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86歳の祖母、山の草むらで目覚める

 俺は須藤友也すどうともや、86歳の祖母、松田広子まつだひろこの家にやってきた。




 最近のなろう小説は爺さん婆さん転生が増えてきたが、ふと疑問ができた。



 ガチ高齢者をTRPGによって異世界転生させたなら、なろう小説と違う結末になるのではないか?


 ということで、実際にやってみた。





 今回の異世界転生TRPGはシンプルだ。

 魔法が使える中世ヨーロッパで、祖母が亡き祖父と20歳に若返り転生をして、二人が手と手を重ねると帰還してゲームが終わる。

 ステータスはなく、ダイスはほぼ使わない。所持金とアイテムだけで自由に行動してもらう。

 この帰還条件は伝えず、これがゲームだと意識しないで行動したらどうなるか、考えてもらった。



「じゃあ始めるね」


「若かりしばあちゃんのほうに生まれ変わって」


「別の世界へ行ったときにばあちゃんは果たしてどういう行動するのか、心理状態になるのかというゲームがしたい」


「ルールはもう簡単」


「どういう行動をするかというのは完全に自由だから」


「一応ゴールはある」


「こっちの日本で生きた経験は全部持ってる状態」


『この記憶はある?』


「使ってよい」


「気をつけなきゃいけないのは、今これがゲームであるって意識しないで」


「あくまでもゲームやっているから云々ではなくてその時、本当にそうなったら」


「知らなかったらどう行動するか」


『まあ私の人生も面白いけど』


「もちろん、それも聞きたいけどね」


『すごい面白いよ、一度離婚しているから』




 ここから、実際の異世界転生TPRGが始まる。終了予定は1時間だ。


「1人でテレビ見てました。そうしたら急に眠たくなって伏せました」


「気がついたら、森の中の平野みたいなところで伏してました」


「倒れています、どうするか?」


「今記憶を取り戻した時には、草むらにうつぶせになっている状態」


『いいんじゃない。すごく気持ちいい。そういうの最高』



 よくある異世界転生の、あコレ異世界だやったー! チートスキルは? がない。


「じゃあその後どうするか。どうするかは考えて」


『そうしたらまず、帰ることを考えるわね』


『この家に帰ること。今そこにいること最高』


『そういうところに居たことが最高で』


『でもそこに住むわけにはいかないから、帰ること考える』


『あれがね、海に浮かんでいたら嫌だけど』


「これは夢なんじゃないかなとか、あれ何かおかしくないとかって疑ったりはしない?」


『あー、ないないない』


『全くしない。割と素直に受け入れる』


『パっと起きて、ああいいところで私は昼寝した』


『でもここ、こっち(地球)じゃないやって』


『じゃあ帰ろうかな』


「って立ち上がった時に、体がやけに軽い膝も痛くない。あれ、おかしいぞと」


『それだったら私、歩くわ』


 86歳の祖母は膝の手術をして、深く曲げる事ができない状態だ。

 異世界転生で若い頃に戻れば、自由に体を動かす事ができる。



「手足が明らかにシワシワじゃない。動きが軽やかな状態」


『じゃあ若くなったと』


『これちょっとおかしい。私まず、夢かと思うね』


『夢かと思って若い時を、私は若いんだと思う』


『私そのものではあるけども、すごい若返って、いいな』


「草むらでふかふかしたのがあって、そこで起き上がりました」


「じゃあどうするか?」


『歩きます。下に降ります』


『あがってったら、もう終わりじゃん。上がったらまた下がらなきゃいけないから自然に降ります』


「山から下ってきました。どっちの方向にいきます?」


『右か左か』


「もしくは平野だったら森のある方、もしくは砂利道であったら、道があるだろうなっていうルートを通っていくか」


『みちなりに行きます』


「ちょっとボロい服を着ている状態、本当ボロボロ。手持ちは何にも持っていない。ただ、体がピンピンしている状況」


 ここから、異世界設定破壊祖母ルールブレイカーが始まる。

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