~~~~~~~?! 何でそんな人が試験管なんかしてんのよ‼」


「まぁ驚くわな、普通。 あり大抵に言えばあの人の気分転換だな」


「気分、転換…って」


 男の話を聞いて私は机に恥も外聞も無く項垂れた。


「おう、居た居た。 お前達のギルドカードが出来たぞ。 ギルマスからの指示で特別にランク6からだ。 チームランクは5からだとよ。 それとほら、こっちはお前らが持ち込んだ素材の査定の明細だ」


 声を掛けられて顔を上げると受付の職員が4枚の金属板と一枚の羊皮紙を私に差し出して来た。


「あ~、ありがと」


 私はお礼を言って金属板と羊皮紙を受け取り、金属板を確認するとギルドカードだったので名前を確認しながら3人に渡した。 それから買取査定の明細が書いてる羊皮紙を確認して行き、金額を確認すると不審に思った。

誤字脱字がありましたらお気軽にご連絡ください。

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