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異世界転生。最強の亡霊になった件  作者: 蒙古
第1章 亡霊覚醒編
2/7

1話 雪山

「……おぉ!」

 気がつくと、周囲は一面の雪だった。

 とうとう来てしまいましたよ異世界。

 というかおおってなんだよおお!って、我ながらもうちょっと気の利いたこと言えないかなぁと落胆した。異世界だぞ異世界。


 周りを見回してみると、木だらけだ。鉄板が見えないくらいの針葉樹が沢山生えている。そして全ての木に雪がこんもりと積もっていた。


 ちょっと巨乳のねーちゃんは?! 全然リクエストに答えられてねーじゃねーか!! 木と雪しかねーぞ!!

 

 とりあえず、人を探すしかないか…

 異世界転生して、いきなり凍死っていうのも嫌だしね。とりあえず人影を探すために、この森? というか雪山? を捜索してみることにする。
















 辺りを1時間ほど探し回ってみたが、人っ子1人いない。

 つか、生き物すら見かけないんですが?

 どういうことなんですか? あの白髪少女、今度あったらぶっ飛ばす。


 しかもこれ、完全に遭難パターンだわ。むやみに探し回ったせいで、自分がどの辺からここまで来たのか本当に検討がつかない。




 とりあえず、彷徨ってみて分かったことが2つ。


 1つ目は、ここは雪山だってこと、歩いていると斜面になってるし、崖もいくつか見かけた。


 遭難してる時は下山したら余計に迷うって話を何処かで聞いた気がするので、一先ずは山頂を目指そうと思う。

 山頂までいけば、山頂から見下ろせば人里の明かりやら、集落らしき場所がわかるかもしれないし。


 次に2つ目のわかったこと。これがわかった時は、かなりのショックだった。


 …どうやら俺は身体の実体がないらしい。


 いやね。おかしいと思ったんすよ。

 なんか手足がない。よくみると身体が黒いもやもやの煙の塊みたいになっている。どうりで雪道歩いてる筈なのに、足跡がつかないし、吹雪いても雪が身体をすり抜けるわけだ。

 体調面でも、こんな寒い山の中、まったく寒さを感じないところとか、ホントにおかしいとおもった。

 オマケにさっき、雪崩にぶち当たったら、無傷だった。


 いや本当にね。雪も雪崩も、俺の身体をすり抜けていくので、もうビックリしたのだのなんの。

 実体がないことを嫌でも痛感した。

 一体自分はどうなってしまったんだろう。少なくとも人間ではない。

 だけど、身体の実態がないおかげで、雪崩がきても生きていられるのも事実だし、うーむ



 ひとまず、すぐに寒さで死ぬことはなさそうだ。身体がなくなったことで、どういう影響が出るのかわからないからなんとも言えないが、今の状況でのこの身体は、なにかと都合がいい。


 あと、雪山を彷徨っている間に、記憶についてもいろいろ考えてみた。


 記憶については、全ての記憶を忘れているということではなく、忘れているのは、自分や家族、そして友達のことを、完全に忘れているということがわかった。

 そして産まれてきてから今までの記憶がとても朧げだ。


 少なくとも人間に生まれたのは間違いないハズだ。

 この実体のない身体に気付いた時に『俺、人間じゃない!?』

 ととっさに思った。それは自分が元々人間だったということだろう。


 あとは男性に産まれ、日本育ち…のハズなんだが、記憶がおぼろげなため、定かではない。

 日本語を使っているし、女性にモテたい。と思うということは、そういうことなんだろうと推測している。

 女性のことを好きになる女性もいるので、100%間違いないとはいえないが。少なくとも心は男性だったハズだ。

 社会常識、ニュース、歴史、衣食住に関することといった知識に関することはバッチリ覚えていた。

 自分が日本人だったんだろうなというのも、この覚えている知識を元に予測している。

 知っている知識を解き明かしていくことで、もっと自分のことがわかるようになるかもしれない。

落ち着いたら、しっかり自己分析してみよう。


 あとは、あの銀髪の少女に頼まれたこと。世界を救って欲しいということ。

 救って欲しいということは、救われなきゃいけない何かがあるってことだ。

 この辺も見極めていかないとな。




 とりあえずいまは、山頂を目指すしかない。
















 

 うむ。登頂に到着!

 慣れない身体に面食らったが、実際に動いてみて気づいたことがある。

 結論からいうと、この身体(?)とても便利。

 便利な身体のおかげで、山頂へは、想像以上に早く到着した。


 身体の実体がなくなって最初は驚いたが、考え直してみると便利だ。


 まず、身体が疲れることがない。疲れる身体がないのだ。

 いやでもほんとこれね。ビックリする。眠気もなにも感じない、疲れるってこと一切なし、眠気も空腹もないからな。

 ただ、疲れないかわりに、何かが自分の中から少しずつ抜けてしまっていくような感覚がある。

 もしかすると、疲労がないかわりに、別のところで、何かを磨耗してしまうようなことになっているのかもしれない。


 ひとまず安心するのはまだ早いようだ。まぁしょうがない、この世界の自分が何者かどうかすら、よくわかっていないのだ。

 この身体の仕組みも全然把握できない今、肉体の疲労がないからといって慢心するわけにはいかない。


 まぁそれにしても、メリットも多いのは事実だ。山頂までノンストップで山登りできたのもこの身体のおかげと言ってもいい。生身の身体だったら確実に空腹で死んでた。その前に吹雪で凍死してただろうけど。


 次に便利だったのは、身体が浮かすことができるってこと。

 足がないので、移動中のイメージとしては、地面の上をホバリングしている感じに近い。これだけでも、かなり便利だ。悪路を気にしなくていいから、歩きにくそうな場所でもスイスイ進めた。

 そんでもって切り立った崖が目の前に現れたモンだから、どう登ろうか色々試してみた。

 ……そうやって四苦八苦してると…登れた…!


 おかげ様で、結構この山、高さがあったと思うんだが、わりとすぐに登れた。

 山頂は三角の天辺!っていう狭い場所ではなくて、凹んだ広いスペースが円形に広がっているイメージだ。

 大昔は火山の火口だったんだろうなぁ。今は岩がごろごろ積み上がっている。

 すげぇなぁ俺、登山家になれるぞ俺。


 ただ1つ、極めて重要な問題があった。


「……山しかねぇ」


 山しかないんです。見渡す限り山しかない。

 山頂から見える景色は真っ青な空と、周りでそびえ立つ山々だけだった。俺がいる山が周囲の山の中で1番高いようなので、眼下に山脈が広がっている感じだ、それが俺のいる山の周りを取り囲むようにそびえ立っている。

 あと太陽が2つある。白く光る太陽とオレンジ色に光る太陽。連星っていうのか?

 これで少なくともこの世界は、地球じゃないってのは確定だ。

 綺麗な空と眼下に白い雲の雲海が広がっていて、いやもう間違いなく絶景。綺麗で感動するワンシーンではあるんだが、それしかない。

 人間の気配皆無。

 山まで登れば麓もよく見えて、人里を確認できるかと思ったんだが、麓とか絶対ムリ、眼下は雲しかみえねぇ。


 とりあえず景色での人里確認は諦めた。あとはどこに向かって降りるか適当に決めるだけなんだが、せっかくなのでここで夜を過ごそうと思う。

 だって本当に綺麗な景色だしな、青空だけでなくて、夜空も堪能しないと勿体無い。


 そこで、山頂をしばらく探索することにした。













 ……なんかやばそうなヤツ、発見しちゃった。

 クリスタル?のような水晶がガチガチにひっついた分厚い金属の扉が、山頂のど真ん中に立っていたのである。それもこれまた仰々しい大きな鎖で何重にも括ってあった。なんだよこの鎖。船繫ぎ止めるやつじゃねーか

 にしても不思議なのは、扉だけ立っていることだ。

 某猫型ロボットアニメのひみつ道具と同じ、扉しかない。

 そう不思議に思って突っ立ってると、扉の中から声が聞こえてきた。

「…誰か、そこにいますかぁ〜?」


2話なのに短めですいません。

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