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4話

『ではまた連絡しますね』


『おう』


相川美久は慎重な面持ちでスマホをスリープモードにした。自分はネットの中でも現実でも直ぐに人を信じてしまう。裏切るより裏切られる方がマシだと思って生きてきたが、この前のチャット相手はあまりにも酷かった。危険だから駄目だと分かってはいたが、このアプリで連絡先を交換してしまったのだ。そこからは悪夢のような日々が始まった。毎日のように体の写真を求められ、その度に「次は必ず普通の話をする」と言われ、その言葉を信じ写真を撮っては自己嫌悪に陥る。そして仕舞いには「動画を撮れよ!」と怒り口調でメッセージが届き、彼女はついに泣き崩れた。終わりの見えない毎日、自らの写真が流出しないかという不安、いつになったら約束の『普通の話』をしてくれるのか……そこで彼女はやり取りを終える決意をした。

もう二度と人を信じないと心に誓ったが、寂しさで溢れた心の行き先は再びネットの中であった。


美久は自身の容姿に全くと言っていい程、自信が無い。だからこそ余計にネットに取り憑かれているのだ。現代病とも言えるこの精神的な病は治るのかさえ分からなかった。


今やり取りをした『竹内さん』はぶっきらぼうな口調だが見ず知らずの自分に優しい言葉をかけてくれた。ただそれだけの事なのに、ズタズタに傷ついたこの心は修復を求めようと彼にすがろうとしている。


駄目だと分かっている…こんな自分勝手な理由で利用するのは相手に申し訳ない…それでも……


少しだけ…彼の言葉に甘えてしまいたい。


こんな自分でも生きてる価値があるんだって、実感したい。

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