4話 スキル
(おーでたでた。何々…おお、かなり良い数字でてるじゃん)
(そうなのか? この数字が高いのか低いのか、全くわからん。あとこの減ってるパラメーターはなんなんだ?)
目の前に古代文字みたいなフォントの数値が現れた。
これは…ルゥの《解析者》の解析結果が《思考共感》で俺の視界に反映されているということか。フォントの字体は、ルゥの思考が反映されているんだろうなぁ。
んで、表示されているのが俺のステータスってことか。
ふーむ。数字としては4桁の数値がぞろぞろと並んでいる。
数値だけ見るとそこそこよさげなカンジだが、このステータスが相対的にみて、高いのか低いのかわからない。これはおいおい、検証していくか…
レベルに関してはしょうがない、俺この世界で何にもしてないからなぁ。この流れで普通に考えたらモンスターかなんかを狩ってコツコツ経験値を貯めてレベル上げをするところなんだろうが…
ん、LPってのが少し減ってるな。
(1000を超えるパラメータを持つモンスターは、なかなかいないよ〜! 1つでも超えてたら、相当上位のモンスターだからね。レベルは1なのは、まだ転生したてで、経験を積んでないからだよ。
減ってるのはLPだね〜。これは生命力のことで、生きてると自動で減っていく。
0になったらこの世界から完全に消滅しちゃうから、定期的に補充しないとダメだよ)
あっ、雪山登ってた時の、あの身体から何かが抜け落ちていくような感覚はこれか!
全部なくなったらとんでもないことになるような気はしてたんだが、死ぬとは。
(LPね! なんか雪山で陥ってたあの変な感覚、不安だなぁと思ってだがそれか! あぶねー聞いといてよかった)
(普通ならLPが減少しても何も気づかないはずなんだけどね。自らの霊体に対してかなり鋭敏な感覚の持ち主んおかもしれないね。
あと大切なことは、LPは他の命を奪い、自らに取り込むことでしか補充できない。すなわち、食事!
ちゃんと食べなさいってことだね)
(マジか! って俺はどうすればいいんだよ。実体化できるのはわかったけど、霊体の体でも食事できるのか?)
(食事は霊体でもできるよ。相手の生命力を吸い取ることができるからね。どちらかというと難易度の問題かなぁ〜?
霊体は基本的には弱い存在、実体はないし、精神攻撃が主体の種族だけど、下位の霊だと相手を不快な気分にする程度の精神攻撃しかできないくらい弱くて、生きてるだけで大変!っていいたいところだけど、ソウルイーターなら話は別。憑依した人の心を好きに操って、好き放題できちゃうよ)
ほう、ソウルイーターって結構強いみたいだなぁ。にしてもハハ…精神攻撃ですか。
説明だけ聞いたらえげつねーな。
(名前は・・・まだないみたい。おかしいな? 転生者なら名前が出るハズだけど。)
(あー名前が無いのは多分あれが理由だな・・・実はこの世界に転生する前にこういうことがあってな・・・)
ここに来る前に、俺は記憶を消されている。おそらくその影響だろう。
ステータスを読む程度では、簡単に自分の正体にはたどり着けないらしい。
(多分。転生を司る神様だったのかもしれないね。聞いたことあるもの、世界を外側から管理してる神がいるって話。直接世界の中に介入できないから、神の意思を継ぐ代行者を送り込むんだって)
確かに尋常じゃない気配を漂わせてたもんなぁ。今の自称女神とはえらい違いだ。
意思がどうこうって話はよくわからないが、世界を救って欲しいと願いは、どういう意図だったのか気になるところだ。俺の記憶を奪った理由も。
そのあたりは、いずれ、解明していくことにしよう。
(ステータスは良好!! 種族はソウルイーターだし。なかなか前途有望そうだよ!)
(いやほんと、ありがたいっす! ソウルイーターってのはどんな種族なんだい?)
(死霊に属する魔族の一種だね。ソウルイーターはその中でも上位の存在! 魔力、精神だけでなく魂さえも操り、貪ることができる種族だね。種族特有のスキル…エクストラスキルを使えば、魂に直接干渉できるんじゃない? 体や精神でなくて、魂に干渉するスキルってのは、中々レアなんだよ〜?
エクストラスキルは特徴的なスキルが多いし、強力だから、それを生かすように、ノーマルスキルを取得していくのがいいと思う! レベルを上げるとスキルポイントがもらえるから、それでスキルを取得できるから)
なるほどな、種族特有のスキル・・・エクストラスキルを生かすようにすればいいのか。
(《解析者》! 、エクストラスキルの解析ってもう終わってる? 途中まででもいいから教えてほしいんだけど)
『はい、エクストラスキルの解析は終了しております。『物理完全無効』『物質透過』『状態異常無効』『魂を貪りしモノ』『スピリチュアル研究者』、以上の5つのスキルが確認できます』
『物理完全無効』『物質透過』『状態異常無効』
この3つはなんとなくイメージがつく。
身体がないから、物理ダメージは受けようがないし、物を通り抜けるのも簡単だ。
『状態異常無効』ってのは、毒とかそういうのが効かないってことだろうか?
それも身体がないことによるメリットみたいだな。
『魂を貪りしモノ』ってなんだえらく物騒な・・・魂を食うって言われてもなぁ。
まぁ人間だった頃の食事だって、広い意味では命を頂いていたわけですけどもね。
具体的にどういう能力なんだ。
『スピリチュアル研究者』ってのはうって変わって、なんか胡散臭いTVに出て来る怪しい出演者という感じしかしないし。
『『魂を貪りしモノ』は対象の魂を食うことで、スキルを自らに取りこむことが可能になるスキルです。『スピリチュアル研究者』は精神系のスキルに対して、取得ポイントが5分の1になり、スキル効果が1.5倍となるボーナスが付きます』
ほう、ということは魂を食べれば強くなれるってことか。どちらにせよ食わないと生きていけないワケだし、どうせ食うならボーナス付きの方が、おトクでいいよね。
あと『スピリチュアル研究者』 これもめちゃくちゃおトクじゃない?
(おー『スピリチュアル研究者』きてるね!! いいじゃん! 実体化スキルがあるとはいえ、亡霊の戦闘スタイルの基本は精神支配や、憑依の精神系スキルが大半だからね〜! 種族の特徴を最大限に活かせるいいスキルですよこれは・・・)
にしてもワクワクしてるなぁ女神様
(実は私、精神系スキルに関しては一家言あるのよね〜! 戦闘はからっきしだったけども、精神支配に関しては対したもんよ?! 国ひとつを一夜にして肉欲溺れるピンク一色の街にしたことだってあるんだから!
だからもう精神系の序盤スキル振りについてはホント、全面的に信用してほしい)
うわ〜なんか嫌な予感してきた。
こいつの好み通りにスキルを取り続けると、エロ亡霊としての道を歩んでいくことになる気がする。
参考にはしても、あまり鵜吞みにはしないようにしよう。
『スキル解析全て完了しました。
ノーマルスキル :『闇魔法Lv1』『憑依Lv1』『隠密Lv1』
エクストラスキル:『物理完全無効』『物質透過』『状態異常無効』
『魂を貪りしモノ』『スピリチュアル研究者』
オーバースキル : 該当なし
レジャンドスキル: 該当なし
ゴッドスキル : 『救世主』
ユニークスキル : 『悪魔の頭脳』『ー』『ー』
ユニークは、現在2種がスキルが解除されていない状態のため、確認できませんでした
スキルポイントは現在100ポイント』
(おーーー! ユニーク3種持ち!! マジでバケモンだよこれ!!)
(バケモンいうな、確かにお化けだけど。というかどういうことか俺にも教えてくれ。まずノーマルとかユニークとかの、区分わけってどういうわけ方なんだ?)
(ノーマルは普通のスキルだよ、スキルポイントを消費して取得できるのはノーマルだけ!
エクストラはさっき説明した通り種族のスキルだからね。基本変わることはないけど、進化したりすると新たにスキルを取得したりする場合もあるよ
オーバーは前提スキルを取ることで発言するスキルだよ。ノーマルやエクストラといったスキルを組み合わせて取ることで発現するスキルだね。
レジェンドは伝説を元に、その力が具象化したスキルだね。
武具についてることが多いよ。『ドラゴン殺しの剣』とかね。
ゴッドは神の祝福によって与えられるスキルだね。
『救世主』を持ってる奴に、私は過去に私もあったことあるから、後で詳しく教えて上げる!
ユニークは魂に刻まれたスキルだね。このスキルは何に転生しようが何度産まれ変わろうが消えることはない。持ち主の本質を表したスキルだよ。
ユニーク3つ持ちは初めてみたよ。一体前世が何者だったのか、私も俄然興味が湧いた!)
『『悪魔の頭脳』による効果は大きく分けて2つです。
一つ目は、思考領域に関するボーナスです。
思考領域に500%の領域ボーナスと、思考評価値を2段階上げるボーナスがかかります。
二つ目は、スキルポイント取得のボーナスです。
レベルアップの際に取得できるスキルポイントに+5のボーナスが付きます』
(ぶっこわれじゃん! そんな賢そうな感じでもないのに、ホント前世がなんだったのか気になるわ〜!!)
(そんな酷い言い方すんなよな。にしてもかなりよさげな感じのスキルっぽいな)
(・・・上手くスキル振れば、今すぐ《解析者》使えるようになるよ)
(本当かよ。それは助かる!! 取得の仕方。教えてくださいっ!)
《解析者》が今すぐ使えるようになるとな?!
それは助かる!
今はルゥに《思考共感》スキルを発動してもらったうえで、《解析者》を使用してもらっている状態だもんな。
この能力が自分で使えるようになれば、とても心強い。
この転生したてで謎だらけの世界を生き抜いていくうえで、これほど頼りになるスキルは他にないだろう。
いいじゃない! 最初はコイツを取ることにしょう。
すると、ルゥは俺の霊体から手を離した。
すると、ルゥの思考と繋がっていた感覚がなくなる。
《思考共感》が解除されたようだ。
「オッケー、《解析者》取ることにするよ」
「よしよし! じゃあ《解析者》の前提スキルを取っていこうか! ほとんど『スピリチュアル研究者』の恩恵を受けることができるスキルだから、なかなかいいスキル選択だとおもうよ〜!
じゃあまず『スキル取得したい!』 って頭で考えてみて!そうしたら取得スキルをどれにするのか選択できるから」
ん? スキルを取得したいと考える・・・? 頭で考えればいいのか?
《解析者》を取得することは、この世界で生きていく上でとても重要なことだ。
これがあるのとないのでは、これからの生活に明確な差がついてくるだろう。
だから俺は《解析者》を取得したい! 文明的な生活がしたい!!
そう思うと目の前の空中に光る文字が描き出された。ツリー状になっている大きな表だ。
巨大な表のほとんどは暗く光る文字となっているが、右端に《解析者》の文字が赤く表示されており、その左側には、そこに繋がるいくつもの赤文字のスキルが描かれていた。
そして1番左側に、黄色く光るスキルが何個か存在している。
この表は見覚えがあるな・・・所謂、スキルツリーってやつだ。
文字が光っているスキルの中で、《解析者》は最も右側にあるということは、左側のスキルは全て前提スキルなんだろう。赤は前提スキルを取得するまで取得不可能なスキル。黄色は1番左側に表示されていたから、今取得可能なスキルということだろうな。
では《解析者》スキルの前提スキルを、取得していきますか・・・
よし! これで前提スキルは全部取れたはずだ。
取得スキルの状況は・・・と。
おお、スキルツリーが現れたぞ。
先ほどのほとんど暗い文字しかなかったスキルツリーと違って、一部の文字が緑色に光っている。
間違いない。この緑色に光ったところが取得スキルの欄だろう。
《解析者》の前提スキルは大きく分けて二つ。
一つは精神系スキルの『調査』に関するスキルをいくつか。
もう一つは知覚系の『思考』に関するスキルをいくつかだ。
『調査』に関するスキルは以下の6つ
『調査』『高度な調査』『調査範囲拡大』『隠密』『隠蔽』『隠密調査』だ。
スキルの最大レベルは5までということで、前提条件はこれら6つのスキルのマスターとなっている。
よって全て最大のレベルまで上げることにした。
『調査』は対象を選ぶと、そのパラメータなど様々な情報を調べることができる。
『調査範囲拡大』で、俺の調査の対象範囲は拡大に増大し、俺の半径10km以内にいる対象はいつでも自由に調べられるような状況だ。
『高度な調査』によって、調べられる情報も『隠密』や『隠蔽』を使用しているものに対して、有効だ。
内容も最も成功が難しいユニークスキルまで調べることができる。
だがルゥ曰く、オーバーやらユニークといった上位スキルで隠蔽されると『高度な調査』でも調査失敗することはあるようなので、過信はしないでおこう。
『隠密』と『隠蔽』は対『調査』用の防御系スキルらしい。
『調査』スキルを使用された場合、『隠密』は調査対象から隠れる。
あと地味に嬉しいのが、『隠密』スキルを使用すると、俺のこの黒いもやもやした煙状の身体がみえなくなる。不可視化できるようになるのだ。これは便利。
『隠密』の度合いを上げると、不可視だけでなく、魔力感知や生物探知にもひっかかりづらくなるので、潜伏などに便利のようだ。
『隠蔽』は嘘の情報を相手の『調査』に反映することができるそうだ。
これも『神眼』や『慧眼』といった上位の調査スキルを使われると、看破されてしまうらしい。
やはり過信は禁物だ。
『隠蔽調査』は通常の調査とことなり、相手に気づかれることなく調査ができるなかなか強力なスキルのようだ。
ただ『隠蔽調査』は通常の『調査』と異なり、調査範囲が圧倒的に狭い。
『スピリチュアル研究者』の恩恵を受けているとはいえ、それでも『隠蔽調査』の範囲は俺の半径300mってところだ。
以上のスキルが調査に関するスキルだが、このスキルのいいところは、調査をすると経験値がもらえることだ。
《解析者》に周囲の調査をセットしておけば、常時発動中となり、常に経験値が手に入る。
これは有効活用するしかない。周囲の警戒になるし、一石二鳥だ。
もう一つは『思考』に関するスキルで、以下の6つ。
『高速思考』『思考の効率化』『高度な思考』『並列思考』『自動演算』『思考防御』
6つともスキルレベルを5レベルまで取得し、マスターしなければならない。
『高速思考』『思考の効率化』『高度な思考』の3つは思考評価値を上げるスキルだ。
思考評価値はE-から始まり、1段階評価が上がるごとに、E、E+、D- と上がっていく。
3つのスキルを全てマスターすると、15段階評価があがるので最終的な評価はS- となるハズところだが、俺はユニークスキル『悪魔の頭脳』によって評価値が2段階あがるため、最終評価値はS+まで上がる。
この評価値が1つあがるにつれて、思考スピードが10%上昇するのだが、Aの段階から上昇が30%に増加し、Sになる際には50%の増額ボーナス、S+になる際には90%の増額ボーナスがつく。
なので、全部足しこむと思考スピードに400%のボーナスがつくようになっていた。
単純に頭の回転が速くなるだけではなく、ルゥ曰く、戦闘時にもなかなか使える便利なスキルらしい。体感スピードを遅くして、周囲のスピードを4分の1にしたりできるようだ。
あと、『高度な思考』を取得すると、思考領域は高度な思考領域へと進化するらしい。
高度な思考領域でないと使用できない魔術や秘術がたくさんあるので、これも必須スキル。
『並列思考』は脳の思考領域を思考単位で分割し、マルチタスクで作業ができるようにすること。
片方で『調査』をしつつ、片方で『黒魔術』を詠唱ということが可能だ。
1レベルごとに思考領域が一つ増え、元々あったものと加えると計6つとなっている。
これについても、『悪魔の頭脳』により領域ボーナスが入る。500%の領域ボーナスが入るので、思考領域一つで600%の思考作業が行える。それが6つだから、合計で3600%分の思考作業ができるということ。
魔法や計算などといった作業に応じて思考領域は占有されるため、思考領域は広ければ広ければいいという話。
『自動演算』は『並列思考』の自動化が可能となるスキル。
『思考防御』は文字通り、思考の防御で、相手の洗脳やら思考のハッキングなどに対して必要なすきるということだそうだ。
これで前提条件のスキルは全て整った。
スキルツリーの《解析者》を選ぶと、以下のメッセージが現れる。
『《解析者》取得のための前提条件がクリアされました。今すぐ《解析者》を取得しますか?』
俺は迷うことなく、取得を選んだ。
するとその瞬間、視界が暗転した。
スキル考えるの楽しい!