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3話

『ところで、何て呼べばいい?』


『あ…私の事はミクと呼んで下さい。そちらは?』


『俺は竹内でいい』


『竹内さん』


本来ならハンドルネームを教える所だが、今回は何故か本名を名乗ってしまった。相手はどうだか知らないが、名字くらいなら教えてもいいと思った。


『竹内さん優しいんですね』


『俺が優しい?』


『はい。見ず知らずの私の話、親身になって聞いて下さいました』


『いや…つか俺、口悪くね?』


『ふふふ』


画面の向こう側では彼女は本当に笑っているんだろうか。口調が悪い自分とは真逆で、ミクと名乗る女性は物腰柔らかな雰囲気が漂っている。

明らかに自分のクラスメイトには居ないタイプだ。今の時代、学生でも当然のようにスマホを持っていてLINEの既読がどうのこうの煩い。敢えて既読にしなかっただけでも、未読スルーだとか無視だとか煩わしくて仕方ない。

それに女子だというのに男と同じ口調で話したりする人間もかなり居る。それを悪いとは言わないが、もう少し女らしくしろよと心の中で思っていたのだ。


『もし宜しければ、これからも連絡していいですか…?』


『さっき言ったろ?俺が話し相手になるって。他は辛い事とか無いか?』


『本当にいいのですか…?これではただの愚痴になってしまいます』


『たまには愚痴吐いてスッキリした方がいい。ここでは溜め込むなよ?』


『っ、ありがとうございます…!』


文字だけの第一印象はよく礼を言う人だなという事。そしてそれは彼女が心の優しい人間だという証。

光牙はこの数分のやり取りで彼女の本質を見極めていた。単純にこれからも話したいと思える相手にようやく巡り逢えたのだと思った。

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