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成長者の話

 さんかくの者は、どこか懐かしむような様子で話し始めた。


「前のことは知りゃしないけど、あたしが舞台に立った頃には、さっき言った三人の誰かが到達するだろうって噂されてたんだ。」


 いびつな者は、その三人とは支配者、統合者、選択者のことだと思い出しながら、こくこくと頷いた。


「まあ、無理もないことさ。初めから力を持っていた奴らは、みんな支配者に降ってたし、だんだんと力をつけていった奴らは、統合者と一緒になっちまってた。他のちっぽけな奴らときたら、選択者のところに集まって、喚いてただけなんだからね。自慢じゃないけどね、あたしも小さな存在だったからなんだろうけど、選択者からのお誘いだってあったんだよ。」


 いびつな者は、体を傾けて、ふんふんと聞いていた。

 理解しようとすると、そうなるらしい。


「道筋は、ひとつではないのだよ。果てしない数の道がある。見つけられない者もいるが、確かに選択肢は広がっている。」

 まるい者が補足する。



「まあ、そういうことさ。なんにせよ、あたしは選択者の道に寄り添うなんてごめんだった。もちろん、統合されるのも、支配されるのも、選ぶはずありゃしないよ。あたしは、あたしで大きくなっていくことにしたってわけさ。」


 さんかくの者は、話しながら不機嫌になっている。

 まるい者が、やれやれという態度で声をかけた。


「どういった経緯かは問題ではない。重要なことは、均衡が崩れたということだ。つまり、第四勢力の台頭だ。」



 さんかくの者は、ふんと鼻を鳴らして言った。


「成長する者が結果的には強いってこった。より良くなることがね。つまりね、あたしが勝ったのさ。徹底的にね。」



 いびつな者は、興奮した様子で聞いた。


「さんかくの者が一番大きくなったんだね。だったらさ、まるい者とさんかくの者だったら、どっちが大きいの?」





 部屋全体に沈黙が横たわったように、静かな時間が流れた。




 始めに沈黙を破ったのは、さんかくの者だった。


「なかなか鋭いね。その答えは、説明が難しいのさ。旦那とは、さんざんぶつかってきたけどね。ひとつ確かなことは、どっちが大きいかなんて、問題じゃないのさ。」


 まるい者も同意する。


「君には、まだ理解できないかもしれないが、大小の比較には意味などない。しかし、答えは、すぐそこまで来ている。」



「そんなんじゃ、この子には分からないだろうよ。いいかい?むかしは、ここにも色んな奴がいたんだ。それが二人になった。今は三人だけどね。まあ、分かりやすく言うとね、だんだん良くなってるってことさ。」



 いびつな者は、今では倒れそうなほど傾いて聞いていた。

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