第5話 負けを知った時、人は獣として目覚める
前回、鎧先生と戦って強くなりました。
あと、悪魔の巫女がかわいいです。
目を覚ませば、悪魔の巫女が膝枕をしていた。
「おはようございます」
私の頬を両手でぎゅと抑えていた。
「……おはようございます」
私が起き上がろうとすると、悪魔の巫女は両手でぎゅと抑えるのを止めてくれた。
私は、不死者の水を補給して、石碑の前に行き祈る。
その時、村に入った場所からスタートしたいと願った。すると、本当にスタートすることができた。ど
うやら、チェックポイント的な役割を果たしているのだろう。目の前には木でできた家が見える。村だろう。集落ともいえる。
私が大好きな狩りゲーを出しているサバイバルホラーゲームを思い出させる村だ。
そして、視界が悪かった。
「わんわん」
犬の鳴き声。私は嫌な予感がして家の中に入った。
「……ひぃいひいい」
肌はしわしわでミイラとも言える。髪は後ろで束ねていて、服装から女の人とわかる悪魔の下僕が包丁で襲い掛かってきた。
見た目はミイラで動き悪そうなのに、機敏だ。生きている人とかかわらない。
タックルで押し倒して、目の前にあった階段を駆け上がる。
「……ぐぁぁぁあ」
またミイラみたいな悪魔の下僕。手に何も持ってないが襲ってくる。
手に持っている槍で突き刺した。
包丁を持った悪魔の下僕が階段を上ってきた。素早い。でも、射程はこっちが勝っている。私は悪魔の下僕を突き刺して灰にした。
私は魂を手に入れ、窓の外を確認。敵がいないことを確認すると、隣の家の屋根に飛び移る。
「……よし」
私は周囲を確認して屋根から屋根へと飛び移る。
かたん
物音がした。音を確認するとはしごがあった。しかも、数が多い。悪魔の下僕がはしごを上って私に迫って来のだ。
1体だけなら弱いが、数が多いと勝てる自信がない。
はしごを蹴り落として、槍で突いた。
「うっ」
槍を掴まれた。私はやりを思い切って引っ張った。けれど、複数の悪魔の下僕が協力してひっぱったので、私は屋根から落ちた。
「……痛い、痛い」
私は悪魔の下僕に蹴られた。包丁で何度も刺された。私の手と足を抑えて何度も何度もHPが減るまで包丁で突き刺した。
鎧を着た悪魔の下僕を倒した後も悪夢は続いた。
「……」
瞼を上げれば悪魔の巫女がいた。
膝枕されていた。
「……大丈夫ですか」
「……うん」
うなずくことしかできなかった。私は起き上がると、霧に覆われた村へと向かった。
「……」
神殿にいれば安全で痛い思いをしないのだろう。でも、私は前へ歩いた。ここを踏破しよう。
もし、ここで諦めたら、私は自分に負けたようなきがするからだ。
そして、この後……犬に囲まれて喰われて灰になった。身を引きさかれる激痛は悪夢だった。
でも、あきらめなかった。何度も死にながら進むべき道を探す。悪夢だけど、前に進むしかない。
探索から4日経過して、ある程度安全なルートを覚えてきた。
それに従って進み、配置パターン覚えて、敵を奇襲。
私は背後から悪魔の下僕を斧で襲う。振り下ろされた一撃は、目の前の悪魔の下僕に当たって大きなダメージを出して灰になったる。
何度、この工程を繰り返したかわからない。たくさん……殺した。敵が不死者というのもあると思うが、殺すことに重みを感じなくなってきている
私は着実に強くなっていた。けれど、私は殺すたびに自分を何度も何度も殺していた。
戦いは敵を殺して愛する人を殺すものだと言った人がいる。そうかんがえれば、私は誰かを殺すたびに、自分の中にあったぬくもりを殺しているのかもしれない。
ただ、その代償は私に力を与えてくれた。確実に強くなっている。
最初の1日は弱い悪魔の下僕に数に押されて何度もころされていた。10体じゃない。何人いるんだと思う数の敵が襲ってくるのだ。
とにかく、村に入ってから、さらに過酷な戦いを強いられていた。
数にもくるめられたが、囲まれない戦いを覚えて辛くなくなった。
しかし、犬は別だった。あいつらも、不死者なので灰になるので、何度も出てくる。さらに、攻撃する武器の長さを見て間合いを取るのだ。
そのため、右腕を犠牲にしてナイフで突き刺して倒すことしかできない。
「胡椒がほしい」
刺激物で犬の動きを阻害できるのにと思った。
子どものころに犬は怖いものと思ったが、日本の犬に出る犬はそこまで危険ではなかった。噛まれることもなかった。
でも、こいつは噛んでくる。
「……」
窓の外を見た。犬がいないのを確認すると、次の家に飛び込んで、斧を振り下ろす。
何かの誘導と思いたくなるが、この家には肉切り包丁を持ったふくよかな悪魔な下僕が2体いる。
家畜を解体すると思われる巨大な肉切り包丁は凶悪だ。ただ、HPが多い。防具を装備してないので攻撃は通りやすいのだが、何度も攻撃しなければいけない。
「いいひひひひひ」
変な笑い声をあげなら、襲ってくる。右手に槍を持って投げた。
ぐしゅりという嫌な音を立てて肩に刺って、肉切り包丁を持つ悪魔の下僕は倒れた。でも、魂を得てないので灰になっていない。
私は隣の部屋に逃げ込んだ。私は、ドアを開けて、左にある家具でドアを塞ぐ。
「これで、だい……」
私は吹き飛ばされた。
2体の同時の攻撃でドアと家具破壊されたのだ。
「……最悪だ」
私はHPを減っている敵に対して、斧を投げた。くるくると回りながら頭に刺さった。
HPはゼロになっていない。
悪魔の下僕は、おなかが出ていて、一見すると動きが鈍そうに見えるが……。
「いひひひひひ」
笑い声を上げなら、素早い動きでやってくる。しかも、あの肉切り包丁の攻撃は凶悪だ。HPをごっそり削られる。幸い、どんな攻撃を受けても腕や足は失わないが救いだった。
私はメニューを出す暇もないので、家具を倒して攻撃を加える。大したHPは減らないが
最初の襲撃でHPを減った悪魔の下僕は倒せた。
「よし……次」
私はもう1体の悪魔の下僕から距離を取ってメニュー画面を開いていた。
武器を回収したいのだが、相手は武器を回収させないような立ち回りをしている。
一時的に無防備になるが、急いでハンマーを取り出した。これで、戦うしかない。私は右手に盾を持って構えた。
先手は、悪魔の下僕。肉切り包丁を左右に振り回す。それに対して、私は攻撃を受ける。地面は私が散らかした家具で動きづらいのだ。
一撃目は盾で、2撃目はしゃがんで回避。3撃は前に出て回避。右に回り込んで、両手にハンマーを持って殴る。
手に鈍い感触を感じる。頭に当たったのか、相手は頭を押さえて、片手で肉切り包丁を振り回した。
私はその場から離れて、後ろに回り込む。次に私を探して後ろを振り向いたところから一撃。相手がひるむ。
「やはあああああ」
私は声を上げなら、何度も何度もハンマーで殴った。返り血を浴びても灰になるまで殴り続けた。
「はぁはぁはぁはぁ……倒した」
私は地面にペタンとすわった。やっと突破できた。これで、先に進めると思った。
「ぐるるるる」
音がした。
私は顔を上げた。そこには犬が数匹いた。
「わんわん」
もちろん、襲ってきた。結果だけいうと、複数の攻撃をさばききれずに灰になった。
そのあと、あの肉切り包丁を持った悪魔の下僕がいる場所を12日も突破することができなかった。
「……」
けど、12日以降はなんとか突破できるようになっていた。なぜなら、徹底的に灰にしたからだ。狭い通路に犬をおびき寄せて、村にいる犬を灰にし、家の中で隠れている悪魔の下僕を灰にしたからだ。
これをすることで、私は村の端にくることができた。そして、そこには焚火があった。
「……もう、あの場所に行かなくていいんだ。あははは」
私は焚火を見て笑った。でも、おもしろくて笑う笑いじゃない。確実に私の中で大切なものが壊れていた。
私は焚火を使って悪魔を繋ぐ神殿に戻った。
悪魔の巫女が迎えてくれる。悪魔の巫女の体は私の苦しみを飲み込むような美しさがあった。
すべてをむさぼりたい……自分の中の獣がうごめくような感じがした。でも、私は耐えた。なぜか、それはやってはいけないと思ったからだ。
私は不死者の水を飲むと焚火で休む。焚火では私の持つ武器は完全に壊れない限り、元に戻すことができた。
理由はわからないが、これも不死者の能力ということだろう。そうじゃなきゃ、身が持たない。
「……アイスが食べたい。チョコレートが食べたい。温かい布団で寝て、ゲームやって遊びたい」
私は横になりながら、自分のささやかな願いを呟いた。でも、叶わない。この神殿にはゲームも、アイスもチョコレートも無い。
私は自分を慰めるかのように不死者の水を飲んだ。甘い、とても甘い。これだけが、救いだった。
人間らしい生活とは何だろう。私は人なのかな。戦って、殺されて、殺して、結局は何だろう。人じゃないような気がする。
「……」
寝ることができなかった。私は起き上がって、悪魔の巫女を見た。悪魔の顔は綺麗に整っていて美しかった。ああ、安らぎがほしい。
私は手に武器を持って歩き出した。行先は霧に覆われた村だ。悪魔の巫女と一緒にいてはいけない。
私は、その日から死ぬ以外は神殿に戻ることなく戦いつづけた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。あとブックマークありがとうございます。
あと、字の間違えなのですが……そういうのをしやすい体質なので指摘していただけると嬉しいです。
主人公の心ゆがみました。
てきとうな次回予告。
村を突破した鸛。けれど、1つの試練を乗り越えたにしかすぎない。
心が壊れる、体も壊れる
灰になって、人は獣になる。