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5話

その夜、シャワーを浴び終えた光牙はスマホを手に取る。当然のように開くのはあのチャットアプリ。ミクからのメッセージが届いてないか気になっていたのだ。通知音があまり好きではない光牙は全てのアプリの通知をオフにしてある。


『こんばんは、竹内さん』


記録を見ると数分前に彼女からメッセージが届いていた。


『ミクさん、こんばんは』


『何も話題はないのですが…メッセージ送ってごめんなさい』


『いや、そこ謝るとこじゃねーし。んじゃ、俺が話題考えるから』


『嬉しいです』


嬉しいのは、こんな囁かなやり取りを嬉しいと言われた自分の方だと思う。


『今日さ平手打ちくらったって話しただろ?その相手が俺の事自分のクラスで話してやがんの』


『え?それはどういう…』


『竹内は乱暴男とか詐欺師だとか、見た目に騙されんなとかさ。俺からしてみたら乱暴なのはどっちだよって話なんだけど』


『酷い…。竹内さんは傷つかないのですか…?』


『慣れてるから?何とも思ってない相手に何言われようがどうでもいいんだけど、ありもしない噂流すのはルール違反じゃね?とは思うね』


『私が竹内さんの立場だったら泣いてしまいます…。竹内さんの事何も知らないのにこんな事言うのは失礼かもしれないですが、私は貴方が心配です…』


誰かに心配されるのなんて何年ぶりだろうか。同じクラスの男子からは妬まれ、女子からは理想を押し付けられる。本当は傷ついているのかもしれないこの胸、それでも泣いてる暇なんかなかった。親にだって言える筈ないだろ?だから見ず知らずのチャット相手にこんな事を話しているのだ。


『ありがとう』


気付けば人差し指がそう文字を打っていた。素直になれない自分は普段礼を言う事だって滅多に無い。

だが彼女の優しい言葉に初めて他人に感謝を覚えた。


何故だろう…彼女が本当に女性なのかも分からないし年齢も顔も何も知らない筈なのに、話をする度に心が穏やかになる。

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