ヤクモ村
「まぁちょこっと人、村人みたいのがいますよ。どうしましょうか?」
『ここどこですか? って場所を聞く』
『日本地図を頭に入れて、ここ何県のどこか? って聞く』
「ここ基本、対話のやりとりはできるんだけども」
「文字はまったく別物だね。カタカナでも英語でもないような」
「読めない。話はできる。そんな感じ」
『じゃあ聞くわ』
「村はね、ヤクモ村ってことで、普通の集落。まあ昔ながらの」
『何県?』
「県もわからない」
『全く県もわからないところ私、歩いているわけね』
「そう、知らない」
「一応人は、その中にあった畑とか耕してたりする。おじさんとか子どもちょこっといると」
「どうしたんだあんた? この村に何か用?」
『用じゃない。迷い込んだんです』
『とにかく今夜、泊めてくださいって言うね』
『次は5キロは遠いから、そこで泊めてもらう』
「だいぶ歩いたし当然、空腹にもなってくるから」
「じゃあまあちょっと、村の仕事を手伝ってくれたら、馬の土間に泊まっても良いよ」
「OKもらえました。そしたらじゃあどうする?」
『泊めてもらう』
「そのために一仕事手伝って。ちょっと調理とかちょっと畑とか仕事手伝って」
『します。畑でもするし、牛の世話もするし、何でもできますから』
「すごいまじめ!というか、すごく現実的やん。確かに食事もしないとね、無理もしない」
『食べさせてもらわなきゃいけないとなったから、なんでもします』
「一応の食事とかで水分もとれてそのまま」
「毛布とかないから、ワラみたいなものでそのまま横になって」
「屋根があればあれば雨はしのげます。雨が降ってなかったけど」
「これで畑仕事を手伝って、ちょっと食事も分けてわけてもらって」
「朝になります。2日目、どうしましょう?」
『二日目私、どこへ行くんだろう。どこを求めていくのか今困ってるよね』
86歳祖母、目的を失う。
『ここで泊めてもらった事は良いけど、また5キロ歩いて次の集落』
「もっとでかいお城とかそういう王都って言うのかな。そういう商業地帯があるよと」
『うーんそれともここにとどまってもいいわけでしょ?』
待って! それじゃあ王都の夫に出会えない! ヤバい!
『もちろん、もちろん。とどまっても大丈夫』
内心大丈夫じゃない。
遠征ってことで、奇跡的にこの村で対面っていうイベントにすれば何とか…。
『でももうちょっと大きい都会みたいなところがあるのなら、そこまで行く。また5キロ歩く』
「あー、すごい」
あぶねー、王都に行かないとゲームが終わらなくなってしまう。
用意した罠を発動させる。どう対応するか、楽しみだ。