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◆第10話 関係修復はできました。

(7/1)投稿ミスにより9話を割込投稿し修正させていただきました。

ーー



 そしてなんだかんだあったおかげで、無事両親は仲良くなりました。


 その『なんだかんだ』については私も全部は知らない。

 なにせ一時中断はしたものの、時間をおけば言い争うといった中、徹夜で二人で話し込んでいたらしい。

 そのためいつもの夜のお父様のご訪問は今日は中断されていた。


 でも、問題はない。


 だってお父様はこれから昼にも来てくださるし、深夜にこだわる理由もなくなったもの。

 ひとまず両親の仲が修復されて本当によかったと私は思っている。

 協力してくれたウサギさんにも何かお礼をしたいと想った私はウサギさんにリクエストを聞いてみた。けれどウサギさんは『あれが痴話喧嘩っていうやつだよね! 社会勉強になったから全然いいよ!』と言ってくれた。

 私はその反応には苦笑いをした。

 当事者がそれでよいと言っているのなら構わないけれど、両親の痴話喧嘩が駄賃がわりっていうのは少々複雑な気持ちだ。

 屋敷の人たちは突然リブラ家夫妻がまるで恋人のように振る舞っている姿を見て皆が皆驚いていた。恋人どころかとうに夫婦で子供までいる間柄の二人なのだが、これまでの冷戦を考えれば不自然な反応ではない。

 でも、その詳細については全て憶測で伝わっている。

 お父様とお母様がいかに互いを想っているか言い合いをしたなんてことは、伝わっていない。

 ということは、お母様の側に控えていた女性は見たものを口に出さず飲み込んだということなのだろう。あの人が侍女だとしたら、主人のことをベラベラと喋るのは確かに良くない。

 ただ、そこから漏れないからこそ別の噂があちこちを巡っていたりもするのかもしれないが。

 そして両親の仲直りに一つ役目を買って出たことで、私は思ってもいなかった真実を知った。

 お母様との痴話喧嘩を中断した後、私とウサギさんを見比べたお父様は安心したように言った。


『でも、まさかエミリアが『神兎』の精霊の御加護をいただいていたなんて。エミリアがいい子だって言われたようで、私は嬉しいよ』


 『精霊の御加護』という言葉や『神兎』と言葉は初めて聞く言葉だ。首を傾げていると、今度はお母様が私に告げた。


『精霊さんが、いつでもエミリアと共にあり、助けてくださるということよ。『神兎』はこの方の種族よ』


 シント? なにそれ。

 よくわからないけど……ウサギさんが精霊っていうのは……?

 それを後日ウサギさんに確認したら、不思議そうに首を傾げられた。


『あれ、知らなかったの?』


 あれ、知ってる前提だったの!?

 けれど、私が気付ける機会などたしかなかったはずだ。そもそも、精霊という種族が実在していることすら私には驚きでしかない。


『でも、私もまだ生まれたてだから。母上みたいに人間に化けるのもあんまりできないから、人間観察をしてるの。そしたらある日、すごく綺麗な声が聞こえてきてびっくりしちゃった』


 当たり前のように言われたけど、精霊っていうのがいることを知るチャンスなんてなかったからね!?

 そもそも精霊ってどういうものなのかわからないんだけど……って思ったけど、ウサギさんみたいな者のことなんだろうなと思い直した。実際ウサギさんに尋ねてみても『私みたいなの!』と言われたし。

 そして精霊発覚以降もウサギさんは私の元にやってきてくれて、一緒にお花を摘んだりしている。

 ウサギさんからすれば隠していたわけじゃないんだから、それも当然なのかもしれないけどね。

 私も前よりお母様と一緒にいる時間帯は長くなっているけれど、相変わらずお昼寝の時間は確保されている。

 以前は深夜だったお父様の訪問も日中となったので、夜にぐっすり眠れるし問題もない。


 そうして私は毎日を楽しく、すくすくと成長し、あっという間に五歳になっていた。



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